フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

なぜ、私がフィンランド教育を発信し続けるのか?

「教育をよりよくしていきたい」

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「なぜ私がフィンランドで先生をして、フィンランド教育を発信し続けているのか?」フィンランドで教師生活を始めて、2ヶ月が経とうとしています。残り4ヶ月で帰国です。「果たして、自分がフィンランドで先生をする意味はあったのでしょうか?」フィンランドで生活をしていると、余白の時間が多く、「自分の人生の目的」「自分とは何か?」について考える時間が多くあります。本ブログでは、私自身のことについて、改めて言語化していきたいと思います。

そして、このブログを通して「教育について、今よりも、少しでも興味を持つ人が増えて、よりよくしていくために自分に何ができるのかを考えて、小さなアクションを起こすきっかけ」が生まれたら嬉しいです。

▼私なりの''日本の教育がよりよくなる''理論

私は、身の回りにいる、先生を志す学生、現役の先生、子どもたちが幸せになれる環境を少しずつ広げていくことで、よりよい教育環境の場を少しずつ広げていきたいと思っています。出会った仲間や先生が、より良い教育環境を身の回りで作り、そこで教わった子どもが次の世代の教育を創っていく。そんな連鎖反応が、少しずつ広がっていくことで、日本の教育ってよりよくなっていくんだと思います。

そんな私も2年前は、自分一人の力で教育をよりよくできると思い、フィンランドの学校現場に飛び出しました。しかし、インターンを始めて1ヶ月で、自分一人では、教育をよりよくしていくことは不可能であることに気付かされました。「私には何もできない。何のためにフィンランドに来たのか。」かなり落ち込み、サウナで考える日々を過ごしました。そもそも教育をよりよくするという考え自体が壮大すぎて、具体的なアクションは全く浮かびませんでした。

沢山悩んだ末、最初に生まれた私のミッションは、フィンランドの学校現場に「日本の教育をよりよくしたい」と考える学生と一緒に、フィンランドの学校現場を共に見学し、これからの教育や自分のミッションを一緒に創造していく機会を作ることでした。2年間で出会った仲間は、50人を越え、一人一人が自分の目標に向けて行動を起こしています。既に学校現場に出ている先生、文部科学省を志す学生、フリースクールの立ち上げを志す学生等、一人一人が目標に向けて確実に歩みだしています。今でも、出会った人は、私自身の大切な仲間であり、私自身の行動を続ける大きなモチベーションになっています。私にとって、この機会は、「これからの教育を一緒に創っていく仲間作り」です。

将来的には、ここで繋がった仲間が新しい新規事業を起こして、様々な教育モデルが生まれ、学生と社会人が一緒に学び合うコミュニティーに発展していけばと思っています。そのために、一人一人の人生と向き合いながら、これからも繋がった仲間と一緒にま学んでいきたいと思います。

1. はじめに

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「なぜ、私がフィンランドで先生することを決めたのか?」

初めに、簡単に振り返りたいと思います。私は、「一人一人が自分らしく、幸せに生きられる社会」が少しずつ広がっていったらいいなと漠然と考えています。もちろん、幸せに生きる社会を作るためには、様々な手段があります。私は、「人を育てるのは教育」だと考えているので、「教育」を通して、幸せに生きられる人が増えていく社会になったらいいなと考えています。その具体的なヒントである「一人の人間が生まれてから、自立するまでにどのような過程で、幸せに、自分らしく生きられる人生を歩んでいくのか」を実際に先生として地域、学校に入ることで、具体的な構想を得たいと思い、学校現場に入ることにしました。

私がフィンランドで先生を始める前に書いた「私がフィンランドで先生をする理由」についてまとめたブログはこちらです。

フィンランドの教育現場での「教育実習」基盤づくり

アントレプレナーシップ 研修企画

・日本語ガイドの育成

フィンランドの教材を学校現場に

フィンランドと日本で姉妹都市計画

2. 実際にフィンランドで教師をして感じていること【2019.10.30時点】

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改めて、私がフィンランドの学校現場で働き、フィンランド教育について発信する意味について考えてみました。

① 日本の教育の良さにも気づいて欲しい。

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フィンランドの学校現場で運動会を行なった様子(2017.11)

私が、フィンランド教育を発信するときに大切にしていることは、日本の教育の現状や良さも合わせて考え、発信している点です。日本で生活をしていると、日本の教育の良さが分からなくなってしまうことがあります。しかし、フィンランドでも、日本の教育の良さを取り入れている部分もあります。なので、これからの教育を考えるときには、魅力ある日本の教育を考慮しながら、これからの教育について一緒に構想していく人が増えたらと思っています。

▶︎日本の教育の魅力についてまとめたブログはコチラ 

② 日本の教育をよりよくしていきたいと感じる人が少しでも増えて欲しい。

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フィンランドの小学校で教育実習(2019.9)

最近、日本の教育現場では、ネガティブなニュースが多く流れているように感じます。ネガティブなニュースが流れると、教師を志す学生が減ってきている現状があります。この現象は具体的に何を現しているのか?

▼教師を志す学生の気持ち

・今、教育現場に入っても長時間労働で自分の時間を持つことができない。

・今の教育現場では、画一的な教育が行われていて、新しい実践をすると、他の先生とより良い関係が築くのが難しい。

・今の教育現場では、学校と合わない子どもを救うことができないから、学校外から教育にアプローチをしていきたい。

・今の教育現場は、閉鎖的な環境になっており、社会との繋がりを持つのが難しい。

教育に熱心な思いを持っている学生や先生であるほど、このような考えを持って学校現場を離れる現象が起きています。見方を変えると、これらは、ポジティブな意見にも見えるのですが、「学校教育に希望を持てない。」「何をしても学校はよくならない。」そう感じている熱心な教育者が増えているようにも読み取れます。これは、学校教育を諦めているようにも読み取れます。日本の文部科学省が学びの場所を学校教育に拘るの(学校外の学びを積極的に認めない)に対して、日本の教育の軸である学校教育から教師が離れていっているように感じます。このままでは、これからの日本を作る子どもたちの教育は誰がしていくのでしょうか?実際に、学校によっては、先生が不足し授業ができなかったり、管理職の先生が授業をするという悪循環の現象も起き始めています。

「このような教育現場の中で、私たちに何ができるのでしょうか?」

❶ 学校教育を支えるサポーターに予算を作る

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*大阪にある大空小学校には学校応援団が多くいます。

まず、国は学校教育に予算を少しずつ増やす必要があるのかなと感じます。予算が無いことには、新しい人材を雇用することができません。新しい人材を雇えないことは、ボランティアで学校教育を支えることになります。そもそもの学校を支えるはずのボランティアが、教員の負担に繋がることもあります。教員が、今何に困っていて、どんな力を必要としているのか?果たして、ボランティアの人は、教員の仕事を減らすことができるのか?なかなか、大学生や地域の方のボランティアが定着しないのも、ボランティアの方と現場の先生のニーズがマッチしないことが原因にも捉えられます。

実際に、今横浜市では、職員室のサポーターを雇用したり、島でも臨床心理士を雇うことで教員の本当のニーズに応える事例が増えてきています。

本当に教員の負担を減らすことが目的であれば、ボランティアでなく、人の雇用が必要になります。ボランティアの方を子どものサポートをつけることで、子ども一人一人のニーズに応えられますが、教員の仕事を減らすことになかなか繋がらないのが現状です。もし、ボランティアで成り立たせるのであれば、大空小学校のように、地域の人も目的を理解した上で、地域全体で行なっていく必要があるように感じます。

❷ 学校教育を支える''居場所''を作る

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次に考えるべきことは、学校と合わない子ども(不登校児童生徒)の支援に関してです。少しずつ国の法律「教育機会確保法」も改定され、学校外の学びの場も受け入れられるようになっていますが、まだまだ一部の子どもしか、このサービスを受けられない現状があります。理由として、国がフリースクールに資金の援助をしないので、サービスが必要な保護者から授業料を頂き、運営をしているフリースクールが多いです。

なので、今でも、学校現場で不登校問題を解決するのが課題となっており、先生方の過重負担(保護者への電話、家庭訪問等)になっており、本質的な解決策になっていない現状があります。そもそも、学校現場に居場所を感じれなくなって、不登校になっているのに、「学校現場に戻す」ことが支援の目的になっているのが、なかなか不登校問題が本質的に解決していない大きな原因になっています。

海外では、不登校問題についてどのように捉えているのでしょうか?

▶︎オランダとフィンランドの事例についてまとめたブログはこちら

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また、フィンランドでは、地域の中に子どもが無料で利用できる「居場所」を作ることで、子どもが安心して地域の中で過ごせる空間づくりを大切にしていました。

▶︎フィンランドの子どもの放課後の居場所についてまとめたブログはこちら

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❸ 教員にゆとりを生み出す

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①②を通して、初めて教員に少しずつ「ゆとり」が生まれると思います。フィンランドの先生が話しているように、「教育という仕事は減らすことが難しい仕事」です。子どもにニーズがある限り、国はその子のニーズに応えて、誰もが安心して学べる環境を公立の学校で作る必要があると考えています。もし、子どものニーズが先生の労働力を超えるのであれば、子どものニーズに応じてTAを雇用することで、教員の負担が大きくならないように調整されています。また、フィンランドでは、学校以外の場に、子どもが安心して過ごせる居場所が多くあるからこそ、子どもは安心して生活することができ、楽しく学校生活を送ることができています。

私は、教育をいきなり、大きく変えることは難しいと思っています。私たちの身の周りの小さい意識や行動の変化の積み重ねが、そのクラス、学校、地域の教育環境をよりよくしていくと思っています。今の日本の環境の中でも、地域を巻き込んで「子どもが幸せに育つ」取り組みをしている地域は沢山あります。教育って、学校の先生だけでは、決して作ることができません。教育はこれからの社会を作る」という意識を持てば、もっと一人一人が日本の未来の社会のために、自分の時間を投資して、子どもを支えたいと思っている地域の方は沢山いると思います。そのためには、学校の校長先生が、今の学校の現状を振り返り、今子どもたちに必要なサポートは何かを見定め、地域に声かけをすることから何かが始まるのではないでしょうか。

③ 日本の教育をよりよくしていくヒントになってほしい。

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私が、フィンランドの情報を発信し続けている理由は、フィンランド教育を通して「日本の教育をよりよくしていくヒント」があるのではないかと考えているからです。

▼もしかしたら...

・これから子どもの居場所を作ろうと考えている人のアイデアになるかもしれない。

・学校の先生でキャリア教育の目的が何かを海外の事例から学ぼうとしている人に届くかもしれない。

・子育てで悩んでいるお母さんのアイデアになるかもしれない。

不登校の子どもに学校に行くことが全てではないことを伝えられるかもしれない。

私自身も、日本に帰国後に作る居場所の構想を練るという目的があります。日本で生活をしていると、多くは日本の事例からしかアイデアを得ることが出来ません。もし、今日本の社会の中で、答えが見つからなければ、実際に「子どもが幸せに生きている」海外の教育事例から学べることも多くあると思います。世界中どこに住んでいても、私たちは「幸せ」に対して同じような価値観を持っています。

他にも、多くの教育関係者がこのような疑問が多くあるのではないでしょうか?

(学校外教育編)

・日本の教育をよりよくしていくためには私たちは、何をしたらいいのか?

・地域で必要な子どもの居場所とは?(▶︎こちら

・子どもの主体性やキャリアを育むために私たちにできることとは?

(▶︎こちら

(学校教育編)

・新しい教科が入ってきているけど、子どもたちにどんな効果があるの?

・インクルーシブ教育のメリットって何?(▶︎こちら

・ICT教育を取り入れることで、子どもの学び方と先生の働き方はどう変わるの?(▶︎こちら

・子どもの居場所って本当に子どものためになるの?(▶︎こちら

不登校の子どもをこれからどのように支えていけるのか?(▶︎こちら

少しずつブログでも、フィンランドの学校現場で学んだことを発信していくので、読んで頂けたら嬉しいです。是非、もっと詳しく知りたい、お話を聞きたい方がいましたら、お話できたら嬉しいです。私自身も、多くの人に情報を公開することで、多くの人から、沢山の学びを頂いています。一緒に学び、共にこれからの教育を作っていく輪が広げていきたい欲しいと思っています。

3. 帰国後の自分のアクション 【2019.10.27時点】

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私は、帰国後は「私に教育について考えるきっかけを与えてくれた」沖永良部島に戻り、「子どもが幸せに育つ地域社会」を地元の方と一緒に創っていきたいと思っています。そのために、私が起こすアクションは大きく2つです。

① 先生を志す学生とフィンランドで学ぶ機会を作ること(継続) 

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私は、教育をよりよくしていくためには、同時多発的に色んな教育に携わる人が意識を変えて、アクションを共に起こしていくことが大切だと思っています。しかし、「教育をよりよくしたい。」そう思っている人は少ないと思います。だからこそ、教育をよりよくしていきたいと思っている人と繋がることで、お互いにモチベーションを高めていける仲間を増やしていきたいと思っています。実際にフィンランドの学校現場を見学し、現地の先生と未来の教育を語り、仲間とこれからの教育について構想を練る時間は、これからも続いていくモチベーションになります。長い目で見て、多くの人と学びを共有し、新しい教育の価値観も少しずつ日本人に合った形で広げて生きたいと思っています。

② 沖永良部島で地域の教育ネットワークを繋ぐ社団の立ち上げ(新規) 

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私は、将来的には「地域コミュニティの中で、子どもが幸せに育つ学校(居場所)を作りたい」という夢があります。しかし、教育学部を卒業した私には、学校を作るスキルはありません。だから、私は今、スモールステップで学校を作るという目標に向けて進んでいます。

① 学生団体の中で、0から「人が幸せになれる」プログラムを作ること。(2017.10)

② 作ったプログラムを、共感をベースに、丁寧に繋げていくこと。(継続中)

③ 地域の方と協同で、子どもが幸せになれる事業''フリースクール''を立ち上げること。(2019.4)

④ ビジョンが同じ仲間と、社団法人を立ち上げて、地域のコミュニティを繋ぐこと。(2020.4)

⑤ 学校を作る?

「地域コミュニティの中で、子どもが幸せに育つ学校(居場所)とは?」

私たちが住んでいる地域を見渡してみると、様々なスキルや子どもを育てたいという想いを持った大人の方が多くいます。これからを生きる子どもたちに必要なのは、「自分は何が好きで、どんなことをして生きたいのか?」を共に考え、「一緒に地域の未来を作っていける学び場」だと思っています。これからの社会や地域のために、年齢に関係なく、子どもも大人も一緒に当事者意識を持ってクリエイトしていく場をつくりたいと思っています。

まだまだ構想段階ですが、フィンランドでこれからの日本の社会に必要な場の構想を練っていきたいと思っています。そして、「学校を作ること」は手段に過ぎません。本当に、今の日本、地域の子どもたちにとって、どんな場が必要なのか?地元の先生や地域の方々と一緒に、丁寧に作っていきたいと思っています。

 

これが、今の私の現在地です。思いを言葉にすることで、同じ思いを持った人と繋がっていけたら嬉しいです。

 

ここまで読んで頂き、有難うございました!

 

モイモイ!!!

 

 

PS.

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