フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

Unit4 WEEK1-2 岐阜にゆかりのある歴史との出会い

Unit4歴史上の出来事や人物が今の暮らしに影響している

いよいよUnit4の学習に入っていきました。

・歴史の導入(地球の歴史)

まずは、子どもたちが歴史の学習を「ジブンゴト」として捉えられるように、私たちの住んでいる地球にとって重要な出来事について考えるところからスタートしました。

まず、子どもたちに3mの紙テープを見せて、この3mの長さが地球が誕生してから現在までの時間を表しており、この3mの長さの中で人類が誕生した場所はどこかについて発問を行いました。

子どもたちは全学年で宇宙について学習をしてきているので、地球が誕生したのは約46億年まであることは知っていました。人類が誕生したのはどこかについて尋ねると、様々な意見が出てきました。

予想が集中していたのは、真ん中よりも現在にちょっと近い付近でした。ここから、実際に人類が誕生したのがいつかを調べ、3mの長さの中でどのあたりかを計算で求めていきます。

「私たちの住んでいる地球の歴史の中で重要な出来事とは何か?」という発問をすると...

・恐竜の誕生
・地球に隕石が落ちたこと
・水の誕生
・生物の誕生
・植物の誕生etc...

私たちの現代の生活に影響を与えていることを大きな視点で考えていきました。そして、子どもたちは、実際に地球上の重要な出来事が起きたのがいつなのかをインターネットで調べて、3mの長さの中でどこに位置づけられるのかを計算していきました。

そして、「めっちゃ細かくて人類が誕生したことを紙テープに書けない!」という言葉が出てきました。自分たちが生きている世界が地球の誕生の視点から見るととても最近の出来事であることを感じる発見になったと思います。

ここから、私たちにとって身近な歴史上の出来事の探究に入っていきます。

とはいえ、子どもたちにとっては、歴史とはちょっと遠い世界のように感じるものかもしれないです。そこで、まずは私たちが住んでいる地域(岐阜)の歴史の探究からスタートしていきました。

最初の導入として、4年生の子どもたちと同じぐらいの年代だった織田信長の幼少期の動画を見てもらいました。最初の織田信長の印象としては、岐阜市で何かをした人、戦で強かった人というイメージを持っている子が数人いました。やはり、岐阜の歴史上の人物といえば織田信長なんだと感じました。動画を見た後に、織田信長が「うつけもの(常識がない人)」と呼ばれていたことに子どもたちは驚いており「織田信長はもっとしっかりしている人だと思っていた〜」と感じたことを話していました。

▼ 動画を見て生まれた疑問

織田信長はどのようにして今川義元の大勢の敵に勝つことができたのか?
・岐阜という名前は誰が名付けたのか?
織田信長はどのように岐阜と関わりがあるのか?

・フィールドトリップ in 岐阜城/岐阜歴史博物館

早速、私たちが住んでいる岐阜市の歴史が詰まっている場所にフィールドトリップに行きました。

今回のフィールドトリップでは、岐阜市の歴史がたっぷり詰まった岐阜城、岐阜歴史博物館、岐阜公園を訪れました。

子どもたちにフィールドトリップでの視点を広げるために、歴史ビンゴをチームに配り、チームでフィールドワークするミッションを行いました。

まずは、ロープウェイに乗って岐阜城のある金華山の頂上を目指しました。ロープウェイを降りてから、岐阜城まで歩いて登りながら、気分は戦国時代に少しずつ入っていきます。「どうして山の上にお城を作ったんだろうね〜」と問いかけると「山の上は敵から攻められにくいんじゃないかな〜」と山を登りながら考えていました。

そして、いよいよビンゴのミッションがスタートして、チームごとにミッションをクリアしていきます。例えば...

ミッション8. 信長が岐阜城から見ていた長良川の写真を撮ろう!

ミッション6. 岐阜城ではどのようにして水を手に入れていたでしょうか?

「水」のユニットで学んだことと繋げて、この時代には今と同じように水をきれいにする仕組みや使った水をきれいにする仕組みがあったのかな?と思いを馳せながら写真をとっていました。

ミッション11. 織田信長が自分の強さを示すために用いた石垣の写真を撮ろう!

子どもたちは、BINGOのミッションを次々にクリアしていきました。そして、質問の答えが見つからないところは、岐阜城の案内人の方にインタビューを行い、岐阜の名前の歴史について深く理解する時間も生まれていました。

岐阜市民の方はこの岐阜のマークを見たことをがある人がほとんどだと思います。

▼岐阜のマークの由来

岐阜県は元々「井の口」という名前で、織田信長岐阜城の城主となったときに岐阜という名前に変えたと言われています。そして、この「井の口」と呼ばれるようになったのは、元々岐阜では「井川(現在の長良川)の水」を汲み取って生活をしており、井川を中心に町が出来上がったと言われています。そして、井川→井の口→今の岐阜市のマークになっているとのことでした。

まさに、ユニット1で「政治」について学習したこと、ユニット3で学習した「水の利用と管理が地域の開発に影響を与えること」そして、今回のユニット4での「歴史上の出来事が今の暮らしに影響をしていること」これまでに学んできたことが繋がるお話を聞くことができました。

岐阜城でのフィールドトリップを終えて、戦国時代の人が実際に歩いていた七曲りの大手道と呼ばれる登山道を歩いて、織田信長の居館があった岐阜公園を目指しました。

ミッション9. 織田信長が住んでいた家を岐阜公園で探して写真を撮ろう!

この辺から子どもたちはいよいよ戦国時代モードに入っていきました。
「自分が織田信長だ!」
「いや、自分が織田信長だ!」
「私が織田信長の奥さんだよ!」
「じゃあ自分は今川義元!」
というように、信長の居館の周りでミニ時代劇が始まりました。そして、その勢いで岐阜歴史博物館に到着しました。岐阜歴史博物館では、天下統一の特別展を行っており、実際に織田信長豊臣秀吉徳川家康が実際に生きていた証となるものを観覧することができました。ここでは、写真をとることができないので、自分が気になったものをスケッチブックにスケッチをしてもらうミッションを行いました。

子どもたちは、織田信長が使っていた刀を見ると「俺の使っていた刀がここにある!」と呟いており、まさに時代をタイムスリップしているような雰囲気でした。

あっという間に岐阜市の歴史フィールドトリップを終えましたが、子どもたちは早速岐阜市の歴史と関わりのある人物マップ(家系図)を作って役割分担をしていました。

大人でも難しい歴史上の人物を、一人一人に役をふることで、名前とストーリーを少しずつ体感で掴んで行っているのを感じました。今の子どもたちの段階としては、人物の関係性をなんとなく掴んできているので、その人物について詳しくリサーチする課題を出しました。

▼ リサーチ内容

ここでのリサーチ内容を元に、このユニットの形成的評価課題として、子どもたちと戦国時代のミニ寸劇を作っていけたらと思っています。子どもたち一人ひとりに自分が担当する人物についてリサーチをし、それを元に織田信長に関わりのある戦国時代の寸劇を一緒に作っていきたいと思います。

・台本づくりに向けた歴史的事実のリサーチ

台本づくりに向けて歴史的事実のリサーチを行いました。子どもたちには、台本の元となる自分が担当する人物についてリサーチをしてもらい、劇で演じるシーンを4コマ漫画にしてもらいました。

▼ 徳姫の担当

徳姫は、政略結婚で松平信康と婚姻関係を結ぶが、信康との間に後継となる男の子が生まれず、信康の母と問題が起きる。このことで腹を立てた徳姫は信康と信康の母の裏切りを信長に訴える文書を怒りながら書いたシーンをまとめていました。

織田信長の担当

この劇の主人公である信長は、最初に今川義元との戦いに勝ったこと、家康との同盟、最後の本能寺の変で家臣の明智光秀に裏切られるシーンを4コマ漫画にしていました。

徳川家康の担当

徳川家康は、元々今川義元のところで人質になっており、信長が今川義元を倒したことで、家康は独立を決意します。その後、天下分け目の戦いで秀吉を倒して天下を自分のものにするストーリーを描いていました。

そして子どもたちの4コマ漫画をつなぎあわせていよいよ台本が完成し、セリフの練習をシーンごとにスタートしました。ここでは、シーンを演じることで、私たちの住んでいる岐阜の全体的な歴史上の重要な出来事とその時に活躍していた人物を理解しながら、リサーチした歴史的事実をもとにその時の登場人物の気持ちを想像しながら演じる活動を行いました。

▼ 台本の一部

ちょっと子どもたち一人一人の役をストーリーにすると劇の台本が重くなってきたので、一旦軌道修正予定ですが、子どもたちがどこかで戦国時代の劇をする計画も残しつつ、よりリサーチに力をいれるアクティビティとパーソナルプロジェクトを同時に行なっていきます!

子どもたちの探究は続いていきます!