Math
数学の時間では、「子どもたちに身の回りで起きている事象を数学的に見れるようになってほしい」と思いながら授業の組み立てを行なっています。今回のユニットでは、数学的に身の回りの気象現象を分析することで、自然現象のリスクに適応するスキルを身につけて欲しいと考えています。気象についての数学を学び始めて3時間目を終えた時。
「mathの時間は終わりです!」
すると
「えっ!mathの授業しているの?探究(UoI)の時間じゃないの?」
という言葉が返ってきました。
今、気象について探究をしているのですが、子どもたちの中では、別で数学を学んでいるのではなく、気象を学んでいる感覚になっていることを知った瞬間でした。
まさに、PYPのカリキュラムで目指している「transdisciplinary」のカリキュラムに近づいているのを感じました。「transdisciplinary」のカリキュラムでは、子どもたちは気象について探究する中で、理科的な要素、数学的な要素が混ざっているのですが、何の教科の授業かは分からないが、気象について探究していることは分かっている状態が生まれていました。では、具体的にmathの時間でどのように気象について探究を重ねているのかをまとめていきます。
mathの時間では、気象予報士になる一歩として、1日の天気、気温、湿度、風速を記録し、1日の気温の変化を折れ線グラフに表してみました。天気を予報するためには、数学的な見方・考え方も必要になってきます。
まずは、天気と気温の関係、天気と湿度の関係、天気と風速の関係などをデータや天気図を見ながら分析を行っていきます!しかし、折れ線グラフをこれまでに考えたことのない子どもたちは、正確に折れ線グラフを書く知識技能はありません。しかし、気象データから必要なデータを書き取り、データを元になんとなくのグラフを書き始める子どもたち。初日に正確にグラフを書けたのは1人でした。自分なりに試行錯誤しながらグラフを書いている子どもたちに、どのタイミングでどのように正しいグラフの見方と書き方を教えるのかも考えるポイントでした。
何日か、グラフを書いていると子どもたちは色々なことを発見していきます。
1回目は晴れの日の記録をとり、2回目は曇りの日の記録をしました。晴れの日と曇りの日を比較するだけでもいろいろなことを発見していく子どもたち!
ある子どもは、天気は「晴れ→曇り→雨」というように変化していくのではないかなと天気の変化を見ながら予想をしていました。実際に雨グループでは、水が蒸発してペットボトルの中が曇り、そこから時間が経って雨が降るのを実験を通して発見しているので、ペットボトルで起きている現象と実際の自然現象に繋がりがあるのではないかなと話していました。実験での学びを日常生活に応用(転移)させて考える力があるのを感じました。
次に子どもたちは、「降水確率」について学んでいきます。「確率」という概念をまだ学校では学んでいないですが、生活経験から「確率」について感覚的に理解している様子でした。
例えば、「降水確率50パーセントという天気予報を見た時に傘を持っていくかどうか」を尋ねると、持っていく子もいれば持っていかない子もいました。そこで「そもそも降水確率とは何なのか」をリサーチしていきました。
確率という概念を知ることで、数字から自分自身のアクションを判断できるような「数感覚」を育めるような機会になればと感じました。
降水確率「確率の概念」
次に、降水量について数学的な視点から探究をしていきます。よく天気予報で耳にする「降水量」。「降水量が1mm/hって多いのかな?少ないのかな?」「何mm以上の雨が降ると危ないんだろう?」子どもたちに問いかけると、「1mmは大丈夫だと思うけど、50mmとかだと小さい子は危ないんじゃないかな?」という言葉が返ってきました。
このような「量」についての感覚を育めるのも数学を学ぶ意味だと考えており、数量を理解することで、大雨洪水などの自然災害に適応するための知識になるのではないかなと考えています。
降水量「単位量あたりの見方」
量の感覚を理解するために、実際に2年生の算数の内容の復習も兼ねて1mmの量を塗りつぶすワークを行いました。
降水量について理解を深めるために、実際に身の回りにあるペットボトルで雨量計の製作を行いました。子どもたちは、作り方を見ながら、定規を使って長さを測定し、雨量計を作っていきました。
雨量計を作成し、実際にシャワーを雨に見立てて雨量計を使って降水量を測る練習を行いました。
思った以上にシャワーの水量が多くて、雨量としては異常気象以上の量になりましたが、これから雨量の計算をしていきます。
そして、雨量計で測った実験結果を見ると、チームによって測定した雨量が異なりました。ことある実験結果の数値をどのように扱うのかを考えていきました。
ここで登場するのが「平均」という概念です。これも、学校では学んでいはいないのですが、日常生活の中で「平均気温」「平均台」「平均点数」などの言葉から、平均については感覚的に理解していました。では、どのようにして平均を求めるのかという疑問が子どもたちの中で浮かび上がりました。
湿度(割合の考え方)
子ども気象予報士に向けて数学を通して自然現象への理解がどこまで深まっていくのか楽しみです!