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Unit5 Week1 自分自身の心の変化を詩と模様で表現する

Unit5 身体の変化は心の変化をもたらす

いよいよUnit5の学習に入っていきました。

ユニット5では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

ユニットの導入では、心の変化を少しずつ迎えている4年生が、自分自身の心の変化を捉える学びからスタートしていきました。

・歌の歌詞と自分の感情-経験を結びつける

そこで、12月のHoliday Concertで歌った「オトナになるって」の動線で、歌詞の中で心に残った歌詞と、なぜ印象的に残ったのかを歌詞とつながる4年生での自分の経験と紐付けながら、自分自身の感情の変化をふりかえり、言語化していきました。

▼ 子どもたちが印象的だったフレーズ

・オトナになるってどんな感じだろう(3)
・人に譲ること 人を許すこと(3)
・失敗してもくじけずに力にしていこう(3)
・仲間のためにできること大事にしていこう(4)
・辛くてもやりとげるのが一人前(3)
・近頃じゃ背も伸びたし力も強くなったよ(2)
・でもそれだけじゃまだみとめてもらえない(2)
・なんでも自分で決めて自由に生きてみたいよ(3)
・まだまだ半人前

また、同じフレーズでもどの感情と結びついているのかはそれぞれで、フレーズと自分の感情の繋がりについてもプルチック(参考リンク)で分類してシェアをしていきました。

このグループでは「なんでも自分で決めて自由に生きてみたいよ」というフレーズに対して、不安やうらやましいという感情と結びついている児童と憧れや期待の気持ちと結びついている児童同士で意見のシェアをしているのが印象的でした。

・感情を表す語彙を広げる活動

さらに、気持ちを表す言葉を広げるために、気持ちを表す言葉(約80個)をプルチックの輪で分類する学習活動を行いました。クラス全員で役割分担を行い、わからない言葉は辞書を使ってリサーチしながら表にまとめ、語彙を広げていきました。

プルチックの輪
・喜怒哀楽で自分の感情の変化を言語化する活動

子どもたちの中で感情を表す語彙が広がっていったところで、子どもたちに喜怒哀楽の感情で、1-2年生と4年生で喜怒哀楽の感情にどのような変化があったのかをふりかえりながら言語化する活動を行いました。

喜怒哀楽ワーク

子どもたちは、どんな時に怒ったり、悲しんだり、喜んだり、楽しんだりしていたのかを1-2年生のポートフォリオを振り返りながら言語化していきました。振り返ってみると、怒る対象が周りの友達から、自分自身の内面的なものに変化しているのを感じる児童がいたり、前は自分の意見が言えなくて悲しかったけど、少しずつクラスの中で自分の考えを伝えることができるようになった変化を書いている児童もいました。この喜怒哀楽のワークがこれから書いていく詩で用いる言葉のパーツになっていきます。

・詩の特徴を掴む

ここで、子どもたちに自分の心の変化と心の模様を詩と絵で表現することを伝え、詩の特徴について、いつくかの詩を読み解きながら詩の特徴を掴んでいきました。

色々な詩

▼ 子どもたちの発見した詩の特徴

・常識のことを言っているように思えるが深く考えられている。
・リズムに乗って歌える。
・短く歌える。
オノマトペが入っている。
・短いお話。
・なんのことを書いてもよい。
・暗号のようになっている感じがした。
・眠れる・優しい・・ゆったり・気持ちが楽になる
・豊か・ゆっくりなリズムが合う・自由
・気付いてほしいことを書くのが詩?
・伝えたいことを短くまとめる
・タイミングがある
・疑問に対する答え
・名言 etc...

詩の特徴

詩の特徴を掴んだところで、子どもたちは早速詩を書き始める活動を始めました。最初から自分の気持ちを詩に表現できる子、自分の気持ちを詩にどう表現したらいいのか分からない子、詩への向き合い方はそれぞれでした。ここで、大切にしたのは、綺麗な言葉や表現にこだわるのではなく、今のありのままの心の状態を表現できる雰囲気づくりを大切にしました。

・詩で表現した言葉を模様で表現してみる


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詩で表現できた児童から、今度は水彩絵の具や色鉛筆を用いて、自分の心の状態や変化について絵ではなく、抽象度の高い模様で表現する活動を行いました。PYPでは、教科で分けて学習をするのではなく、教科の枠を超えて学びを広げ、深めていくことを大切にしています。

クラスの中には、言葉で気持ちを表現するのが得意な子、コミュニケーションで気持ちを表現するのが得意な子、絵で気持ちを表現するのが得意な子、歌の歌詞のリズムに合わせて自分の気持ちを表現するのが得意な子等、一人一人に同じ課題を与えても、一人一人表現しやすい方法が異なることを子どもの姿から感じ取れました。

これは、ハーバード大学教授のハワード・ガードナー氏による「多重知能(Multiple Intelligences=以下MI)」の理論の繋がりがあると思いました。

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・詩の鑑賞の時間

子どもたちの詩と絵がカタチになったところで、保護者の方も交えて、詩の鑑賞会を行いました。子どもたちの借り物ではない、まっすぐな気持ちが表現された、詩と模様に教室が展覧会のような雰囲気になりました。子どもたちが発した言葉1つ1つが心にじーんとくるものがあり、詩という余白があるからこそ、鑑賞する人も色々な解釈ができて、お互いに感じたことを文字で伝え合う時間をとりました。

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▼ 子どもたちが表現した詩と模様

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このユニットでは「身体の変化が心の変化をもたらす」概念的な理解を深めていきます。子どもたちの中で、今起きている心の変化をメタ認知できたところで、ここからは、これから迎える心の葛藤にはどのようなものがあるのかを様々な人生のステージにいる人にリサーチをしていきます。

子どもたちの探究はこれからも続いていきます。