フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

Unit6 WEEK1 アート鑑賞

Unit6 アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

いよいよUnit6の学習に入っていきました。

ユニット6では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

ユニットの導入では、実際に岐阜県美術館に行って、アートの世界に入っていきました。まずは「本物」に触れることでこれから学ぶ学習が自分たちの身近な世界とつながることを感じられることを大切にしています。

PYPは、 「本物」の学習こそが最も効果的であると確信しています。すなわち、学習が「児童にとって本当の」世界に即したもので あるとき、そして教科の枠をこえた学習であるときに、最も効果的な学びが行われるということです。

導入1 フィールドトリップへ

フィールドトリップでは、一番最初の子どもたちの鑑賞の仕方を見ることを目的とし、岐阜県美術館にフィールドトリップにいきました。

フィールドトリップでのミッションは大きく2つでした。

・ミッション1「アートってなんやろうね?」

県美術館で今行われている「ナンヤローネ プロジェクト」の問いかけを元に「アートってなんやろうね?」という問いを鑑賞を通して言語化していきました。

県美術館(リンク

・ミッション2「グループでアート鑑賞」

このミッションでは、3人グループになって1つの作品を鑑賞をしていく活動を行いました。子どもたちは、美術館を周りながら気になる作品を決めて、1つの作品を4人で鑑賞していきました。不思議とそれぞれのグループは別々で動いているのに4年生の心に残るアート作品に共通するものが出てきたのも面白いポイントでした。

帰ってきてからの振り返りでは、鑑賞について学ぶ前にアートについて今考えていることを言語化していきました。このユニットを通じて子どもたちの考え方や見え方がどのように変化していくのか楽しみです。

▼ ユニット開始前のアートについての見え方・考え方

導入2 ディクシット(DIXIT) ボードゲームでの対話型の鑑賞の導入

Dixit参考画像

このゲームでは、親がお題を出して子はお題に合った手札を出していきます。このときに、親は具体的すぎるお題でもない、または抽象的すぎるお題でもないちょうどいいテーマを出す必要があります。例えば親が「悲しみ」というお題を出すと、それ以外のプレイヤーは自分の6枚の手札から「悲しみ」を表すカードを選び自分なりに解釈して場に出していきます。もし親が「お皿」という具体的すぎるテーマを出すと親が出したカードが明らかに分かってしまうので、子どもたちは「今のテーマは具体的すぎる」と言って、抽象度の適切なテーマを出す重要性に気づき始めている人もいました。自分がなぜこのカードがテーマに合っていると思ったのかを自分なりの解釈を伝えることで、人によって見え方が異なるや同じ絵を見ても色々な解釈ができることを感じれたらと思い、このアクティビティを行いました。

▶︎詳しい遊び方はこちら

導入3 1つの絵をみんなで深掘りしてみる

土日の課題として、オンライン美術館(リンク)にいき、その中で自分が気になる1枚とその理由を考えて気になる絵を持ち寄りました。

▼ 集まったG4の気になる絵

ここから色々な解釈ができそうな1枚を選んで、作品の作られた背景について探っていきました。それが以下の1枚です。

この絵を観察して「See-Think-Wonder」のワークを行いました。Unit4で事実と解釈について分けて考えるATLにフォーカスしたので、何がsee(事実)で何がthink(解釈)なのかを意識しながら行いました。最初は、seeに「戦争のようなことが起きている」「土下座をしている人がいる」と考えが出てきたところで、改めて事実と解釈について考える時間をとりました。「どのようにしたら事実と解釈を分けることができるのか?」という問いについて「事実は誰が見ても同じように見える物に対して、解釈は人によって解釈が異なるもの」という考えが出てきたところで、改めてワークの続きを行いました。

▼ 子どもたちから出てきたもの

さらに、ここから1つの絵についてリサーチを通して、深く掘り下げていくワークを行いました。今回のキーコンセプトの1つが「視点」なので、子どもたちにどのような視点でリサーチをしていくのかを考えてもらいました。そこで出てきたのが「描いた人の視点」「バベルの塔の視点」「絵の中の人の視点」という3つの視点が出てきたところで、子どもたちから3つのグループに分かれてリサーチをする考えが出てきたので、それぞれのグループに分かれてリサーチを行いました。

リサーチを重ねて共有する中で、今までは自分の感性のみで鑑賞をしていたのが、絵の中にあるストーリーや歴史について理解することで、見え方が変化してきたのを感じていたのではないかと思います。

▼リサーチしたものを元に整理したもの

・Unit6のルーブリック評価のシェア

私が勤めている学校では、ユニットでフォーカスしたATLスキルを使いながら概念的理解を深めていきます。言い換えると、ATLスキルを変えることで学習のアプローチが大きく変わってきます。今回のユニットでは「社会性スキル」の中でも「好ましい対人関係の構築と協働スキル」にフォーカスして行なっていきます。10歳の子どもたちにとって、グループワークをするときに「仲のいい人と一緒になることで意見が言いやすく、考えを深めることができる」と1年間主張を続けてきており、子どもの意見も尊重しながら、グループメンバーを調整しながら行なってきました。しかし、今回のユニットでは、どんな人とでもお互いの良さや強みを活かしながら協働していくスキルはこれから社会に出てときに必要になってくるスキルであることを丁寧に説明することで、どこにフォーカスして学びを進めていくのかを共有することを大切にしました。

Unit6のルーブリック評価

まずは、自分たちの社会性のスキルがどのようなものなのかを知るために、40分間のグループワークをランダムでメンバーを決めて行いました。

・国語との融合「小説の一説から絵の背景を紐解く」

「バベルの謎(リンク)」の試し読みの中にバベルの塔の絵の情景について書かれているものを生徒の1人が見つけてきました。前回の授業の「See-Think-Wonder」で曖昧だった、絵の中に書かれている情景と小説の中に書かれている情報をつなげていく学習を行いました。グループによっては、3人で協働することで「1+1+1=6」になるチーム、たくさん話してしまって「1+1+1=2」になるチーム、チーム全体で違う方向に流れてしまって「1+1+1=2」になるチームなど、グループワーク後にリフレクションをする中で、今の自分たちの課題を認知していきました。

来週からいよいよ形成的評価課題に入っていきます。次回のブログも楽しみにしていただけたらと思います。