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Unit3 WEEK1-2 身近な水から「水の重要性」を知る

Unit3 水の利用と管理は、地域の開発と持続可能性に影響を与える

いよいよUnit3の学習に入っていきました。

まずは、子どもたちが水の学習を「ジブンゴト」として捉えられるように、暮らしの中にある水を探すところからスタートしました。

子どもたちは、生活の中で使用している水の写真を土日に集めてきてくれました。(一部紹介)中には、どれくらいの水の量を使っているのかを調べてきた子もいました。

- アクティビティ① 

授業の中では、まずは子どもたちが「水」についてどのような知識を持っていて、水についてどのような見方をしているのかを書き出してもらうワークを行いました。国際バカロレアのPYPのカリキュラムでは、子どもたちが既に持っている知識をベースに、子どもたちが思考をしながら新しい知識や見方や考え方を獲得していくことを大切にしています。

4人の3グループに分かれて、グループでお互いが持っている知識を交換しながら、水について持っている知識をマインドマップでまとめていきました。

次に、自分たちのグループ以外のチームのマインドマップをみて、情報を比較しながら自分たちのチームのマインドマップに加えていきました。

最後は、土日の課題で撮ってきた写真とマインドマップに書かれたものが重なる写真を切り貼りしていきました。

こちらが子どもたちが作成したマインドマップになります。

グループ1

グループ2

グループ3

子どもたちのマインドマップを見てみると...

「原水は飲んではいけないけど、浄水は飲むことができる。」
「生きていくために水は必要。」
「水は生活に必要なものであるkと。」
「水は温度によって形を変えること。」
「水は温められると水蒸気になって、上空で冷やされて雲になって雨が降ること。」

日本に住んでいる子どもたちにとっては、水が当たり前のようにあるので、日本の外の世界の水事象についてはほとんど意識していないことが分かります。このユニットを通して、子どもたちの水への見方考え方がどのように変化していくのか楽しみです。

- アクティビティ②

 アクティビティ①で子どもたちのマインドマップの中で、「飲める水と飲めない水がある」という話題が出てきたので、アクティビティ②では、学校の水道から出てくる水の調査を水探偵として行ってもらいました。調査してもらうのは、みんながいつも飲んでいる水道の水、キッチンのシンクの水、トイレの手を洗う水、外の水道水です。

A:みんながいつも飲んでいる水道水
B:トイレの手洗いの水
C:キッチンのシンクの水
D:外の水道水

子どもたちは、もちろんどの水がどこの水かは知らないです。子どもたちは、見た目、色、匂い、そして実際に水を触ってみて五感を使って、どのコップの水がどの水かを本気で調査していきます。

あるチームの結果になります。そして「絶対この水は大丈夫でしょ!」という水を希望生で実際に飲んでもらいました。実際に口に入れてみると「後味がもわ〜ん」「クソまずい」「いつも飲んでいる水と違う!」「めちゃうまい!」見た目では分からないことに気づいていく子どもたち。実際に飲んでみて、予想と結果が変化してきました。

面白いのが、水道水を飲んでめっちゃまずいって言った子どもいれば、外の水道水を飲んで「めっちゃうまい!」と話す子が出てくるところでした。でも、子どもの味覚でさすがだと思ったのは、トイレの水道水は一口で「まずい」と話す子どもが大多数でした。同じ水道水から出てきているのに、こんなにも味が異なるのはなぜなのでしょうか?

- アクティビティ③

次のアクティビティでは、私たちが1日にどれくらいの水を使っているのかを予想してみる時間をとりました。その中でも、家ではなく、学校全体でどれくらいの水を使っているのかを水探偵として調査をしていきました。

▼ 子どもたちから出てきた考え

・手を洗う時
・プールの水
・トイレを流す水(大と小で流れる水の量が異なる)
・先生が飲んでいるコーヒー
・洗濯機
・クーラーの水
・授業で使用する水
・料理で使う水etc...

「では、どれくらいの水を学校全体で使っているのか?」

まずは、学校全体の児童、教職員数をリサーチするために動くチームもありました。一人当たりの使う水の量を計算して、全体の人数をかける子もいれば、牛乳パックが何個分かで想像する子もいました。次回は、実際に牛乳パックで水の量を計算してみて予想とどれくらい近いのかを調査していきます。最終的には、水道メーターを見て調査できたらと思っています。

- アクティビティ④

水の科学館「大垣市スイートピアセンター」

大垣市スイートピアセンターとは?

美しく豊かな水に恵まれた大垣。ここでは人々の暮らしや科学の観点からその大切な水に関する様々な映像や来館者が実際に体感できる展示物を使って楽しく学べるほか、市民の憩いの場としても親しまれています。

子どもたちは遊びながら、気づいたら水と関わりながら、色々な気づきを得ていたのではないでしょうか?

入り口には3t(3000kg)の石があり、それを水の力で動かす事ができることを体感していました。「水が流れると滑りやすくなるから、大きいものでも動かす事ができる。」「プールに入ると、人を軽くおんぶできるから同じ原理かもしれない。」そんな声がふりかえりの中でも出てきました。

手を叩くことで生まれる振動で水の中に気泡ができる装置。子どもたちは音の振動で水に変化が起きるのを感じたのでしょうか?

水のレンズがあることで、反射が起きて見え方が変わることを発見したり。

自分の体の中にある水の量を実際に目で見てみたり。大人と赤ちゃんでも体の水分の量の割合が違うことを知ったり。

音の振動数(高さ)を変えることで波ができることを発見したり。

地球以外の惑星に水があるのかどうかについて学んだり。

霧で竜巻をつくる装置を見て、触ってみたり。

何より一番盛り上がったのはシャボン玉。なぜ、シャボン玉には水がいるのでしょうか?「手を洗うときも水が必要だから、同じかも。」シャボン玉で遊びながら、4年生ならではの視点で、なぜ水がシャボン玉に必要なのかも考えてみました。

時間になると「やばい!遊び過ぎて全然メモしていない!」でも、子どもたちは思いっきり水で遊んだことを確実に体が覚えていて、振り返りをすることで水について学んだ事が言葉に出てきていました。

- アクティビティ⑤

次のアクティビティとしては、アクティビティ③の続きで、私たちが学校で使っている水の量を実際に計測するアクティビティを行いました。

計測で使えるのは、牛乳パック(1L=1000ml)と頭脳と五感とインターネット(2回まで)です。いつもはインターネットですぐに調べてしまうのですが、今月のLearner ProfileはThinkerということで、自分たちの生活経験と知識と思考スキルを掛け合わせて実際に使っている水の量を計測していきます。

大きく2つのチームに分かれて計測が始まります。全校児童とスタッフの人数を数えるチーム。プールの水の量を測定するために、1Lの牛乳パックを持ってプールで組み上げるチーム。しかし、途方もない作業です。そこで「長さを測ることで面積を求めて測れないかな?」そう問いかけると、算数が好きな2人が長さを元に体積を求め始めました。

求めたいのはこのプールの大凡の水の容積です。あれこれ試行しながら、このプールを円に見立てて直径の長さを測り始めます。(小学4年生なので、円の面積の公式は知らないのでサポートしてあります。)

実際に巻尺で測り大凡の直径が分かりました。

プールの体積がこのような図で表現されました。面積の概念から体積の概念へ。計算してみると、プールの大凡の容積は「92.63立法メートル」です。しかし、子どもたちにとっては「1立方メートル」がどれ位の大きさなのか分かりません。そこで...!!!!

実際に「1m×1m×1m」の立方体を測って作り、その中に牛乳パックを詰めて何個入るのかを数えてみる子どもたち。数えてみると、900個!かなり近づいてきました!プールの水は、この1m3が何個分かを次回は考えていきます!

- アクティビティ⑥ 

「私たちは1日に使っている水の量をどのように正確に知れるんだろう?」

「水ってどれだけ使っても同じ料金なのかな?そもそも無料なのかな?」

子どもたちの中で水は有料であることは何となく知っており、どのようにして使用した水の量が量られているのか知っている子、知らない子がいました。そして、どうやらメーターのようなものがあることを調べた子が全体に共有してくれて、みんなで水道メーター探しの旅に出ました。水道メーターが3つあることだけは事務室の方から聞いているのですが、実際に3つのメーターがどこにあるのかは誰も知りません。

「水道メーター学校の中にあるのか、学校の外にあるのか?」

この問いについても、水道のメーターをチェックする人が見れるように門の外にあることを知っている子どもがいました。

門の外に出ると色々なマンホールがありました。「おすい」「雨水」「消火栓」等...その中で「量水器」という文字が書かれた蓋を発見した子どもたち。蓋を開けると...

蓋を開けると...

「あった〜!」「何で量水器って言うんだろう?」「それは、水の量を調べる機械だからじゃないかな?でも機械の機の漢字が違う...!!!」そんな会話も出てきていました。2つの量水器は簡単に見つかったのですが、最後の1つの量水器が見つかりません...。量水器を探す旅はまだまだ続きます...!!!

- アクティビティ⑦

「このm3ってなんだろう?」mに3がついている。

「1mって何を表しているんだろう?」「長さ」
「1m2って何を表しているんだろう?」「広さ?面?」
「じゃあ、1m3って何を表しているんだろう?」「...???????」「あっ!」
「1m×1m×1m」を大きさを探究していた子どもが反応します!
「水を測るのに1m3の単位が使われているけど、どれくらいの量なんだろう?」

まずは、体感するためにクラス全員がこの空間に入ることができるのかを試してみます。

何とか12人が工夫して入ることができました。体で1m3を体感できました。

「この1m3に1Lが何個分入るのかを調べたい!」と言う声が上がり、調査隊が引き続き調査を始めました。

印を付けながら正確に測っていきます。

計算に必要な個数が分かり、最後は計算で求めると1050Lという答えが出てきました。正確には、1000Lなのですが、かなり近い値が計算によって導くことができました。

- アクティビティ⑧

メインのアクティビティでは、1日に学校で使っている水の量のチームに分かれて細かく調査をしていきました。4人チームで1人1つは、学校で使われている水の量を調査していきます。

そして、チームで調査したものを合算して1日に使われている水の量を算出します。

もう少しで概算でどれだけの水が使われているのかが分かります。

いよいよチームごとに学校での1日の水の使用量の予想が概算で求められました。

各チームの予想水量は次の通りです。

チーム1▶︎737L=0.73m3
チーム2▶︎6409.6L=6.4m3
チーム3▶︎785.8L=0.785m3
私▶︎6140L=6.14m3

気になる結果は...!!!

3日間での学校での使用水量は、34m3という結果になりました。
「1日あたりの水の使用量を求めるには...?」
「3で割る!」そして気になる結果は...
「11.3m3=11,333L」でした!重さにすると約11tです!自分たちが予想していたよりも約5000L以上の水が使われていることがわかります。自分たちが気づかないうちに約5000Lの水が意識せずに使っていることを知り疑問が更に深まりました。

では、私たちが使った11tの水はどこに行くのでしょうか?

子どもたちの水探偵の探究は続いていきます!

WEEK2(探究②)のリンクはこちらです!

いつも読んでいただきありがとうございます!