フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

教育コーディネーターとしての新しい教育への関わり方

今私は、沖永良部島で教育コーディネーターとして勤めています。

地域おこし協力隊として採用され、配属は町の教育委員会になります。

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実際に配属した際の新聞記事はこちら!

news.yahoo.co.jp

amamishimbun.co.jp

昨年度は、フィンランドで教員として働きながら、子どもたちのために必要な社会についてフィンランドで考えてきました。そして、今沖永良部島で教育コーディネーターとして配属されて、3ヶ月目を向かいました。

 

本日のブログでは、①教育コーディネーター(町に2人)についてと②今の私の仕事についてまとめていけたらと思っています。私が、改めてブログを通して情報を発信していこうと思った理由は、今日本の社会で教育をよりよくしていく手段の一つとして、教育コーディネーターという仕事に可能性を感じているからです。

 

1.  沖永良部の町のミッションについて(私が配属された理由)

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・親子で離島語学留学の制度設計について

最初に、そもそもなぜ私が沖永良部島で働くことになったのかについて経緯をまとめてみたいと思います。私は、縁あって大学2年生の冬から沖永良部島に毎年通うようになります。最初に、沖永良部島で会った方が本当に温かくて、気づけば沖永良部は私にとって第二の故郷のような存在になっていました。毎回、沖永良部島に行く度に、私を歓迎してくれて、未来の教育について語る時間がとても楽しかったことを覚えています。今は、隣の町の地域おこし協力隊というカタチで採用され、これから3年間は教育委員会配属で、ミッション遂行に向けて覚悟を決めて移住してきました。この3年で6回の転職を経て、少しずつ自分の教育に関わりたいカタチで今の教育コーディネーターの職に就きました。

大学4年次終了

1年目上半期:カンボジア日本語教師

1年目下半期:フィンランドの学校現場でインターン

        海外教育実習プログラム(Beyond school)新規事業開始

2年目上半期:英会話講師(0才から18才)

2年目下半期:海外教育実習プログラム(GTP)への移行

3年目上半期:沖永良部島で放デイサービス/子どもの居場所新規事業開始

3年目下半期:フィンランドの学校現場勤務

4年目(現在):沖永良部島で地域おこし協力隊学校教育課採用

元々教員を目指していた私は、色々な経験をして鹿児島県で教員になりたい思いが強くありました。そして、今思い返すと小学校の教員になることに自信がありませんでした。なぜなら、小学校教員になるには、英語学習、プログラミング学習、不登校の子どもの支援、特別支援の理解、学級経営等多くの経験をしていないと子どもの前に立つことが怖い自分がいました。

そして、色々な活動をしていくうちに、日本の教育をよりよくしていくこと(社会課題)に興味を持っている自分がいました。具体的には、「日本で一人一人に合わせた教育の機会が等しく受けられる社会を創るにはどうしたらいいのか?」その問いを解決するために、私はフィンランドで教員をしながら社会の仕組みについて学んできました。今、フィンランドで学んできたことを沖永良部島で生かす最高の機会が与えられています。

前置きが長くなりましたが、私が沖永良部島フィンランドで教員後の最初のキャリアとして沖永良部を選んだ理由は、町のミッションに共感したからです。町の大きなミッションは「島留学の制度設計」を行うことでした。

「なぜ、島留学の制度設計なのか?」

疑問に思う人も多くいると思います。実は私が住んでいる町の、今私が勤めている小学校の全校児童は13名です。

「13名と聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか?」

もちろん小規模校には、プラスの面とマイナスの面、両方の側面があります。プラスの面としては、子に合わせたきめ細やかな支援をすることができます。マイナスな面としては、学年によっては一人の児童の学年もあるので、子ども同士の学び合いができない課題もあります。この課題に対して、町全体の取り組みとして、教育を通じて魅力ある地域コミュニティーを地域の方と一緒に作っていく動きがあります。そして、具体的な取り組みとして、日本全国から島留学の制度を使って、親子で留学できる制度設計をすることになりました。

「どうしたら、島に留学する仕組みができるのか?」

ここを掘り下げていくと、私が創りたい「教育を通じた地域コミュニティーと重なりました。実際に、魅力のある教育コミュニティーについて、今一緒に働いている方と掘り下げて考えると本質的な考え方がたくさん出てきました。

・一人一人に合わせた教育

・家庭や地域に関係なく、その子が学びたい教育を受けられる地域社会

・その子が幸せに生きられる地域社会

・これからの時代を生きる上で必要な力を身につけられる等

更に沖永良部島には、他の地域にはない魅力あるリソースが沢山あります。都会では、受験のために学ぶ子どもが多いと思いますが、沖永良部では純粋に学ぶことを楽しんでいる子どもが多い印象があります。また、海に囲まれた沖永良部島では、沖永良部でしか味わえない体験学習も多くあります。例えば、今世界共通の取り組みとしてSDGsの活動があると思いますが、ここ沖永良部島でも海ごみの問題があります。そこで、海ごみを回収して、モノづくりを行える体験学習や、海ごみ問題について英語でプレゼンを行うエコツアー等、今カリキュラムやプログラムの制度設計も合わせて行なっております。

このように、公教育と行政と地域が協働で魅力あるコミュニティーづくりを行なっていくことが今のミッションになります。ここからは、具体的に教育コーディネーターの役割についてもう少し詳しくまとめていきたいと思います。

2. 教育コーディネーターについて

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・教育コーディネーターの役割について

そもそも、教育コーディネーターとはどんな役割がるのか気になる方も多くいるのではないでしょうか?

私が、考える教育コーディネーターの役割とは、『学校現場と行政がなかなか手が届かないところに、一緒に協力しながら創っていく』ことだと考えています。

実際に、学校現場と教育委員会の会議に参加する中で、今まで見えてこなかったことが多く見えてきました。

今までの私は、日本の公教育はトップダウンで学校現場には裁量がないと思っていました。そして、教育委員会は国の指示を待っており、国(文部科学省)が動かないと地方自治体も動きにくい仕組みがあるように思っていました。しかし、実際に現場に入ると、学校現場にも、教育委員会にも裁量権があることが見えてきました。「じゃあ、教育をよりよくしていくために、動いていこうよ。」そんな声が聞こえてくるし、かつての私もそう思っていました。しかし、教育委員会と学校現場に実際に入ることで、いかに現場と行政が120%で稼働しているのかが分かりました。行政も少ない人数で、町全体の学校組織を動かしています。「つまり、今の職務を遂行するのにも、定められている勤務時間を超えているのに、新しい取り組みを行なっていくには、更なる労働時間が必要とされます。では、人数を増やせばいいという考えが出てきますが、教職員数や役場の人員の配置は明確に決められており、定数以上の人を雇うには更なる予算が必要になります。ここは、町全体の予算の話になってきます。」

今私と、一緒に働いている教育コーディネーターの方は、地域おこし協力隊の採用なので、町の予算ではなく、国の予算で雇うことができるので、人材の確保が可能になりました。このように、国の制度を使うことで、人材の確保が可能になることも知りました。

話は戻しますが、教育コーディネーター役割は、『学校現場と行政がなかなか手が届かないところに、一緒に協力しながら創っていく』ことだと考えています。

イメージはこのような感じです。

 

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現場の先生も教育委員会も、子どものたちの教育のために120%で動いています。

しかし、通常の業務でなかなか新しい取り組みを取り入れることが手が回らない現状があります。そんな時に、役に立つのが、教育委員会と学校現場に配属している教育コーディネーターの人材(私ともう一人の方)活用ができると考えています。例えば、今年度は、全国的に学校現場は休校になり、子どもの学びの保障をどのように確保していくのが課題になっている中で、なかなか学校現場も行政も通常業務で一歩踏み出すことが難しい現状が全国的にあったのではないかなと思います。

実際に沖永良部では、教育委員会と公立の学校現場配属の教育コーディネーターが2名いたので、コロナにおける対応は素早く進みました。休校が決まった段階で、オンラインでの学びの場を確保するために、企画書を作り、教育委員会に提案したところ、前向きに取り入れて下さり、その場で企画の練り上げを委員会全体で行い、次の週には各学校現場に一緒にコーディネーターが挨拶に周り、町全体の取り組みとしてオンラインでの学びの場をスタートすることができました。

実際に取り組みの様子は新聞にも取り上げられました。

そして、この一歩が今度は私が勤める公立の学校現場でのオンラインでの学習を進めることにも繋がりました。校内をあげての全国初の「複式学級でのオンライン授業の授業研究」は、教育委員会と行政の方もご協力頂き、コロナの第二波に備えた研修授業も休校を明けて行政と共同で校内研修を行う段階まできました。

news.yahoo.co.jp

amamishimbun.co.jp

このように、全国的にも珍しい、教育委員会に教育コーディネーターが配属されることで、今まで手が届いていなかったことも、学校現場と行政と協同したカタチで色々な取り組みを行うことことができています。

3. 私の現在の仕事について*一部抜粋

ICTで学習支援 知名町地域おこし協力隊(南海日日新聞) - Yahoo!ニュース

最後に、私の最近の教育コーディネーターの仕事について興味がある方は読んで頂けると嬉しいです。◎はもう一人の教育コーディネーターの方と一緒に行なっているミッションになります。

◯ 学校現場配属*複式支援員(週31時間)*教材研究除く

◯ 小学校の英語専科で学校周る(週4時間)

◎ 島留学の制度設計

◎ 空き家の回収

◎ 島留学の受け入れに伴うメディア発信 

◎ 放課後のまなび場「英語で探求学習*現在はプログラミング教室」

(週5時間)

◎ 島での人材育成(大学生)の研修の制度設計

◎ 会議出席(教育委員会と学校の会議)等

私が日常的に行なっている業務について、1つ1つ具体的に紹介していきたいと思います。

1. 学校現場配属*複式支援員(週31時間)*教材研究除く

現在、複式支援員として5年生の国語と社会と理科の授業を単式で受け持っています。フィンランドでいうリソースティーチャーの役割に当たります。(教員免許は取得しています。)

2. 小学校の英語専科で学校周る(週4時間)

今2つの小学校で2年生から6年生までの英語の授業をALTの先生と協働で行なっています。1年間英会話講師をしていた経験を活かして、実際にALTの先生と打ち合わせをしながら授業づくりを行なっています。

3. 空き家の回収

島留学を受け入れるにあたって大切になるのは、住居の問題になります。今沖永良部島には、移住してきても受け入れる住居の整備が追いついていないので、空き家の回収は重要なタスクになります。

4. 島留学の受け入れに伴うメディア発信 

沖永良部島で、どんなに面白い活動をしていてもメディアでの発信はとても重要になります。何か面白い活動をすれば、発信をしなければ島留学で沖永良部に来たい人に届けることができません。少しでも沖永良部での活動を広げていくために、メディア発信の時間に毎日2時間は使って様々な角度から発信を行なっています。

5. 放課後のまなび場「英語で探求学習*現在はプログラミング教室」

(週5時間)

今、東京の大学生と協働で、地域の公民館でまなび場を行なっています。このまなび場は将来町が運営していく公営塾になります。町が運営することで、町の予算を頂き、無料で地域の子どもが探求学習ができる環境の実現に向けて動いています。フィンランドでいう、ユースセンターのイメージになります。

6. 島での人材育成(大学生)の研修の制度設計

東京の企業lightfulと協働で、オンラインでプログラミング学習教室を始めました。講師は、東京のデジハリに通う大学生です。オンラインアプリzoomを活用して、小学生が放課後に無料でプログラミングを学習しています。

▽lightfulとは?

lightful.jp

7. 会議出席(教育委員会と学校の会議)等

教育委員会と学校現場と協働でプロジェクトを進めていく上で会議の参加はとても重要です。両方の立場の話を聞くことができるので、お互いの立場を尊重し、それぞれの事情に合わせて、地域の中で様々な取り組みを一緒に行うことができています。日本では、組織の中で共通認識を図りながら、進めていくことがとてもとても重要になります。議員さんとのコミュニケーションも重要になります。

8. 島留学の制度設計

1から7を全てまとめて、繋がって島留学の制度設計の基盤が出来ます。全てが島留学の制度設計に繋がっているので、一つ一つが大切な仕事になります。

 

私の場合は、毎日カウントできないぐらい仕事をしています。

ここまで働けているのも、私が今いる環境は、学校現場も教育委員会も、一緒にプロジェクトを進めている地域おこし協力隊の方も想いが同じで、同じモチベーションで働けていることに幸せを感じています。「全ては子どもたちのために」地域の教育に関わる人が一緒にチームとなって働けている環境が本当に楽しいです。

 

まだまだ、至らない点が多々ありの私ですが、周りの方が温かく見守ってくれているので安心して働くことができています。こんな幸せな働き方が広がったらいいなって思っています。地域の教育コーディネーターに興味ある方は気軽に連絡して頂けたら嬉しいです(^^)

 

この「沖永良部での実践」をテーマにしたブログでは、今後も以下のようなテーマで情報発信をしていこうと考えています。

・休校からオンラインでの校内研修までの動きについて

・行政と委員会と協働で行なったクリエイティブな校内授業研究

・学校現場における子ども中心の学びと集団での学びのバランス

・校内研修で学んだ本当の校内研修の目的とは?

・校内研修で学んだ複式学級/小規模校におけるICTを活用した新しい時代の学びの在り方について

・学校と地域と家庭が3者一体となって地域の子どもを育てる学校づくり

・暮らしの中で英語を学ぶ離島親子語学留学について

・私の町の充実した英語教育の環境について

フィンランドの学校の文化と似ている私の勤める小学校の特色について

 

本日はここまで読んで頂き有難うございました。

あくまでの私の視点で、行政や学校現場、地域の居場所、不登校支援等幅広く地域の教育に関わっていくので、今後のブログも楽しみにして頂けたらと思います。

 

モイモイ!!!