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Unit2 世界の中の不平等や格差を数字で紐解く(G6)Part1

Unit2 社会の不平等や格差は、数量の等価形式を使用することでより明確になる

ユニット2では、公平性と発展というグローバルな文脈の中で、社会の中にある不平等や格差を数字で紐解いていきます。私たちは、何となく生活の中で不公平という言葉を使っていると思います。私たちが使っている不公平という言葉の根拠にあるものは何か?社会の中に複雑に絡み合っている問題を数字を使って事実を示すことができることをこのユニットを通じて子どもたちに体感してもらえたらと思っています。

・概要

Statement of inquiry
社会の不平等や格差は、数量の等価形式を使用することでより明確になります。

Global context
公平性と発展

このユニットでは、パーセンテージ、分数、および小数を使用して、「公平性と発展」のグローバルな文脈を探究していきます。
世界中の難民の移動、労働条件、栄養、および安全な飲料水の利用可能性を調べるために、パーセンテージ、分数、および小数の関係を適用します。
また、外国で難民として生活する経験について考えたり、ディスカッションしたりする機会を通して社会の中にある不平等や格差について自分たちがどのように向き合っていくのかを考えていきます。

・アクティビティ1「イントロダクション」

まずは、子どもたちに探究のメッセージを提示するところからスタートしました。探究のメッセージとは、数学の教科で伝えたい重要概念と関連概念を掛け合わせて、子どもたちに伝えたい概念的な理解を、グローバルな文脈を投影して浮かび上がってきたものと私の中では解釈をしています。

今回の探究のメッセージは「社会の不平等や格差は、数量の等価形式を使用することでより明確になる」最初の導入として、探究のメッセージを見て感じたことを「3-2-1Bridge」で書き出すワークを行いました。子どもたちの中でピンときていないキーワードがあったので、「数量の等価形式」というキーワードで3-2-1bridgeを行いました。

▼ 子どもたちが数量の等価形式について最初に思い浮かんだこと

① Think
平等な価値、仕組みや方法、重さ、形、等しい、バビロニア数字、違い、価値の違い、平均、数
② Question
数学で社会は変わるのか?等価形式とは何か?等価形式は何に使われるのか?どんな形式なのか?よく使われる等価形式とは何か?
③ Metaphor
メタバース、ある人とある人のパワーの差

次に、社会の中の不平等や格差の中で、今回のユニットで扱っていくテーマである難民について同じく「3-2-1Bridge」を行いました。

▼ 子どもたちが難民について最初に思い浮かんだこと

① Think
赤十字、支援 / 戦争、紛争/死者、死ぬ/衣食住がない、飢餓、ご飯を食べれない/親がいない、孤独/ウクライナ/理不尽/治安/難民キャンプ
② Question
なぜ戦争が起きるのか?難民はどのようにして生きているのか?赤十字は関わっているのか?難民の数とは?難民の人がいる社会的な影響とは?等価形式と難民はどのように関係があるのか?難民は1日に何人なくなっているのか?どこでどうやって難民が逃げる場所が決まるのか?
③ Metaphor
なし

・アクティビティ2「青年海外協力隊員の話''難民をトピックに''」

次のアクティビティでは、実際に青年海外協力隊で中東ヨルダンにあるシリア人難民キャンプ(ザータリ難民キャンプ)で活動をしていた方をお招きして、現地でのリアルな体験談について話をして頂きました。お話では、ヨルダンでの暮らし、ヨルダンの都市部と田舎の違い、難民が生まれる背景、難民キャンプでの衣食住の話、難民キャンプの教育環境の話、難民を受け入れてから起こりうる問題等について話をして頂きました。

実際のリアルな体験談は、子どもたちを引き込んでいき、後半のフリートークでは質問が止まらない時間になりました。印象的だった質問は「ヨルダンでは、宗教上のことで砂糖を色々な食べ物や飲み物に沢山入れるという話と、食料や水に限りがある話の間に矛盾を感じ、砂糖を沢山輸入することをやめたらもう少し経済が発展するのではないか」という質問に対して「生物学的には砂糖は最低限あるといいけど、宗教というのはとても大切にされていて、生きる道筋でもある」というやりとりを行っていました。

▼ 実際に話を聞いた後の子どもたちの変化

・難民はお金を貰えないと思っていたけど、お金をもらっていることを知った。
・最初は貧しい国は全体的に貧しいと思っていたが、町の方は沢山の家があって、一部戦争などで避難した人が難民キャンプを利用している。
・難民キャンプでの生活は困難だと思っていたが、お金がもらえることを知った。
・難民は衣食住がないと思っていたが、衣食住がある程度はあることが分かった。
・難民が「でていけ。」と言われることを知った。
・水が水道から出てくると思っていたら、タンクで水を飲んでいることを知った。
・68万人がヨルダンへ移動しており、移動の最中になくなってしまう方や戦争で無くなってしまう人がいることを知り悲しみを持った。
・難民はご飯が食べれないだけできれいな水を飲んでいると思っていましたが、お金がない状況では寄生虫がいる水道水を飲むことになることが分かった。
・難民キャンプでの仕事は、水を組むだけだと思っていたが誇りのある仕事だと思った。

次に、ゲストの方は私たちにどのようなことを伝えたかったのかを言語化してみました。伝えたかったメッセージから、これから探究していく問いを子どもたちの受け取ったものから構成できたらと思いました。

▼ 子どもたちが感じ取ったメッセージ

・人が増えていくことは良いことだけど、逆に地球はどんどん汚れ、水や食糧は無くなってしまう。
・難民の人は水の問題やお金の問題を抱えていること。
・自分たちはどのくらい豊かなのか?
・ヨルダンの人々が貧しくなっている中、僕たちは幸せに暮らしているから、ヨルダンの人々のことを応援する(寄付みたいなもの)を伝えたかったのかも。
・難民たちは戦争から逃げて終わりではなく、その後もある。ゲストの方は、どのように難民の方をサポートし、私たちはどのようにサポートできるのか。
・自分たちは今、水を普通に飲めるし、温かいご飯も食べれるし、家もある。けど、今他の国では、そんなに恵まれていない人もいるから自分たちは恵まれていること。
・人間を大切にしようということ。
・自分たちの「当たり前」と世界の人の「当たり前」は違うということ。自分たちにはどんなことができるのか?
・自分たちの「フツー」の暮らしと難民の方の「フツー」な暮らしの違い

子どもたちが受け取ったメッセージを見ると、尺度の違いや何を基準に貧しさや豊かさ、普通と呼ばれるものを測ることができるのか?また、難民を受け入れた後の問題やこれからの地球上の食料や水の問題についてもどのように公平に資源を分配していけばいいのか?という問いについて数学的にどのように探究していくことができるのかを考え始める種が生まれているのを感じました。

さらに、今世界の資源は平等に分配されているのか?という問いに対しては、多くの子が平等に分配されていないという立場に立っているのがわかりました。子どもたちは日本に住んでいる自分たちの暮らしと世界で起きている難民の方の暮らしを比較して不平等さを感じている子、平等であれば戦争は起きていないので、戦争が起きている今この世界は平等ではないと考えている子、そもそも「平等」「公平」「普通」という言葉には基準がないので、考えることは難しいと考えている子もいました。

「世界の資源を平等に分配するとはどのようなことなのか?」
「どのようにして世界にある資源を分配することができるのか?」

これからじっくり子どもたちと探究を重ねる中で考えていきたいと思いました。

・アクティビティ3「世界の地域ごとのGDP分析」

次に「世界の資源は平等に分配されているのかをどのように知ることができるのか?」という問いかけを行いました。

▼ 子どもたちの意見+それに対する問いかけ

・物価(物価が高い国と低い国がある)
> 物価は何を表しているのか?
・世界のビックマックの値段
ビックマックの値段と資源が平等に分配されているのかはどのように繋がっているのか?
GDP
GDPとはそもそも何か?GDPが高いことは何を表しているのか?

その中でも印象的だったのは、世界のビックマックの値段と世界の資源が平等に分配されていることの繋がりについてである。「世界のビックマックの値段はどのように決まっているのか?」という問いかけに対して「その国の物価とその国で原材料を輸入するのに必要なコストが関係してくる」という意見が出てきました。実際に、国によってビックマックの値段が異なることが事実として分かっています。

子どもたちと一緒にこれから考えていきたい議論的な問いとしては「世界の資源が平等に再分配された世界とはどのようなものなのか?例えば、ものやサービスの値段が平等になっている世界なのでしょうか?」

「私たちは平等を目指すのか?公平を目指すのか?」数学を通して少しずつ世の中で起きている不平等さや格差を明らかにしていく探究を行っていきます。

その最初の一歩として、世界のGDPを地域ごとにみていきました。

まずは、地域ごとのGDPと人口が世界の総GDPと人口に対してどれくらいの割合を示しているのかをリサーチしていきました。ここで出てきたパーセンテージ が何を示しているのかを次の授業で読み取っていきます。

子どもたちの中で、GDPだけをみると日本が世界第3位であり、アジアも世界の中では一番高い値になっていることに気付きました。「では、GDPだけを見て世界の豊かさを量ことができるのか?」すると「人口が多いとGDPは高くなるから、人口とGDPは関係しているのではないか?」という声が出てきたので、一人当たりのGDPを計算して考えてみました。

一人当たりを調べると、実はアジアのGDPは低いことに気づく子どもが出てきました。

・アクティビティ4「 国際会議」

次のアクティビティでは、今の世界の人口が100名だった場合を想定し、そしてその代表者10名が集まる世界会議の設定で、世界の地域ごとのGDPを参考に会議を行いました。

▼ 10名の世界会議

アジア ▶︎ 5.9人=4人
アフリカ ▶︎ 1.8人=2人
アメリカ ▶︎ 0.5人=1人
南アメリカ ▶︎ 0.8人=1人
オセアニア ▶︎ 0.1人=1人
ヨーロッパ ▶︎ 0.9人=1人

今回はディスカションをするためにも、アジアの人数を減らして、オセアニアとヨーロッパに1名ずつ入ってもらいました。まずは、世界の資源をGDPを基準にして、どのように資源が分配されているのかを考えていきました。世界に100の資源があった場合、今の現状としてはどのように分配されているのかを計算し、各地域に資源の分配を行いました。

▼ 100の資源の分配状況

アジア ▶︎ 37
アフリカ ▶︎ 3
アメリカ ▶︎ 28
南アメリカ ▶︎ 6
オセアニア ▶︎ 2
ヨーロッパ ▶︎ 24

そして各地域に100の資源の分配を行いました。こうやって、資源を目に見える形で分配すると世界にある資源がどのように分配されているのかを体感していました。

さらに1人あたりの資源の数(世界の人口を100名が基準)を計算してもらいました。

▼ 1人当たりの資源

アジア ▶︎ 0.6 / 人
アフリカ ▶︎ 0.16 / 人
アメリカ ▶︎ 5.6 / 人
南アメリカ ▶︎ 0.75 / 人
オセアニア ▶︎ 2.0 / 人
ヨーロッパ ▶︎ 2.7 / 人

すると、北アメリカが一番一人当たりの資源が多く、アジアとアフリカの資源が少ないことが平均的な考え方を用いることで明らかになりました。

改めて、ユニットが始まる前に問いかけたことを尋ねてみました。この時は明確に理由(事実)を示すことができなかったのですが、GDPの数値的なデータを示すことで、世界の資源が平等に分配されていないことを知ることができました。

次に「現状の資源が分配されている状況でいいのか」について話し合う会議の場を持ちました。すると、ある地域とある地域で同盟や協定のようなものが結ばれ始めました。

会議①の後

▼ 同盟を結ばなかった地域
◎北アメリ
理由>資源の少ないアフリカと同盟を結ぶと損をしてしまうから
一人当たりのGDP>5.6 / 人
◎アフリカ
理由>GDPが低いので、途中で同盟を斬られそうだから(実際に最初北アメリカと同盟を組もうとしていたが、切られてしまった経験がある。)
一人当たりのGDP>0.16 / 人
▼ 同盟を結んだ地域
オセアニア/ヨーロッパ/南アメリカ/アジア
理由>友達になりたい(友好関係を築きたい?)/GDPが低いところのサポートをしたい/北アメリカを倒したい
一人当たりのGDP>0.89 / 人

ヨーロッパ地域の代表者は、一人当たりのGDPが大きく下がったのですが、GDPが低いところのサポートをしたいので、同盟を結ぶ立場を強く示しているのが印象的でした。また、GDPが低いアフリカは、途中で同盟が切られてしまったことで同盟を組んでも途中で切られてしまうことを考慮して同盟を組まない姿勢を示していました。北アメリカの代表者は、明確に自分の国が損するので他の地域とは組まない姿勢を示しています。計算によって求めた一人当たりのGDPの結果を見て、2回目の世界会議を行いました。

会議②の後

▼ 同盟を解除した地域
南アメリカ
理由>同盟を組んだ前と後で比較してあまり変化がないので別にいいかなと思った。
一人当たりのGDP>0.75 / 人
▼ 同盟を組み直した地域①
◎北アメリカ/オセアニア/ヨーロッパ
理由>北アメリカにアジアと南アメリカと同盟を解除することを条件に同盟を組み直した。
一人当たりのGDP> 6.8 / 人>実際は3.6(計算ミス)

▼ 同盟を組み直した地域②
◎アジア/アフリカ
理由>戦争に備えて人数を確保するため
一人当たりのGDP> 0.5 / 人

2回目の会議の後では、明確に資源のある地域と資源のない地域で同盟が結ばれ、資源がない地域では戦争をするための人数を確保するために同盟が結ばれていました。これに対して、資源のある地域の代表者は、資源を使って戦争に備える姿勢を示していました。また、実際の社会では、NATOで北米とヨーロッパが同盟を結んでいる話も出てきています。

実際の資源が平等に分配されているかどうかを考えていくのは、歴史的な要因や現在の政治的な要因、実際の資源の利用率など、様々な要因が絡んでいます。少しずつ数字を使って、世界の中にある不平等さと格差を紐解いていく探究がスタートしました。数字で世界を微分することで、ユニットの最後にどのような世界を気付いていくのか、子どもたちの思考や考え方の変化をレポートしていきます。

・アクティビティ5「 世界貿易ゲーム」

今回のアクティビティでは、どのようにして世界の中で格差が生まれるのかを、『貿易ゲーム(THE TRADING GAME)』を参考にしながら貿易ゲームを行いました。

前回のアクティビティで、もし世界が100人の村だったらを想定し、6つの州に分かれて、国際会議を行いました。その中で、6つの週の中で同盟を結ぶような動きが生まれたり、先進国が途上国を支援する動きも生まれました。今回は、実際にそれぞれの地域に資源を配り、製品をつくり実際に利益を競う貿易ゲームを行いました。

まずは、各地域ごとに資源(紙、お金、証明書)と技術(はさみやコンパス、定規)を配ります。配られる資源や技術は、その地域のGDPによって配分され、途上国には不十分な資源と技術を、先進国には十分な資源と技術が配られた不平等な条件の中でゲームがスタートします。

▼ 先進国に配られた技術

発展途上国の地域に配られた技術

▼ 作成する製品(市場の価格は変動)

▼ 各地域の資源と技術

アフリカ▶︎人数:2名 / お金:💲200 / 紙の数:4枚 / 証明書:4枚
アジア▶︎人数:4名 / お金:💲400 / 紙の数:10枚 / 証明書:2枚
ヨーロッパ▶︎人数:1名 / お金:💲1200 / 紙の数:1枚 / 証明書:1枚
アメリカ▶︎人数:1名 / お金:💲2000 / 紙の数:1枚 / 証明書:1枚
オセアニア▶︎人数:1名 / お金:💲1200 / 紙の数:1枚 / 証明書:4枚
南アメリカ▶︎人数:1名 / お金:💲600 / 紙の数:10枚 / 証明書:4枚

早速製品の開発が始まると、先進国の地域は製品の製作を始め、途上国ははさみがギザギザであったり、コンパスがなかったりするので、製品の開発をすることができません。

▼ 製作された製品

各ラウンドごとに様々なイベントが起こり、市場の製品の価値が変動したり、国連から途上国に援助が行われたり、新製品の開発等が行われたりします。

ラウンドごとに色々な動きが生まれます。

例えば、新製品の開発のイベントカードが出ると、市場に新たなニーズが生まれ、需要に合わせて新しい製品の製作を行う地域が出てきます。

新しい資源が発見されると、市場にこれまでになかった素材の原材料が出回ります。新しい資源に投資し、より価値の高い製品の開発を目指すのは、資金を持っている先進国である北アメリカ大陸の地域でした。

この世界では、廃棄物の処理も生産する側の大きな責任になります。SDGsにも掲げられている「つくる責任、つかう責任」今回はつくる側に、できるだけ産業廃物が出ないように意識することと、ゴミをどのように処理していくのかを考えていくきっかけとなる仕掛けを作りました。産業廃物の処理の必要性を知った先進国は、産業廃棄物を発展途上国との取引で使用する動きも生まれました。

また、新しい技術では、コンパスとはさみが市場に出回ります。ここで、資源を持つ国と資源を持たない国で協定を結びながら製品の開発を行うことが想定されましたが、既に円の商品の供給が増えすぎていることもあり、新しい技術は購入されませんでした。

国連の支援により、途上国と先進国の間で動きが生まれました。今まで、はさみがなく製品の開発が止まっていた途上国ですが国連の援助により、支援された紙を使って先進国と取引が行われます。しかし、先進国は資金と技術があることで強気の姿勢を示し、結局は途上国にとって不利な条件ではさみが供給されます。実際には、3分間のはさみの貸し出しと2枚の紙の資源での取引が行われていました。

▼ 各地域の資源と技術の推移

アフリカ▶︎ お金:💲0 >(-💲200)
アジア▶︎お金:💲6800>(+💲6400)
ヨーロッパ▶︎お金:💲1200(欠席のため±0)
アメリカ▶︎お金:💲4200(+💲2200)
オセアニア▶︎お金:💲1300(+💲100)
南アメリカ▶︎お金:💲700 (+💲100)

アジアは人数が4名ということで、豊富な資源と労働力を生かして大きく発展しました。北アメリカも豊富な資源と高い技術を生かして着々と利益を伸ばしています。その一方で途上国は上手く取引を行うことができず、製品を生産できない状態が続いています。

▼ 生徒の第1ラウンド終了後のリフレクション

- 南アメリカ&北アメリ
▶︎南アメリカは、高い技術を得るために、労働力として北アメリカと一緒に製品を生産する取引を行っていました。北アメリカ側にとっても労働力を必要としていたので、南アメリカとお互いにウィンウィンになる取引が進められていました。
- オセアニア
▶︎ 資源と技術はあるが1人で製品をつくることにハードルを感じていました。
- アフリカ
▶︎ そもそも技術がないので、製品をつくることにハードルがある。
- アジア
▶︎ 生産量は多いが、アジアは人数が多いので一人当たりで計算すると、利益率は少ないと捉えている。

第2ラウンドスタート

第1ラウンドから第2ラウンドが始まり、各国の関係性に変化が生まれてきました。

- 北アメリカ & アフリカ
▶︎ 北アメリカ側は労働力を必要としており、アフリカから労働力として雇い資源を共有しながら生産力を高める戦略でスタート。
- オセアニア&南アメリカ
▶︎ オセアニア南アメリカは資源を共有し、オセアニアの資源が安定してきたら南アメリカと共同で生産を行い、利益の一部を配分する取引で協定が結ばれていました。
- アジア
▶︎ 機械を生産し、一度に多くの製品を生産する技術の開発を戦略に豊富な人材を生かしアジア内で役割分担をしながら生産性を高める戦略でスタート。

本日は第1ラウンドにはなかったイベントカードが導入されます。

山火事が発生し、北アメリカで被害が生まれる出来事が起きました。ここで印象的だったのは、他の地域が喜んでいたことです。実際には、他国で山火事が起きると、他の地域にも影響が出てくるので、それに合わせた他国への影響もゲーム内にデザインできると他のものとの繋がりが意識できると思いました。

また、国を維持していく上で必要になってくる資源である水と食料ですが、各地域ごとの人数に合わせて支払いを行う場面がありました。アジアは人数が多いので、生産額が高くても国を維持していくのにたくさんの資源が必要であることを体感していました。

▼ 各地域の資源と技術の推移

アフリカ▶︎ お金:💲0 >(-💲200)>💲0 >(±💲0)
アジア▶︎お金:💲6800>(+💲6400)>💲8400(±💲1600)
ヨーロッパ▶︎お金:💲1200(欠席のため±0)>💲1200(欠席のため±0)
アメリカ▶︎お金:💲4200(+💲2200)>💲3700(-💲500)
オセアニア▶︎お金:💲1300(+💲100)>💲4000(+💲2700)
南アメリカ▶︎お金:💲700 (+💲100)>💲300 (-💲400)

印象的だったのは、アフリカと北アメリカの同盟です。アフリカの人材を労働力として取り入れた北アメリカですが、今まで技術(ハサミ)がない環境で生産を行っていたので、いきなり導入された技術を上手く活用できず、結局1つも製品を生産できず時間になってしまいました。アフリカ側は「使い方の教育を受けていないのでいきなり道具を渡されてもできない」と話し、人材の導入だけでなく、教育の必要性を北アメリカは感じたのではないでしょうか。結局、北アメリカはアフリカを労働力から外し、新たな協定を考え始めます。北アフリカはラウンド1では国際社会の中で影響力を持っていましたが、同盟を組む約束をしては、条件が合わず何度も変えることで国際社会の中で信頼を上手く築けていない印象を受けます。

その一方で、オセアニア地域は利益が上がれば、しっかり生産した分の利益を支払う契約を南アメリカと行い、実際に利益が上がってきたことでオセアニア南アメリカの間で信頼関係は高まってきている印象です。

アジアは、独立して生産技術を高めてきています。生産が進んでいくと、資源もなくなり始め、資源を持っているアフリカは他国から交渉を持ち込まれます。既に資金のないアフリカは資金を持っている地域の交渉に対して戸惑っている様子を感じます。様々な条件で交渉の声がかかり、資源と資金を交換する交渉が行われていました。しかし実際には、技術があれば資源はより高い価値の製品になることに気付いていないので、あまり良い条件でない交渉が行われていました。

次回は、中立的なバランスのとれたヨーロッパのリーダーが入るので国際社会に大きな変化が生まれることが予想できそうです。

第2ラウンドから第5ラウンドまで終了しました。

世界の総資源は増えている一方で、各地域で伸び率が異なることが分かります。大きな変化としては、アフリカとアジアが共和国になり、全ての資源を共有し、国を維持するための食料と水も共有を行なっていました。

・アクティビティ6「 世界貿易ゲームを振り返る」

まずは、See/Think/Wonderの3ステップで上のデータから分かる事実とデータから読み取れる解釈とデータから感じる疑問を書き出してもらいました。

▼ See<事実>
・アフリカとアメリカの同盟国が総資産が$207で1位になったこと。
・一番最初の資金が多い北アメリカが最下位になった。
・最初に資金で儲けが決まるとは限らないこと。

全体として、今回の貿易ゲームのデータから分かる事実として、それぞれの地域の中でどのように資産が増えていったのかを事実として挙げている人が多い印象です。

▼ Think<解釈>
・人(労働力)がいっぱいいた方が有利かな?
>労働力と生産性の関係性とは?
・アフリカと同盟を組んだら、一気に生産率が上がった。
>具体的に同盟を組む前後でどれくらい生産率が上がったのか?
・雇われることによって、雇う側の人の順位を抜かしたときに信用度を気にする。
>信用度をどのように測るのか?
・廃棄物が多いと負けてしまう。
・人手があっても技術がなきゃバランスが取れないし、技術があっても人手がなきゃバランスが取れないので人手も技術も両方バランスが取れている国が一番バランスを取れる。
>人手と技術のバランスが取れていることを数値化できるか?

▼ See→Think<事実にあるけど解釈になりそうなもの>

・アフリカとアジアを同盟結んだらいい感じになった。
>いい感じとはどの数値を比較していい感じと解釈しているのか?
・アフリカを助けたことによってアフリカはpeaceになった。
>peaceな状態を数値化できるか?

次の時間は、データから解釈したことを相手に伝えるために必要なデータから分かる事実を抽出して、相手に分かりやすく伝えられるにはどのように情報を提示したら良いのかを考えていきます!

・アクティビティ7「 世界貿易ゲームの結果を分析1」

最初に、昨日のSee-Think-Wonderの続きで子どもたち一人一人にデータから解釈できることを1つ考えてもらうところからスタートしました。

「アフリカがアジアと同盟を組むことでアフリカがpeaceになった」と解釈しており、この解釈を相手に分かりやすく伝えるために必要な事実となる根拠をデータから抽出することが次のステップになります。

ここで考えるべきことは、同盟を組むことでアフリカのどんな状態がどのように変化したのか?あるいは、peaceになったとは、具体的にはどういう状態なのかを数値化して説明する方法を考えてもらいました。

事実として、アフリカのGDPの数値の変化を折れ線グラフで示していました。折れ線グラフで示すことで、同盟を組む前後でどのような変化があるのかが可視化できました。

・アクティビティ8「 世界貿易ゲームの結果を分析2」

 

今回貿易ゲームをすることで表に出ている数値だけでなく、数値の背景にある国際社会における関係値や信頼度がGDPに影響を与えていることをゲームを通して体感したことで、見えない値をどう数値化していくのかをこれから考えていきます。

次回、どのような動きが生まれるのか楽しみです。

いつも読んでいただきありがとうございます。