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Unit2 WEEK2-3 身近な気象現象を実験で作ってみよう!

Unit2 人々は生きるために自然に対応する

子どもたちがリサーチする中で浮かび上がってきた概念。

「雨雲も霧も虹も夕焼けも全部『雲』じゃん。だって『水』でできてるもん!」

最初は全く違うものだと見えていたものに、共通点を見出し始める子どもたち。

そして、ここからは実際にリサーチして何となくメカニズムがわかったところで、実際に身近な気象現象を作ってみる実験に入ります!

本当は子どもたちにどうやったら身近な自然現象ができるのかを考えて欲しいという葛藤がありながらも、今回は「構成された探究」という形式を取りました!(本当は「オープンな探究」)にしたかった...!

▼ 4つの探究のレベル

4つの探究のレベル

気象現象をつくる実験のプロセスはこのような感じで進めていきます!

リサーチペーパー1-2

リサーチペーパー3-4

プロジェクトチームは6チーム生まれました。

虹、夕陽、雨、雲、風、竜巻をつくるチームです。プロジェクトの目標としては、5日後に小学1-2年生向けに「キッズ気象科学館」をオープンすることです!小学1-2年生向けに科学館をオープンするためには、小学1-2年生にも分かるように身近な気象現象についても説明できる理解力が必要になります。

身近な気象現象を言葉だけで理解するのではなく、実際に実験を通してメカニズム(機能)について理解することで、これからの気象予報士になるための準備をしていきます!

子どもたちは、チームごとにプロジェクトの計画をたて、身近な自然現象がなぜ起きるのかを予想し、メカニズムについてリサーチしていきます。そして、いよいよ実験の準備に取りかかっていきます。

準備の中では、数学の知識が必要な場面が現れました。

竜巻をつくるチームは必要なものに「ダンボール(幅+奥行き+高さの合計が80cm以上。高さがあるほうが竜巻の様子をよく観察できます)

子どもたちは、幅+奥行き+高さの合計が80cm以上という言葉をみて、高さが80cm以上の段ボールを探し始めました。

これは、第5学年の算数の図形領域における「(イ) 立方体及び直方体の体積の計算による求め方」に関係してくる内容である。

立方体や直方体は,一辺が1㎝や1mなどの単位体積の立方体を積み重ねてつくることができる。したがって,長方形の面積を求めた場合からの類推によって,縦,横,高さを測ることによって,計算で体積を求めることができることを理解し,公式をつくることができるようにする。その際,例えば単位体積の立方体をきちんと敷き詰めた1段分の個数を(縦)×(横),その段の個数を(高さ)でそれぞれ表すことができることについての理解を確実にする必要がある。

また,身の回りにある立方体や直方体の体積を実際に求める体験的な活動により,体積についての量感を培うことができるよう配慮する必要がある。

この算数的な活動を通して、身の回りにある立体を「縦、横、高さ」の3つの辺で表現できる学習につながると感じました。

いよいよ土日で実験の準備を行い、子ども気象科学館オープンに向けて、各チームで準備がスタートしました。

▼ 雲チーム

雲をつくる実験

雲をつくるために、雲の元になる水(お湯)を入れて、中に線香の煙を入れて実験を行いました。すると、ペットボトルから、煙のような、雲のようなものが出てきました。調べてみると「雲は水蒸気が冷たくなった水の粒ということ」が分かったみたいです。

そして、次はちょっと違う方法で雲を作ってみました。ペットボトルに水を入れて、炭酸キープキャンプで空気を入れて、一気に空気を外に出します。すると、ペットボトルの中に雲のようなものが現れました。調べてみると、ペットボトルを押すと温度が上がり、ペットボトルを一気に話すと温度が下がり、その影響で雲ができるみたいです。

実験をしたチームは、「今回はお湯で実験をしたけど、水でも雲ができるのかを試してみたい。」と話していました。

次回のミッションは、なぜ空気をパンパンにして、一気に空気を抜くと雲ができるのかを、実際の自然現象と関連付けながら考えるステップに入ります!

▼ 雨チーム

雨をつくる実験

雨をつくるために、雨の元になる水(お湯)をペットボトルに入れて、画鋲を刺したプラスチックの蓋を被せ、その上に保冷剤を置いて雨を降らせる実験を行いました。実験では、お湯の蒸気が上に上がるのをみて、ペットボトルの中が白くなっているのをみて、雲?だと話していました。

そして、蒸気が上までいくと、冷やされて水滴が画鋲につき始めているのを発見し、子どもたちは雨の元を発見しました。しかし、雨はなかなか降ってくれません。そこで、子どもたちは「空気中の水蒸気が上空に上がっても最初は雲で、水分が溜まって雨になるんじゃないかな?」と話していました。さらに思考は進み「水が蒸発して、雨が降るということは、砂漠では水がないから雨が降らないんだ!」

このチームはお湯だけでなく、水でも同様に比較実験を行い、水でも雲が作れること、掌をかぶせることで水が蒸発しているのを感じていました。

さらに、この実験の原理が正しいのであれば、上空は気温が低いのではないかと推測し、3年生の宇宙のユニットで宇宙は寒いことを学んでいた子どもたちは、上空は気温が低いことをこれまでの学習で身につけてきた知識と紐づけながら思考を深めていました。

2回目の実験では、晴れの日よりも雨が多く発生していることを発見した子どもたち。そして、曇りの日は気温が下がるので、気温が下がることで雨が降りやすくなるのではないかなと推測していました。

▼ 夕陽チーム

夕陽をつくる実験

夕陽をつくるために準備をしたものは、ペットボトルと牛乳とライトです。まずは、暗い空間をつくり、実際にペットボトルに牛乳を入れて実験をスタートしました。しかし、ライトを当ててもなかなか光はオレンジ色になりません。実験の計画通り進めても思った結果にならないことに疑問を感じる夕陽チーム。

そして、虹チームのもう少し暗い空間で同じ実験をしてみると、どうやらうっすらとオレンジ色に変色しました!振り返りでは、ライトの強さも大事だけど、一番大事なのは角度と場所の暗さということを発見していました。そして実際の自然現象と繋げながら、夕方の太陽の角度と暗さと関連づけて夕陽ができる仕組みを考えることができていました。

▼ 虹チーム

虹をつくる実験

虹をつくるために準備したのは、水を入れるタッパーと光と白い紙です。虹をつくるためにはどんな条件が必要なのかをこれまでの経験を振り返りながら考えていました。虹は雨上がりの晴れた日に出ているということは、水と太陽が必要なのではないか?そこで、タッパーに水を入れて光を当てますが、なかなか虹はできません。
そして、ようやく光を当てる角度を変えると虹ができることを発見しました。では、虹をつくるにはどんな条件が必要なのでしょうか?2回目の実験ではさらに深く考えていく姿が見られました。そして2回目の実験が終えた後、実験をしている子どもたちは「水がなくても虹ができた!」とシェアをしてくれました。次回の実験では、本当に水がなくても虹ができるのかをさらに探究していく予定です!

▼ 風チーム

風チームの実験

風チームの実験では温度の差を生かして自然に発生する風をつくる実験を行いました。使ったものは、段ボールと保冷剤とお湯と線香です。段ボールの中の中心に線香を置いて両サイドに保冷剤とお湯を置いて温度の異なる空間を作りました。

しかし、これがなかなか難しい実験になりました。線香の本数を1本で試してみたり、約10本で試してみたり、ドライアイスで試してみたり氷水で試してみたり、保冷剤で試してみたりと...。試行錯誤は続きます。そして、ついて線香を1本入れて、光を当てると風の対流ができているのが観察できました。実験を終えた子供たちは「やっと...できた...!!!」と言葉をもらすほどです...!!!!そして空気は冷たいところから温かいところに流れることを確認しました。また、温かい空気は上に昇り、冷たい空気は下に沈む様子も観察できました。

実験3日目、風チームもドライアイスが加わることでさらに踏み込んだ実験をすることができました。

風をおこす実験②

▼ 竜巻チーム

竜巻をつくる実験

竜巻チームは家で竜巻をつくるための装置を作ってきており、線香の煙を使って実験を行いました。選考の煙を小型扇風機で普通の風と逆向きの風を送ることで竜巻をつくる実験を行うのですが、扇風機に逆向きの機能がなくて実験がうまくいきませんでした。次回は、線香の煙をドライアイスに、扇風機を逆向きにできるものを使って実験を行いリベンジを行います!

実験2日目です!本日は何とドライアイスを持ってきて実験が始まりました。しかし、ドライアイスも私たちが生活する気温ではあっという間に溶けてしまいました。もう一度、竜巻の構造について確認をして、煙を吸い上げる力が必要ということで、掃除機を使って選考の煙を吸い上げるようにして実験を行いました。すると...!!!

竜巻の実験

竜巻のように渦を線香の煙が巻いているのが写真の右上に確認できるでしょうか?子供たちも実験を通して、竜巻をつくるには吸い上げる力が必要であることを学びました。では、実際の竜巻の吸い上げる力はどのように起きているのか?子どもたちの探究はまだまだこれから続いていきます...!!!

実験3日目!いよいよ本日は念願のドライアイスを使って実験をすることができました!選考の煙と違って、ドライアイスは白い煙のようなものがたくさんためるので、実験へのワクワク感が高まりますが、なかなか渦にならず、竜巻の構造を思い出し、ダンボール箱の両サイドに空けている隙間の重要性に気づきます。すると...!!!

そして、いよいよ各チームごとプレゼンテーションの作成が進み、デモンストレーションの準備がスタートしました。

まず、子どもたちは、6分間のタイムマネジメントの計画を立てました。子どもたちは6分間の中で、実験とプレゼンと1-2年生の質問に答えるという時間配分をどのようにすると良いのかを考えました。

ATLタイムマネジメント× 科学的な専門性のブラシュアップ

▼ 1回目のデモンストレーション(6/23)

お互いにプレゼンを6分間で見せ合い、1-2年生になり切って科学的な質問を問いかけていきます。プレゼン後は子どもたちは、実際に聞かれた科学的な質問を書き出して、足りていない知識の追加のリサーチの計画を立てました。

デモ振り返りのルーブリック評価

子どもたちは、デモを通して天気に関する科学的な知識、小学1-2年生に伝わる言語をチョイスするコミュニケーションスキル、6分間のタイムマネジメントスキルのふりかえりをチームごとに行なっていきました。そして、振り返るだけでなく、ネクストアクションを明確にすることで、チームでプレゼンテーションのブラシュアップの計画を立てました。

▼ 2回目のデモンストレーション(6/24)

次の日に、1回目のデモンストレーションを踏まえて2回目のデモンストレーションを学校説明会に来てくださった大人の方に行いました。前日のふりかえりを元にプレゼン資料のブラシュアップをしてきていました。

デモンストレーションの様子

▼ 迎えた本番(6/29)

子ども気象科学館

本番までの残された時間は45分の中で、子どもたちのタイムマネジメント力とチームワーク力は確実に向上していました。

① 当日のタイムテーブルの確認(10分間)
② プレゼンと実験の準備(15分間)
③ 一斉デモプレゼンテーション(7分間)
④ 最終調整(10分間)
⑤ お出迎えの準備(3分間)

しかし、最終調整の時に何時間もかけて仕上げたプレゼンテーションのデータが消えてしまうハプニングが起きました。何とかスクショのデータで復元できました。
何度も何度もシュミレーションをしてきた子どもたちは、ペアで声かけをしながら上手くチームワークを働かせて動いている姿が見られました。
▼ 各チームのプレゼン動画

雲チーム▶︎リンク
雨チーム▶︎リンク
虹チーム▶︎リンク
夕陽チーム▶︎リンク
風チーム▶︎リンク
竜巻チーム▶︎リンク(準備中)

また、今回はコミュニケーションのユニットということで、1-2年生の子どもたちにもアンケートを行いました。

アンケート

▼ 1年生のアンケートの声


▼ 2年生のアンケートの声

 

▼ ふりかえり

最終リフレクションルーブリック