日本の子どもに必要な''地域の中にある居場所''について
「フィンランドの子どもたちの放課後の過ごし方とは?」
1. はじめに
「日本の子どもたちは、放課後をどのように過ごしているのでしょうか?」
日本のほとんどの子ども達は、放課後も塾や習い事に毎日通っています。習い事が多すぎて、学校の宿題が出来なかったり、夜寝るのが遅くなったりする子ども達が多い現状があります。
「どうして、日本の子どもたちは学校でも勉強を頑張り、放課後も頑張れるのでしょうか?」
確かに、子どもは天才なので、多くのことを吸収する力が幼い時にあります。習い事をすることで、学校や学級の代表に選ばれたり、スポーツで好成績を残すと進学にも繋がります。時には、自信に繋がるかもしれません。しかし、私は日本の子どもたちは、プレッシャーの環境にいる時間が少し長いように感じます。常に、周りの友達と競ったり、ゴールがある環境の中で、「趣味:好きなこと」として楽しむことよりも、「目標ありき」で頑張る子どもたちが多いです。
「では、フィンランドでは、子どもたちはどのようにして放課後を過ごしているのでしょうか?」
まずは、フィンランドの子どもの下校時間を見てみましょう。
▼フィンランドの子どもの下校時間
小学校低学年:12時
小学生:13時〜14時
中学生:14時〜15時
高校生:14時〜15時
フィンランドの子どもたちの下校時間を見てみると、日本の保護者の方は不安に思うのではないでしょうか?こんなに早く子どもたちが下校したら、子どもたちは放課後どこで過ごしたらいいの?
しかし、フィンランドは、日本以上に共働き世帯が多いです。いったいどのようにして、子どもたちは長い、どこで放課後を過ごしているのでしょうか?
2. フィンランドの子どもの放課後の過ごし方
フィンランドの子どもたちが過ごす居場所は大きく4つに分かれます。
家:高学年や、親がいる家庭は家で過ごす子が多いです。
地域のスポーツコミュニティー:小学生から60代までが一緒に学び合うスポーツコミュニティ。
地域のスポーツ少年団:本気でスポーツをしたいコミュニティー。
居場所:ゆっくり休憩できる空間。
日本の習い事は、全て目標ありきが多く、「やるなら本気でする」という文化があります。だからこそ、習い事の先生もプロの先生として子どもと本気で向き合います。子どもが「習い事に行きたくない。」日本の家庭で、よく子どもから耳にする言葉だと思います。これって、子どもが「休みたい。」って伝えてくれた貴重なサインなのに、親はマイナスに捉えることが多いのではないでしょうか?フィンランドには、子どものニーズに合わせて、色々なモチベーションの段階の居場所が存在していました。
▼子どものモチベーションの指標
(ゆっくりしたい)
↑ 家
↑ 居場所「ユースセンター・プレイパーク」
↓ 地域のスポーツコミュニティー
↓ 同年代のスポーツ少年団(日本の習い事)
(本気でやりたい)
子どもが時間の使い方を「選べる」というのが、「子どもの自立」や「リラックスできる環境を自分でつくる」習慣付けになっています。日本での幼少期の過ごし方が、日本人の「頑張る心」を育て、長時間労働でも耐えられるマインドは育んでいると思います。しかし、これが、日本人がストレスマネジメントが出来ない原因にもなっています。早速、フィンランドに存在する子どもの過ごし方についてまとめてみました。
① 小学生「プレイパーク」
・プレイパークの役割
① 小学校と連携していること② 無償であること
・施設紹介
・運営方法
安心して子どもを育てられる環境を地域全体で作っているという点。子どもは、24時間生活しており、学校にいる時間は僅かに6時間程です。つまり、殆どの時間を学校以外の場で過ごすことになります。どんなに学校が安心できる空間であっても、学校を出て孤独を感じると、色々な問題が出てきます。家庭によって、環境は様々です。全ての子どもと保護者が安心して生活できる環境づくり(サードプレイス)が大切にされていました。
② 中学生〜専門学生「ユースセンター」
・ユースセンターの役割
フィンランド全土にあるユースセンターってどんな場所?
中学生から30歳以下の学生が無料で通うことのできるリラックス出来る空間です。ここでは、ユースワーカーが勤めており、子どもにとっては、何でも相談できるお兄さん・お姉さんの存在がサポートしています。
このユースセンターでは、子ども達にとって、本当に心休まる場所をつくる空間づくりを大切にしていました。では、具体的にこのユースセンターが担っている役割とはどのような役割があるのでしょうか?
役割 Ⅰ:実際に学校を訪れ、気になる子に声をかける役割
ユースセンターのスタッフは、コーヒーとパンと共に、毎月学校現場に来て、ソファーに座って生徒達とフラットに楽しそうに話をしています。この時間が実は、生徒にとっても大事な時間で、「居場所があるよ〜」と情報だけが入っても、行きずらいと思います。実際にユースワーカーが学校現場に来てくれることで、そこに通っている子どもたちとスタッフの方が話している姿を見て、一言「遊びに来なよ〜」と声をかけてくれるだけで、行きやすくなる雰囲気が作られていました。また、ユースセンターでは、学校での悩みも気兼ねなく話せるので、学校で会った時に、「最近どう〜?」と声をかけることで、「心の居場所」にもなっていました。
このようにフィンランドでは、不登校の子どもに対して居場所を提供するのではなく、第三の居場所が必要な子どもに、予防的に居場所となる空間づくりを大切にしていました。
対処的か予防的に対応するのか、どちらがコストがかかり、どちらが子どものハピネスに繋がるのか?
フィンランドのユースセンターの取り組みから学べることもありそうです。
・施設紹介
こちらが、ユースセンターの中の雰囲気です。ユースセンターの中にあるもの。
・キッチン(自由に料理ができる)
・ボードゲーム(カードゲーム)
・卓球台
・テレビゲーム(大画面)
・ビリヤード
ユースセンターは、まるで家と学校を融合したような雰囲気になっています。このユースセンターに置いてあるものも、子どもと話し合いながら決めていきます。なので、この空間は、子どもたちがリラックスできて、楽しめる空間づくりが最優先されていました。
また、このユースセンターでは面白いイベントも数多く行われています。
▼面白いイベント
「朝までオールしようイベントしよう!」
中学生から高校生までが朝までオールするこちらのイベント。面白いのが、皆んなで何かをするというイベントは組まれていませんでした。ピザを各自で作ったり、各々が好きなことをして過ごしたり、周りを気にせず自分の好きなことをして朝まで過ごしました。30人近くでオールしたイベントは面白かったです。
・運営方法
ユースセンターは、プレイパークと同じで、子どもたちは無料で利用することができます。行政が管轄で運営されています。でも、日本と異なるのは、行政が行うのは資金面のみで、運営方法やイベントの内容等はそこで働くユースワーカーの人が決めることができます。なので、そこに集まる子どもたちの願いが直接反映されていて、子どもたちにとって居心地のいい空間が作られていました。予算に関してなのですが、子どもが来た日数に応じて、予算が配分されており、毎日のおやつが無料で食べれる、イベントを行う予算は付いていました。
このユースセンターのシステムは、今の日本に必要な居場所に感じました。日本では、今不登校児童が全国に14万人存在しています。この14万を受け入れるフリースクールもなければ、フリースクールに高い授業を払える家庭も多くありません。また、フリースクールに通っても、出席が認められない現状も多くあります。
▼ 日本の環境
・学校以外の学びの場が認められていない現状(出席扱いにならない)
・不登校の子ども(14万人)の対応が学校現場で対応が難しい
・フリースクールに国から予算が下りない現状
▼ 日本の環境だからこそできること
学校と合わない子ども(不登校)が今日本に沢山いて、学校以外の学びの場が認められていない現状があります。だからこそ、予防的に子どもたちの居場所を地域の中に作り、学校外に居場所を作る価値はあると思います。
3. 日本でできること
さて、ここまで、フィンランドの子どもの放課後の過ごし方についてまとめてきました。ここからは、実際に子どもと向き合っているあなた自身が考える時です。
① 子どもの気持ちを尊重する
日本の子どもと比べると、フィンランドの子どもは、放課後はゆっくり過ごしているのが分かります。もちろん、日本には日本の社会、フィンランドにはフィンランドの社会があります。だから、無理にフィンランドの子どもの過ごし方に全てをシフトする必要はないと思っています。しかし、これだけは言えることがあります。子どもは、いつかは私たちの元を離れて「自立」していく時期がやってきます。子どもの自立を考えたときに、私たち大人の願いが、時に子どもたちを「頑張らせすぎている」ことがあるということです。子どもはお父さん、お母さん、先生を喜ばせるために頑張りすぎます。普段の子どもとの会話の中に、子どもの心の声に耳を傾けてみたり、子どもの気持ちを尊重する言葉かけを取り入れてみてはいかがでしょうか。もしかしたら、今ストレスを感じている子どもの気持ちを楽にさせてくれるかもしれないです。
② 地域の中で子どものリラックスできる居場所づくり
今、日本でも若者の居場所は少ないのではないかと思います。「今の日本の若者にどんな居場所が必要でしょうか?」もちろん、ゲームセンター等で自分の好きなことで時間を過ごすのもいいと思います。でも、「自分の人生について、ゆっくり考えられる場」や「自分がリラックスして過ごせる環境」って意外と少ないのではないでしょうか?
日本だと、中学生、高校生、専門学生の生活空間は分けられており、自分がこれからどう生きていくのかをイメージするのが難しいと思います。しかし、このフィンランドに広がるユースセンターでは、中学生から30歳までの若者が一緒に同じ空間を共有して生活しています。今日本でも京都に、若者のための居場所となる空間ができています。このような、誰もが利用できる若者のための居場所が日本で広がっていくことで、地域の中で安心して生活できる空間が増えていくのではないでしょうか?
もちろん、空間(場)を作るにはお金が必要になります。地域の中にある企業が中心となって、地元の子どもは地元で育てていく地域が増えていったらいいなと感じています。
「日本の子どもは、頑張りすぎなのでは?」
この問いについてですが、皆さんはどのように感じたでしょうか?フィンランドでは、子どもの「自立」に向けて、できる限り子どもたちに自分の人生を選択させる教育を行なっています。成長に苦難も必要ですが、もっとゆったりとした、子どもの世界を大切にしてもいいのかなと思います。
「あなたの関わる子どもが好きなことって何でしょうか?」
「あなたの子どもがしたいことって何だろう?」
一度子どもの心の声とゆっくり向き合ってみて下さい。
ここまで読んで頂き、有難うございました。
もいもい。
PS.
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