Unit1 他者とのやりとりにおいて認識と偏見が影響を与える
いよいよUnit1の学習も中盤に入っていきました。今回のテーマは、倫理の授業とも関連してくるかなり難易度の高い授業になりそうな予感がしています。
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- Work1「異なる文化を通して自分の価値観を探る」
- Work2「Tag of war : 異なる文化と出会ったら?」
- Work3「文化相対主義」について考える
- Work4「社会の中にある無自覚の差別の事例」
ユニット1では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。
Work1「異なる文化を通して自分の価値観を探る」
中盤戦は以下のワークで始まりました。参考としているワークはこちらのリンクよりご覧ください。かなり面白い教材です。
ここでは、他の人の価値観に左右されないように学校全体を使ってお互いに5m以上離れてワークを行いました。天気も良くて、外でのワークは思考をクリアにしてくれました。
まずは、6つの国の文化の一部分について読んで、自分自身が受け入れられる文化と受け入れるのが難しい文化について分けて考えてみました。ここに、自分自身の価値観が表れてきたのを感じたと思います。
そして、順番に並べた後は、自分自身の選択の背景にあるものを探っていきました。
ここでいくつかの文化について子どもたちから出てきた理由を一部紹介します。
① 韓国では、若者はお年寄りが食べだすまで食べてはいけないんだ。
・年寄りは全てではないと思うし、年寄りが意地悪して食べてくれないかもだから。
② インドでは、左手ではなく、右手を使って食べないといけないんだ。
・左利きの人もいるからその人たちが可哀想
③ 一夫多妻はアフリカでは一般的なんだ。男性が、同時に一人以上の妻をもつが、社会学者はこれをPolygamyと呼んでいるよ。
・色んな女の人と一緒にいるのは嫌
・浮気されているつもりでその男を受け入れられないから
・自分が母になった時にコミュニケーションに困る
・誰かがハッピーになれることじゃないし、男の人も管理が大変だと思う。
・そもそも妻を2人持つのはおかしい
・浮気みたいになるから信用できない
・一人の人を愛した方がいいと思った。
④ マサイ族の人々は、挨拶として他の人の手につばを吐くんだ。
・衛生的に受け入れられないかも...
・まあそこの文化だししょうがない
・前からずっと今まで受け継がれていると思うけど汚い。礼儀正しくないと思った。
・相手の唾が手につくと思うと気持ち悪いから(日本の文化ではあり得ない)
⑤サウジアラビアの夫は、妻が夫より前を歩くという理由で、妻を離婚したんだ。
・サウジアラビアの夫は、妻が夫より前を歩くという理由で、妻を離婚したんだ。
・想像するだけですごくイラつく
・女の人が可哀想。別に同じ立場でいいと思う。
⑥ ルワンダでは、多くの男性が友情をあらわすために、男性の友人と手と手を取り合うよ。
・特に抵抗はない。別にいいと思う。
グラフからも、ルワンダの文化は比較的受け入れられる人が多くて、マサイ族の挨拶の文化に抵抗を感じる人が多い印象でした。
文化相対主義の考え方を学ぶ前の子どもたちの率直な反応が書かれています。
Work2「Tag of war : 異なる文化と出会ったら?」
さて、ここから実際に「Tag of war」で実際に体を動かしながら一人一人の異なる文化へのスタンスをシェアしていきました。
まずは、韓国の事例についてです。
「20歳になり、お年寄りの方がいる家族のもとで3年間ホストファミリーをすることになりました。その時にあなたはどのようなスタンスを取りますか?」
▶︎ 韓国では、若者はお年寄りが食べだすまで食べてはいけないんだ。
半数以上が郷に行けば郷に従うで、お年寄りがいた場合は「その国の文化があるから尊重する立場をとる」と話し、数名が「日本の文化も韓国の人に伝えることで、自分たちの文化を貫く。」と話し、2名が「相手が自分の国の文化をめっちゃ大切にしているのであれば、それに従うし、そこまで大切にしていないのであれば、日本の文化を取り入れてもいいかな。」と話していました。
次にマサイ族の事例で考えました。
「20歳になり、マサイ族が村でいる村で3年間活動をすることになりました。その時にあなたはどのようなスタンスを取りますか?」
▶︎ マサイ族の人々は、挨拶として他の人の手につばを吐くんだ。
ここでは、ほとんどの児童が「受け入れることはできない。」というスタンスをとっていました。先ほどはその国の文化があるから尊重する立場をとっていた人は、「自分自身が受け入れられないこともある。」と話していました。
▶︎ サウジアラビアの夫は、妻が夫より前を歩くという理由で、妻を離婚したんだ。
最後はサウジアラビアの事例で考えました。
「サウジアラビアに住んでいて運命的な出会いがあり結婚をすることになりました。その時にあなたはどのようなスタンスを取りますか?」
これについては、「ポジティブに考えれば、男性が女性を守ってくれることでもあるので受け入れる。」「もし外を歩くときだけであれば受けれられるし、日常生活もずっと男性の方をリスペクトしないといけないなら受け入れられない。」という意見が出てきました。
ここまでのワークを通して「私たちは異なる文化と出会ったときに、私たちはどうしたいいのか?全て受け入れないといけないのか?自分たちの正しさや価値観をどのように伝えたらいいのか?そもそも伝えることっていいのか?」色々な疑問が浮かび上がってきたところで、「文化相対主義」という考え方を取り入れるためのワークを行いました。
Work3「文化相対主義」について考える
ここで3人のグループを作り、上の資料を読み合って「文化相対主義」について考えたことをグループごとにまとめてシェアを行いました。
・差別の逆
・文化の受け入れ
・色々な文化を尊重しても良いと思う
・自分の国だけじゃない国の良さが出てると思う
・あり得ないと思っても他の国では普通のことを受け入れているのが難しいと思った。
・色々な文化がるということ
・自分たちの文化だけじゃないということ
・文化を受け入れるのは難しいと思った
・どんな文化でも「色々な考え方があるよね!」と受けれること
・どんな文化でも優れていたり、劣っていたりすることはないから「受け入れない」のではなく、まずは文化と向き合う必要があること
・文化一つ一つに自分の視点と他の視点でも考えてみること
・自分が嫌だと思うことがあるが意見を聞いた方がいいこと
・違う国の文化を受け入れる
・文化相対主義を受け入れることで自分が我慢しないといけないなら自分にCaringできないのでは?
・その文化を最初から受け入れられないと決めるのではなく、まずやってみたり理解することが大事だと思った!
・唾を吐いて挨拶する時に人の手につけるのは文化として受け入れられるけど、5番は差別とも関係しているので、唾を吐く挨拶よりは受け入れられない
・一夫多妻制が一般的だと書いてあるけど、それが文化になっているのは...
Work4「社会の中にある無自覚の差別の事例」
この記事を読んでグループに分かれて、リサーチに取り組みます。
・イスラム教の人は何に困っているんだろう?
・イスラム教の人はどんな理解を求めているんだろう?
・なぜ、このような問題が起きているんだろう?
・どうすればこの問題を乗り越えられるんだろう?(具体的なアイデア)
子どもたちの探究は続いていきます。