Unit3 多角的な測定が形の定義にどのように役立つかを理解することで、芸術性と創造性が向上します。
- ・概要
- ・アクティビティ1「イントロダクション」
- ・アクティビティ2(G6)「身の周りから白銀比を探す」
- ・アクティビティ2(G7-9)「身の周りから白銀比を探す」
- ・アクティビティ3「コピー用紙の美を探究」
- ・アクティビティ4「白銀比の正体を探究」
ユニット3では、「個人的表現と文化的表現」というグローバルな文脈の中で、測定を行うことが図形を定義し、これについて理解することが芸術性や創造性に繋がることを探究していきます。私たちは、生活の中で何かものを買うときや作るときに機能性だけでなく見た目の美しさからも選択をしていると思います。
「私たちが何かを選択するときに美しさを感じるのはなぜか?」「美しさを感じるものにはどのような特徴があるのか?」私たちは無意識に美しいと感じる形があります。このユニットを通して、多角的に形を測定することを通して、美しさを構成するものの特徴について探究し、最終的には投影図を使って多角的な視点から測定し、自分たちの表現したいことを様々な視点で構成し、投影図を共通言語とし、協働で動的な作品を制作することを行っていきます。
・概要
Statement of inquiry
多角的な測定が形の定義にどのように役立つかを理解することで、芸術性と創造性が向上します。Global context
個人的表現と文化的表現このユニットでは、比率、投影図(立面図、平面図)、および平方根を使用して、「個人的表現と文化的表現」のグローバルな文脈を探究していきます。身の回りにある私たちが美しいと感じるものの特徴を調べるために、比率がもたらす視覚的かつ機能的な美しさを探究していきます。
また、測定したことを投影図にすることで、どのようにしたら芸術作品に奥行きや立体感を与え、観察者により深い感動をもたらすことができるのかについて考え、実際にパフォーミングアートをつくる機会を通して社会の中にある多角的に測定することの価値について探っていきます。このスキルが、社会に出たときに形だけでなく、様々な場面で多角的な視点で物事を見ることで、協働したり、より価値のあるものを生み出すことのできるスキルに転移することを期待しています。
・アクティビティ1「イントロダクション」
まずは、Statement of inquiryにある「芸術性(美)」についての探究を行うことから始まりました。ここでの着地点は、私たちが無意識に美しいと感じる「黄金比」や「白銀比」というものに対して本当に「美しい」と感じるのかを探っていきました。この時は、まだ多くの子どもたちは白銀比や黄金比については知らない状態です。
早速身の周りや学校を歩いて、美しい、或いはしっくりくる長方形を探して測定する活動を行いました。さらに、闇雲に測定するのではなく、自分自身がしっくりくる長方形には何かパターンがあるのかを探りながら測定することを伝えました。
次の学習活動として、測定を行ったものの比率を縦の長さ(短い方)を1として求めていきました。G6からG9までの13人の結果をグラフにすると以下のようになりました。
不思議なことに、誘導することなく1:1.4(白銀比)と1:1.6(黄金比)の比率が多いことが分かります。
ここで、ある調査を行いました。
これは、東京工芸大学芸術学部の牟田淳氏の研究を参考にしたもので、古来から人間は黄金比を好む傾向があるという研究がされてきましたが、国によって何を美しいと異なるのではないかという仮説のもと、実際に自分たちもどの四角形に美しさを感じるのかを調査を行いました。
調査の人数が少ないので、自分が好きな四角形の順番に番号ふりました。なので、合計の値が少ないほど、人気な四角形になります。
この結果から、圧倒的に正方形が人気であることと、次に黄金比と白銀比の長方形が人気である結果になりました。英米では黄金比の長方形が一番人気である結果との違いが何から生まれているのかのディスカッションも面白かったです。
・アクティビティ2(G6)「身の周りから白銀比を探す」
私たちの身の回りにあるものの中で、白銀比が使われているキャラクター(キティ、ドラえもん)法隆寺、東京スカイツリーの中に潜んでいる白銀比を測定を通して見つける活動を行いました。
・アクティビティ2(G7-9)「身の周りから白銀比を探す」
白銀比が繰り返し出てくる直角二等辺三角形と正五角形の図形の中に補助線を入れることで、白銀比が繰り返し出てくるパターンを発見する活動を行いました。この後学習していく、コピー用紙も追ったり重ねたりすることで、白銀比が繰り返し出てくる法則があり、白銀比が美しい図形を生み出す何かを発見したのではないでしょうか?
・アクティビティ3「コピー用紙の美を探究」
◎ 問い
・なぜ、コピー用紙は白銀比なのか?
・コピー用紙のサイズにはどのような特徴があるのか?
実際にコピー用紙を折りながら測定を通して白銀比を見つける活動を行いました。
A版チームとB版チームに分かれて、それぞれ辺の長さを測定していきました。実際の結果から測定していくチーム、元となるA4,B5のサイズから割り算をして正確に測定をしていくチームがありました。
そして、計算結果と図形を組み合わせると、ある法則を発見していました。縦と横の長さが、1つ小さなサイズになると、縦の長さが元の横の長さとなり、横の長さは縦の長さと同じになるのが繰り返されることを発見していました。
このときに、子どもたちから生まれた問い
・白銀比だけが1:1.414...の比率が繰り返されるのか?
・他の比でも同じ比率が繰り返されるのか?
実際に黄金比(1:1.618)の長方形を作成し、半分におった時に黄金比が繰り返されるのかを測定し、黄金比では同じ比率が繰り返されず、白銀比のみが同じ比率が繰り返されることを発見していました。ここに白銀比がもつ特別な特徴を見出していました。
そして、サイズが小さくなっていく法則は見つけたことを応用し、サイズを大きくしていくときの法則を探し、実際にA0、B0のサイズの紙を制作する活動を行いました。
このときに、A4サイズからA0の紙を作るのに必要な紙の枚数、B5サイズからB0の紙を作るのに必要な紙の枚数を、指数法則の増え方を想起させて考えました。
・アクティビティ4「白銀比の正体を探究」