部活なしで、スポーツ人口が世界一のフィンランドの秘訣
日本で今話題となっている「ブラック部活動」問題。「ブラック部活」とは、部活動により、教員や生徒の本来するべきことに支障が出ていることが現在問題になっています。部活動廃止の反対の声で多いのは、
① 外部委託した時の安全管理問題
② 部活動がなくなることで部活動で培っていた力をどのようにして育むのか
この2つがよく挙げられる。しかし、世界に目を向けると部活動がなくても、一人あたりのスポーツ人口が世界一の国があります。フィンランドです。本日のブログでは、部活動がない環境の中で、どのような仕組みや考え方で「スポーツ人口世界一」を実現しているのかについてまとめてみたいと思います。また、フィンランドのスポーツ文化ならではの課題もありました(^^)
1. 小学校の体育の目的
フィンランドの体育の授業では「スポーツを楽しむこと」を目的としています。
更にスポーツを通して養えるものとして、
● 仲間との協調性
● 戦略(考える力)
● 健康増進等
この3つを教員が共通認識として持っています。ここは日本と比較しても同じである。
「では、どうして日本では、スポーツが好きではない子どもが比較的に多いのか?」
日本の体育の特徴について*フィンランドの先生に話をしてみました。
私:「フィンランドでは、体育が嫌いな生徒はいますか?」
*先生:「もちろん何人かは、体育の授業が好きでない生徒はいるよ。」
私:「では、スポーツが嫌いな生徒っているんですか?」
先生:「どの子も好きなスポーツを一つは持っている子は多いね。」
私:「スポーツが好きになるために、授業で大切にしていることはあるんですか?」
先生:「授業では、どの子も楽しめることを大切にしているよ。」
私:「例えば、どんな工夫をしているのですか?」
先生:「体育では、周りの子と競争することよりも、自分の健康維持や、仲間と協力する力を育むことの大切さを子どもたちに伝えているよ。」
私:「子どもたちは、競争することも好きだと思うのですが、競争はさせないんですか?」
先生:「もちろん、スポーツの醍醐味は競争をすることだから、競争も入れているよ。でも、全員が競争する必要はないと考えているし、全員が競争できるようにルールを工夫して、競う楽しさも子どもたちに教えているよ。」
考え方を一つ変えるだけで、子どもはスポーツが好きになると話してくれました。大事なのは「そもそも体育の目的は、その子が生涯スポーツを通して、健康を保持する」ということです。授業の中では「子どもには、体育でいろんなスポーツを体験して、その中から好きなスポーツを見つけて欲しい。それが将来の趣味の一つとなればいいよね。」とシンプルに考えていました。
評価の基準が「スポーツができた、できなかった」ではなく「友達と協力できたかどうか等」プロセスにフォーカスしていました。授業で「楽しい!」と思ったスポーツは放課後に趣味として始める子どもがとても多いです。そして、フィンランドのスポーツ人口が多いのは、この放課後の地域のコミュニティにありました。
2. 地域のスポーツコミュニティの充実に関して
フィンランドの子どもは、日本の子どもと同じように多くの習い事(スポーツ)を行なっております。フィンランドの学校には、日本のようにクラブ活動がないので、様々なスポーツをする機会が地域コミュニティの中で充実していました。
例えばこのようなスポーツがあります。
サッカー、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、フロアボール、乗馬、水泳、アイスホッケー、合気道、柔道等
「日本でもスポーツの習い事・部活が充実しているのですが、なぜフィンランドの方がスポーツにアクセスしやすいのか?」
フィンランドでは、誰もが自由にスポーツに参加することができます。日本でいうスポーツ少年団のようなものもありますが、多くは趣味として楽しむことを目的としています。驚くべき事は、ほとんどのスポーツは「無料」で参加することができることです。理由は、地域の方が趣味で子ども達にスポーツを教えているからです。このスポーツコミュニティはフィンランド全土で広がっていました。ここは、子どもにとって「学校と家庭以外の3つ目の居場所」になっていました。
3. フィンランドのスポーツ課題
実は、スポーツに関してフィンランドならではの課題も存在しました。「スポーツ=趣味、楽しむもの」という考え方が根付いているフィンランドは、オリンピック選手が育たないというものがありました。確かに、フィンランドでは、気候的な環境もあり、練習時間が短くなるという要因もありますが、スポーツは「競争」ではなく「楽しむため」にあるという認識が相対的に強いと現地のスポーツのコーチは話していました。
フィンランドでは、スポーツだけでなく、学習も「生涯続けたいと思える、自分の好きなこと」を見つけることが学校の役割の一つとしてあります。ボトムアップを意識しているフィンランドでは、才能のある子どもを伸ばすことにフィンランドは課題感を感じていました。
日本では、もう少しボトムアップを意識した教育の支援が必要に感じます。フィンランドから学べることは学び、日本の良さを残して行けたらと思います。
本日のブログでは、フィンランドでは、部活動がない環境の中で、どのような仕組みや考え方で「スポーツ人口世界一」を実現しているのかについてまとめてみました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
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明日のブログも楽しみにしていただけたらと思います(-^-^-)
モイモイ!!!