フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランド教育を日本に取り入れてみた。

フィンランドの教育現場で働き始めて2ヶ月が過ぎようとしています。2ヶ月が過ぎて、「日本に戻り、自分にできることは何か?」「果たして自分にできることはあるのだろうか?」そもそも、フィンランドの学校現場で学び、日本に帰国して、人々の価値観や考え方が違う中で何ができるのか?北欧の教育と日本の教育のそれぞれの良さをベースに日本の学校現場でできることについて、日本の小学校で働く先生と話をしてみました。

f:id:hamu-cute120:20191025035333j:plain

1. はじめに

オランダでイエナプランを6ヶ月間学び、現在日本で小学校の先生をしている先生と、「これからの日本の学校現場の在り方」について、お話をする機会を頂きました。

「魅力のある今の日本の教育現場から何を引き算し、何を足し算すのか?」

今、日本の学校の先生の多くは必死で子どもたちのために働いています。子どものことを思えば思うほど、長時間時間労働(平均11時間)になりやすく、自分の私生活を犠牲にしてまで、教材研究や部活動の指導に熱心に取り組んでいる先生が多いと思います。「子どものため」この気持ちが日本の先生は外国の先生と比べて、とても強いと感じます。今、日本の学校現場では、理想の教育と充実した私生活の両方を両立するのは難しいのかもしれないと感じました。

「では、どのようにしたら、教育に想いのある先生も自分の私生活を充実させながら、学校の仕事と両立ができるのでしょうか?」

f:id:hamu-cute120:20191006101617p:plain

フィンランドの学校現場では15時には誰もいなくなります。

フィンランドとオランダの学校現場で教育実習をしてきた私たちが、6ヶ月間で学んできたことを、ドラえもんひみつ道具もしもボックスを使って考えてみました。

「もしもボックス」の画像検索結果

このブログを書くにあたって、最初に伝えたいことがあります。ここにまとめていることも私個人の考えであり、そもそも、教育には「正解」がないということです。今の学校現場にも、様々な教育観を持った先生が集まり、学校教育が作られています。日本の教育も、見方を変えると、長い時間をかけて日本で作られた努力の結晶のようなものだと思っています。

働き方改革で、何かを引き算(仕事量を減らす)することを望む声が上がっていますが、今存在する一つ一つの教育活動や仕事が誰かにとっては、ものすごく意味があるもので、減らすのは難しいような気がします。

▼例えば(日本の視点)・・・

運動会は、地域の方や保護者の方が大勢見にきてくれる貴重な機会です。地域の方に一生懸命な子どもの姿を見せることで勇気を与えるだけでなく、子どもにとっても、上級生は下級生を引っ張る役割、一人一人にとっては、みんなの前で練習したことを披露することは自信にも繋がります。

つまり、100パーセント無駄なものは学校に存在していないように感じます。ただ、少し遠回りなだけで、もっと別のやり方があるのではないかな?と感じるものが多く存在しているのかなって感じます。

「どうしたら学校の先生は幸せに働けるのか?」次の3つの視点で考えてみました。

・時間的なゆとり...①

・信頼できる同僚...②

・教員一人一人の裁量権...③

2. もしも・・・

・学校行事を減らしたら...①

f:id:hamu-cute120:20191025051741j:plain

フィンランドやオランダの学校現場でも、日本と同じように学校行事が多く存在しています。でも、行事が先生の負担になっていません。具体的にどんな学校行事が存在しているのかというと・・・

・スポーツ大会・・・日本でいう運動会

・文化祭

・独立記念式典

・修学旅行

・遠足

・施設訪問

・一日動物園DAY

・クリスマス会等

結構多くの行事があるのですが、そもそもの行事の目的が日本と少し違っていました。日本の行事は地域に開かれた行事であるので、先生方も気合いを入れて取り組みます。それに比べて、フィンランドでは子どものための行事なので、「魅せる」ためのものではありません。あくまでも、日常的な教育活動で行われていることを発表する場でもあります。そのため、行事のために、子どもたちに必要以上に練習をさせたり、競わせたり、保護者を巻き込むことがないので、教師自身が行事の準備に時間がかかりません。日本でも、全ての行事を「魅せる」ために行うのではなく、一部を学校内だけで行なってもいいのではないかなと思い、友達に話してみました。

▼もしも、日本で運動会が学校内の行事になったら...

何だか寂しい気持ちに。これまで、何十年と運動会は地域の中で愛されてきました。もし、運動会が学校内だけで行われるものになったら、そもそも運動会をするモチベーションも下がりそう。あの大勢の人が集まる緊張感の中でのパフォーマンスは、子どもにとっても自信に繋がる貴重な機会です。だからこそ、子どもたちも先生も保護者も本気になるんだよね。やっぱり運動会は大切。

本の学校行事には、私たちが想像している以上に、一つ一つに子どもが成長する機会や地域社会の中で多くの意味や役割がありました。一つ一つの行事で主役になる子どもたちも変わるので、一つ一つの行事が捨てがたいのは現実です。僕も日本の行事の中で成長できた部分も多くあります。価値が分かるからこそ、無くせない気持ちもよく分かります。海外の先生から見ると、日本の学校行事は質が高いねと高評価を頂きます。

・大学生のTA(ティーチングアシスタント)を導入したら...①

f:id:hamu-cute120:20190912234701j:plain

フィンランドやオランダの学校には、TAの先生が多く存在しています。TAの先生の役割は様々です。

例えば、フィンランドの学校現場では、校長先生の裁量でTAの先生を雇うことができます。予算は、支援が必要な子どもの数に合わせて国から降りるので、ニーズに合わせて学校現場に導入することができます。TAの先生は、特別支援の子どものサポートや学習についていけない子どものサポートを個別で行ったり、技能教科のサポートに入っていました。

オランダの学校では、教育実習生がTAとして長い期間(6ヶ月間)、学校現場に入ります。実際に学校現場に入ることで、教育実習生にとっては現場のリアルな仕事を知ることができ、これが教師へのモチベーションの向上に繋がっていました。また、学校現場にとっては、採点業務や成績の評価等、一人の先生では負担になることをTAの先生と協同で行うことで負担が軽減され、お互いにWin Winになっていました。

日本でも、TAの先生を現場に取り入れてみてはと友人に相談すると・・・

▼もし、日本にTAの機会が導入されたら...

・先生の負担が増えるかもしれない...

・大学生に機会があっても参加する学生が少ないのでは...

・安全面の管理...

確かに、学校現場と学生間でのミスマッチが最初は起きそうな気もします。どんなに意欲的な学生でも、学生を受け入れることが最初は学校現場の負担になるかもしれません。余裕があれば、適材適所に配置して、お互いにとってWin Winになるかもしれないですが、慣れるまでは少し時間がかかりそうな気もします。でも可能性は感じます。

フィンランドやオランダでTAが機能している理由

学びとしてだけで現場に入るのではなく、仕事の一部を担うという意識で現場に入っている。

 

本の学校現場にも、スクールインターンの機能を作ると、TAへの意識も変わるのではないでしょうか。TAを大学の単位の一部にしたり、TAとして現場に入った時の評価も教員採用試験の結果に反映される等、学生のモチベーションを上げることでも、学校現場で機能しそうな気がします。あくまでも、お互いにとってメリットになるTAが機能することが大切です。

・職員室に「対話」の文化を取り入れたら・・・②

f:id:hamu-cute120:20190912231929j:plain

フィンランドやオランダの教育の鍵と言えるのは「職員室のリラックスした雰囲気」作りです。職員室は、職員にとってリラックスする場所であり、授業中はどんなにストレスを感じても、職員室に来れば、コーヒーを飲みながら職員同士で解消できる役割があります。同僚の先生に日常的にアドバイスを貰ったり、悩みを聞いて貰ったり、のんびり私生活の雑談をしたり、いつもリラックスした空気感が職員室では大切にされています。これはいいアイデアだと思い、小学校教員の友人に紹介してみると・・・

▼もし、日本の文化に対話が取り入れられたら・・・

・そもそもの業務量が多くて、職員同士で対話をする時間がない...

・同じような価値観を持った先生が少ないので、愚痴で終わってしまいそう...

・先輩の先生のアドバイスのパワーが大きすぎて、自分の教育観と合わないかも...

学校現場の様子が思い浮かびました。もし、働き方改革で「職員室に対話を増やそう」という取り組みが行われたとしても、プラス@の仕事になるんだろうなと感じています。既に、学校の先生は本気で業務に向かって取り組んでいます。その中で、対話をゆっくりする時間は難しそうです。もし、学校の中に、カウンセラー等の聞いてくれる先生がいたら、先生の精神的なストレスも日常的に浄化できるのかなと感じました。

フィンランドの職員室が対話で成り立っている理由

・業務量のゆとり

・毎日の職員会議の代わりの対話の時間

・年齢や立場が関係ないフラットな関係性作り

・コーヒーマシーン

・転勤が少ないので、信頼関係が築けている

・職員室はリラックスの場という暗黙の了解

色々な奇跡が混じり合って、フィンランドやオランダの職員室の文化も築かれていったのだと思います。日本の職員室はどんな環境になったら、先生方は幸せになるのでしょうか?もしかしたら、北欧の職員室とは対極になりますが、「事務作業にめっちゃ専念できる空間」なのかもしれないです。それにより、仕事が早く進む場所として機能するかもしれないです。

・先生が働く学校を選べるようになったら...②

f:id:hamu-cute120:20190912225648j:plain

フィンランドやオランダでは、先生が働く学校を選ぶことができるのも日本の学校との大きな違いになります。これは、教員同士が信頼関係を築いていく上でも、効果のある取り組みではないかなと思います。

例えば、フィンランドでも、教員は働く環境を自分で選ぶことができ、教員自身と学校現場、双方の意見が一致すれば、ずっと同じ職場で勤めることができます。

また、オランダでは、学校によって様々な教育方法を採用しており、教育方法によって必要な免許も異なってきます。自分が教えたい教育方法を取り入れている学校で働けるので、似ている教育観を持っている先生同士で働くので、信頼関係を築きやすい特徴があるような気がします。これはいいアイデアだと思い、小学校教員の友人に紹介してみると・・・

▼もし、日本で先生が働く環境を選べるようになったら...

・学校間での格差が広がるかもしれない...

・現場がマンネリ化するかもしれない...

・人間関係が良くなかったら、居心地が悪くなりそう...

確かに、日本の転勤制度もモチベーションを保ったり、教育の機会均等を保つためにしっかり機能しているようにも感じます。今の日本の教育制度の何をとっても、一長一短があるように感じます。

 ▼フィンランドで転勤制度が無くても成り立っている理由...

・全て教員が修士号を取得しており、教員への信頼が厚い

・ゆとりが、良好な人間関係を創り出している

・校長先生が変わらないことで、学校独自の強みや文化がゆっくり形成されている

・転勤がないので、中長期計画で学校経営ができる

・教員一人一人が自分たちで作っていく意識がある

一つの制度が機能するまでには、多くのものを整備し直さないといけません。 今の日本の転勤制度の中で、どのようにして教員の働きやすい環境を作っていくのか。もし学校の中だけで文化を築くのが難しければ、地域を巻き込んで学校を作っていくのも一つの方法なのかもしれません。

 

・一人一人の先生の裁量権を大きくしたら...③

f:id:hamu-cute120:20190110093436p:plain

フィンランドでは、一人一人の担任の先生に大きな裁量権が与えられています。例えば、教科書も担任の裁量で決めることができて、隣のクラスと使っている教科書が異なることもあり程です。また、先生は、国が定めた最低限度のカリキュラムに沿って授業を進めていきます。フィンランドの先生に、「どうして先生になったのか?」を尋ねると、「自由に子どもたちに教えられるから」という答えが多いです。

教員を信頼し、教員一人一人に大きな裁量権を与えることで、教員のモチベーションも上がり、目の前の子どもに合わせた教育が実現していました。

これはいいアイデアだと思い、小学校の友人に紹介してみると・・・

▼もし、日本の文化に対話が取り入れられたら・・・

・初任者だと、学校のことが何も分からないから、ベテランの先生と最初は合わせた方が安心かも...

・もし、前の学年の先生が全く違う方法で教えていたら、同じ内容を、同時に、同じやり方で教えるのは難しいかも...今の日本の学校教育が一斉授業がベースというのもあるな...個別化していたらできるかも...

・学級によって差が生まれ、保護者から苦情が来るかもしれない...

・一人の意見で進めるのは不安...

もし、今の学校現場に大きな裁量権をいきなり与えても現場は混乱すると思います。今の学校現場も、ある程度制限がある中でも、担任の先生が自由に学級経営をしているように感じます。また、教育実習が十分でない新任の先生にとっても、学年主任の指導の元で、隣のクラスと合わせて授業をすることは安心にも繋がっています。守破離の視点からも、日本でも少しずつ自立していく先生が多いので、今の教員の裁量権でも十分なのかなと感じました。

フィンランドの先生が大きな裁量権でも成り立っている理由

・十分な教員養成を受けて、修士号を取得している

・国民からの学校現場、先生への信頼が厚い

・受験のための教育ではなく、幸せになるための教育がベースに

・教材の質が高い

・学習指導要領で定められている量が少ない

・現場に出る前に、教員養成課程で6ヶ月以上の教育実習を受けているので、現場の現状を理解している

約20年前に、フィンランドでは大きな教育改革が行われました。その時に行われた2つの改革が、教員に修士号を義務付けることと、学校現場に大きな裁量権を与えることでした。 人に投資をすることに舵を切ったフィンランドでは、同時に先生の質を高めるために修士号の取得を義務付けました。また、国が全ての学校現場を一律に管理することに限界があると感じ、より地域の現状や学校の現状に合わせた教育を実現するためにも、学校現場に大きな裁量権を与えることで、今の学校文化が形成されました。今では、フィンランドの職員室では教員一人一人が自立して働いており、ティール化しているように感じます。

 3. 最後に

f:id:hamu-cute120:20190913005603j:plain

ここまで、北欧の教育制度を日本にそのまま取り入れたらどうなるのかについて、もしもボックスを使ってまとめてみました。一つ一つみていくと、日本の学校現場に存在する一つ一つには、色んな人の思いがあり、沢山の思いが詰まった環境の中で子どもたちも育ってきました。決して、悪いことばかりではない、日本の学校現場の仕組みについて振り返る貴重な機会になりました。

しかし、今世の中が変わり始めているのも事実です。このままの学校のシステムの状態で、更にこれからの時代を生きる子どもたちに必要な学習が今どんどん入ってきています。

・英語教育

・プログラミング教育

・移民の教育

・キャリア教育

・多文化理解教育(宗教教育)等

魅力のある、これまでに築いてきた教育を継承しつつも、これからの時代を生きる子どもたちに必要な教育も同時に考えていく必要があります。

「魅力のある今の日本の教育現場から何を引き算し、何を足し算するのか?」

最初に述べた、この問いに対する答えを少しずつ現場の先生で試行錯誤して実践していくことが、これからの社会で急に求められる時代がやってくると思います。

今、日本の教育現場に海外の教育をそのまま持ち込むことは難しいかもしれません。でも、ちょっと日本の先を走っている教育を、海外の事例から学ぶことはできるかもしれません。

*(▶︎コチラ)をクリックすると、リンクに飛びます(^^)

・インクルーシブ教育が機能した学校ってどんな学校?(▶︎コチラ

・ICTを活用した授業作りと、教材研究ってどんな感じ?(▶︎コチラ

・コミュニケーションとしての英語教育とは?(▶︎コチラ

・プロジェクト学習の進め方について(▶︎コチラ

・異文化理解が進んだ、外国人が在籍する教室の作り方とは?

・一人一人のニーズに合わせた教育環境とは?

・部活動がなくても、スポーツ人口が世界一になる秘密(▶︎コチラ

・7時間勤務でも学力や幸福度が世界一になる理由とは?(▶︎コチラ

・幸せな子どもが育つキャリア教育の本質とは?(▶︎コチラ

・タブー視されている、肯定的な自尊感情を育む性教育とは?(▶︎コチラ)等

 

想像がつかないものは、国から指示されても現場で実践することは難しいです。でも、海外の教育に精通した人は以外と若い先生では増えてきていると思います。もしかしたら、あなたの学校にも海外の教育をみてきた、グローバルな視野を持った教員がいるかもしれません。こういうことは、職員間でも対話をしてみないと意外と気付かなかったりします。

 

これからも少しでも学校の先生に海外の教育のリアルが伝えられるように情報を発信していきたいと思います。

 

ここまで読んで頂き有難うございました。

 

モイモイ(-^-^-)

 

PS.

Twitterでも、日々のフィンランドの高等学校勤務での学びを発信しています。

フォローして頂けたら嬉しいです。

Twitterアカウント

ちかちゃん@フィンランド教育 (@tomofinedu) | Twitter