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Unit4 Week3-4 戦国時代の道具再現プロジェクト

Unit4歴史上の出来事や人物が今の暮らしに影響している

・実寸大での刀・鉄砲づくりを通した歴史的事実のリサーチ

ここから劇で使用する小道具づくりに入っていくのですが、まずはどんな小道具をどれだけ作るのかを全体で話し合うところからスタートしました。

▼ 必要な小道具

・刀
・鉄砲
楽市楽座の制札etc...

ここからは刀チームと鉄砲チームに分かれて「本物をつくる」ことをミッションにリサーチを開始しました。

「ところで信長はどんな刀を使っていたのだろうか?」

信長が使っていた刀をリサーチし、刀の長さが3尺と出てきました。「3尺ってどれくらいの長さなんだろう?」ここで算数の単位換算の学習が入ってきました。

「1尺=約30.3cm」なので「3尺=約90.3cm!(ここで小数のかけざんの復習も行えます!)信長の身長は166cmとされているので、この刀は実際に信長には長いのではないか?」という疑問が生まれてきました。

ここである子どもが「身長に合わせた刀の計算式」を引っ張ってきて、計算をすると「166cm×0.43÷30.3=2尺3寸」しかし信長が使っていた刀は3尺です。「なぜ、信長は身の丈より長い刀を持っていたのだろうか?」子どもたちの疑問はどんどん連続していきます。

一方で鉄砲チーム。

「鉄砲はどのような型を使っていたのだろうか?」

調べてみると、鉄砲伝来からまもなく信長が戦で鉄砲を使用し始めているのが分かりました。仕組みを調べると、時間がかかる型式(火縄銃)であることがわかり、ここから時間がかかる鉄砲であっても戦に取り入れる理由を探る議論が始まりました。「遠くから攻撃できる利点があるのではないか?」「刀は敵が近くに来た時に、鉄砲は敵を近づけさせないため?」等意見が出てきたところで「戦が刀と鉄砲の2種類の武器になったのだが、鉄砲が入ってきたことによるメリットとデメリットはそれぞれ何か?」について考える課題を出しました。

子どもたちの中で、リサーチを進める中で「鉄砲を使うことが戦に有利である」考えは出てきましたが、リサーチした上で自分の意見や考えを述べるスキルが育まれていない課題が見えてきたところで、議論をわかりやすくするために「戦法と製造」の2つの視点に絞り、議論を深めていくことにしました。

ここで鉄砲チームには「鉄砲を使ってどのように戦ったのか?」刀チームには「そもそも刀を作っていたのは誰か?」についてリサーチ課題を出しました。

- 鉄砲チーム

リサーチしていくと、銃弾が鉛であったことに気づき、鉛とはそもそも何で、どうやって作るのか?と問いを投げかけました。更に戦い方を調べる中で、三段うちという戦法が出来上がり、一度に大量の狙撃ができるようになり「効率的」になったと分析する子も出てきました。

ここで「刀よりも鉄砲の方がいいという風に変わってきたら、刀は必要なくなるんじゃないのか?」「そうなると鉄砲がどんどん必要になって、どんどん作っていく必要があるので、誰が鉄砲を作っているんだろう?」と問いかけると、矢板金兵衛という人物が出てきて、この方は元々刀鍛冶であることを発見しました。

さらに、戦い方が変わることで、刀の代わりに鉄砲を作り始めたことに気づき、産業が変わったことにハッとしていました。最後に「戦の戦い方が変わったことで産業が変わったことはいいことだったんだろうか?」という問いが生まれたところで終了しました。

- 刀チーム

刀を作る人のことを刀鍛冶という仕事があることに気づいていました。ここで、刀鍛冶は私たちが住んでいる町の隣に位置する関市にあることと繋がり、戦があることで仕事ができたことに、戦と産業の繋がりを発見していました。

・寸尺で数学

前日に鉄砲づくりで寸尺が出てきたところで、寸尺を使って数学を行いました。

この問題を解くには、単位の考え方、単位換算のスキル、小数の割り算、メートル法の換算のスキルが必要になります。引き続き、探究の中で数学的な要素を取り入れた活動を行なっていきます。

・実寸大での刀と鉄砲づくり

まずは設計図を作るためのリサーチから始まりました。実際の戦国時代に使われちた火縄銃のサイズを調べ、実際のサイズの平面図を書いて、平面図にしたのち、分業制で鉄砲づくりが始まりました。

平面図の作成

▼ 今回フォーカスするスキル

自己管理スキルの中の管理・調整スキル(時間とタスクを効果的に管理する)

そこで、闇雲に自分がやりたいことをするのではなく、チームの中で分業を行いながら、計画的に進めていきました。

鉄砲チームは、段ボールで製図する担当、製図したものを切る担当、切ったものをグルーガンで組み立てる担当、組み立てたものを色付けする担当に分かれて制作を行っていました。

刀チームは、刀の刃、鍔、柄、鞘をつくるチームに分かれ、最終的には1つの刀に仕上がるように、接続部分の面積や長さを調整しながら制作を進めていきました。

計画ができたところでいよいよ制作スタートです。

- 刀チーム

刀鍛冶チームは、刀の制作を行います。

刀の鍔を作る鐔師チームは鍔のデザインを調べ、ここに書いてある漢字の意味のリサーチを行います。

柄巻師チームは、紐の巻き方をリサーチし、巻き方の練習から行います。ポイントは、ひしがたになるように巻くのがコツみたいで、何度も練習を重ねていました。

そして、いよいよそれぞれのチームのパーツが完成していきました。

刀の刃身を作る刀鍛冶チーム

刀の鍔を作る鐔師と柄を作る柄巻師チーム

刀を収める筒状の入れ物を作る鞘師チーム

そして、分業したものをいよいよ組み合わせる時が来ました。それぞれの長さを測り、情報を共有し、無事に組み立てるかどうかドキドキしていましたが、無事にぴったりはまりました。

完成品①

完成品②

- 鉄砲チーム

鉄砲チームは順調に製作が続いていたのですが、製作後に長さを測ってみると、100cmほどで完成するハプニングが起きました。今回は、実寸サイズで再現することがミッションなので、大きさを長くする修正ミッションが生まれました。

刀の土台を作るチーム

刀の土台を作るチームは、平面図から立体的に作るスキルが職人技でした。他にも鉄砲を作る過程の中で、鉄砲の土台を組み立てるチーム、組み立てた鉄砲を色付けするチームに分かれて作業を進めていました。

一方でこちらは、鉄砲の鉛チーム。鉛の直径の大きさをリサーチし、さらに30個の鉛を作るのにどれぐらいの時間がかかるのかを計算し、制作を開始しました。

そして、いよいよ...!!!! 131cmの実寸大の火縄銃が完成しました。

「かなりでっかい〜〜!!!」実寸大だからこそ体感できるリアル感でした。

実際に刀と鉄砲の長さを比べてみると、火縄銃の方が刀より長いことを体感したり、思った以上に刀や鉄砲が大きかったことを実感していました。

最後は楽市楽座の制札です!楽市楽座の制札の長さを調べ、制札を作るにはどれぐらいの大きさのダンボールが必要なのかを面積を求めて、平面図を作成するところから始まります。

制作をしていると、文字を書く時に今と文字の形が違うことに気づき、頑張って戦国時代の書体の文字を再現していました。

そして、いよいよ戦国時代の道具がほぼ完成しました。

最終的には「ミニ劇プロジェクト」でここで製作した道具を使って劇を行います。同時に、個別のプロジェクトがスタートします!

子どもたちの探究とプロジェクトは続いていきます!