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Unit1 WEEK6-7 子ども市議会議員プロジェクトPart2

Unit1 政治は市民生活に影響する

ユニットの概要リンク

選挙運動に向けたアウトプット

リサーチをして、深めた上でいよいよ自分たちの考えた公約を伝えるための準備に入っていきました。自分たちのリサーチした内容と政党名が繋がるような名前をチームで考え、4つの政党が誕生しました。

「おもしろ公園党」「岐阜県ナマズ党」「岐阜市民権利党」「SMD岐阜市議会党」

まずは、選挙をするにあたり、学校の先生、保護者や親戚の方、学校の周りの地域の方に自分たちの活動を知ってもらえるようにポスターの作成を行いました。ポスターの作成方法もチームによって様々で、手書きのポスターを作成するチーム,canvaでデザインするチーム、模型を作成し写真を撮ってcanvaでデザインするチーム等様々でした。

▼選挙ポスター

選挙ポスター(一部紹介)

次に期日前投票に向けて、色々な人にポスターでは伝わらない具体的な公約の内容を知ってもらうために、各政党ごとに1分程度のプロモーション動画の作成を行ってもらいました。チームによっても作成のプロセスは様々でした。

岐阜市で起きている課題をリサーチしプレゼンでまとめたものを動画にする
・公約で書かれていることをマイクラの世界で再現し、そのキャプチャー動画を素材として入れる
・canvaで若い人にも見てもらえるようにInstagramのテイストで動画を作成
・プレゼン資料をそのまま貼り付けるだけでなくcanvaでデザインし直す
岐阜市で実際に起きている課題を写真に撮って動画の素材にする

3人チームで共同で編集しながら動画の作成を行っていました。

▼ 選挙プロモーション動画

「おもしろ公園党」▶︎リンク
岐阜県ナマズ党」▶︎リンク
岐阜市民権利党」▶︎リンク
「SMD岐阜市議会党」▶︎リンク

▼ アートで実現したい公園を表現

理想の公園

「どうやって、自分たちが作ろうとしている公園を分かりやすく伝えるのか。」子どもたちは「クラフトマン」になって、手を動かしながら、理想の公園をつくっていました。

実際の選挙活動でも、公約を聞きにきた人(子連れのお母さん、児童等)に模型を使って説明することで「こんな公園あったらいいな」という声が沢山聞こえてきました。自分たちが考えていることを誰かに伝えるために、イメージできるものを制作して伝える価値を感じたのではないでしょうか。

▼マインクラフトで理想の公園を再現

イクラで理想の公園を再現

さらに、このチームはマインクラフトでも理想の公園を再現していました。模型だからこそ伝わるもの、マイクラだからこそ伝わるもの、プレゼン資料だからこそ伝わるもの、それぞれの良さを活かしながら、選挙に来てくれた人に論理的にも共感的にもアプローチしているのを感じました。

また、選挙をするにあたって議論になったのが「選挙権」についてです。選挙権を何歳以上にするのかをクラス全体で話し合いを行いました。

▼議論の論点

● 選挙権を3年生以上にする

4年生になったら選挙について学ぶので、自分たちの学んだことを伝える機会にしたらいいと思うから。

● 選挙権を5年生以上にする

3年生は選挙について学んでいないので、選挙の目的を分からない状態で選挙をすると選挙をする意味がないと思うから。

最終的には、3年生以上に選挙権を与えることに決まりました。

そして、迎えた選挙当日。

選挙当日

子どもたちは、まず投票率を上げるために、もう一度選挙の案内を学校中で行い、各学年の教室で自分たちの政党の公約の説明を行いました。3年生には、選挙の目的についての説明も行いました。そして、休み時間になると続々と投票をしに小学3年生以上の子どもたちがやってきました。小学3年生から、大人までが選挙にやってくるので、子どもたちは話す相手によって伝え方を変えないといけないことを学んでいました。また、今回の選挙では外国から来た先生にも選挙権が与えられているので、子どもたちは選挙当日に日本語で作成した資料を使って、英語に翻訳して話すチーム、或いは、日本語の資料を英語に翻訳して英語でも伝わるように資料を作り直したチームもありました。英語を話さないといけない状況をデザインすることで、子どもたちにとって「なぜ英語を学ぶのか」を体感した時間になったのではないでしょうか?

当日作成した英語での資料(一部)

子どもたちの選挙運動の成果もあり、全部で129票の票が集まり、選挙率は80%を超えました。選挙後は、今月のLearner Profileでもある、Communicatorを切り口に「選挙の中で活用したコミュニケーションスキル」をテーマにリフレクションを行いました。

▼ 選挙後のリフレクション

・自分の考えた公約を説明するのが難しかった。なぜなら、先生や外国の先生など、人によって説明の方法や内容が変わるのが大変だったから。
・たくさん自分の考えたことを話すことができた。もっとよくするには、もう少しいろいろ考えて、勇気をもってしゃべること。
・今までで一番面白いコミュニケーションが取れた。色々な人にナマズ党の良さを知ってもらうために、いいことをたくさん説明できた。プレゼン資料に書いてあることを読むだけだと相手に伝わらないから、自分の言葉で付け加えて説明できた。
私が考えるコミュニケーションは「色々な人に話せる人」だと思います。いつも話している人には話せるけど、今日みたいなプレゼンや発表は知らない人に話すので、プレゼンするスキルが身につくと思った。
・選挙のコミュニケーションで難しかったことは、ポスターを使って説明をするときに、ポスターに書いてあることをそのまま読まずに、自分の言葉で話すことがちょっと難しかったです。
コミュニケーションができる人は意見を持っている人。特に先生に説明をすることが難しかった。
・コミュニケーションとは、相手が質問して自分が答える。自分が答えて相手が質問して、また自分が答える。その繰り返しだと思った。コミュニケーションは一方的に話すことではなく「かかわり」だと思った。

日常よく使っている「コミュニケーション能力って大事だよね。」でも、具体的にコミュニケーションができる人ってどんな人だろう?今日の選挙運動で様々な年齢、様々な国籍、様々な立場の人一人一人に自分たちの考えた公約について説明する中で子どもたちは色々なことを感じ取っていたのがリフレクションからもわかります。

そして気になる開票日。1位と2位はとても接戦でした。投票する人も、1票に絞ることにかなり悩みながら1票を入れてくれました。選挙に当選したチームは「この公約を岐阜市の市長さんに提案してみたい。」と話をしていました。

投票結果

開票して終わりではなく、次はお互いの選挙活動を教室内でプレゼンテーションを行いました。お互いのプレゼンテーションを聞いて、3つのこと(Kind,Specific,Helpful)を大切にしながら、3つの観点(Keep,Problem,Improve)でフィードバックをお互いに伝え合いました。

ある子どもの変化としては、開票後は「なんで負けたのか分からない。」と話していた子が、相手のプレゼンテーションを見て「そりゃ、私もここに投票する。」と呟いていました。勝ち負けで終わりではなく、社会からリアルなフィードバックを受けて、良かったことや次に活かせそうなことを子ども同士で学び合う。そんな環境がチラッと垣間見える時間になりました。

そして、いよいよユニットの総まとめに入っていきます。子どもたちは提示されたルーブリック評価を見て自己評価とユニットで学んだことを振り返っていきます。

▼ Unit全体を通してのリフレクション

◎ 政治ってなんのためにあるんだろう? 
・政治は予算や法律を決めるために必要。
・国会は法律を変えることができる。
・選挙をなぜするのかというと、みんなが思っていることを実現するためにある。
・政治がなかったら、市民は楽しく暮らせないと思う。なぜなら、自由になって喧嘩が多くなると思う。
・選挙や国会があると平等で楽しく、幸せに暮らせると思う。

◎ 政治は私たちの生活にどのような影響を与えていると思いますか?
・税金の使い道を決めていて、例えば税金が救急車などに使われている。
・税金はみんなのために使われる。
・政治は選挙でリーダーを決めて、
・税金がなくなると、ゴミが増えたり事故が多くなる。

◎ 私たち(市民)の役割(責任)ってなんだろう?

・税金を支払うこと。
・もし、私たちが税金を払わなかったら大変なことになる。
・選挙はリーダーを決めるためにある。
・友達と一緒に公園に行って事故を起こしてしまったらお金を払って責任を取らないといけない。
・選挙は代表を決めて、私たちに指示を出すためにある。
・ポイ捨てをしない責任がある。

◎ このユニットを通して学んだこと、感じたこと
・このユニットの後は市長さんに会って、選挙のことを話したい。
・どうしたらみんなが生活しやすい町になるのかを学んだ。

今回のユニットでは社会的な見方・考え方を育むユニットでした。次のユニットでは科学的な見方・考え方を育んでいくユニットになります。また、レポートを楽しみにしていただけたらと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

 

*写真は全て筆者撮影/作成しています。