フィンランドの高校生主体の研修旅行プロジェクト
「高校生主体の研修旅行プロジェクト」
この学習モデルは面白い!日本に取り入れられそうな取り組みです!
フィンランドの新学習指導要領がベースに作られています!!(必見です!)
*今年の5月に行われたフィンランドの高校生の修学旅行の様子
今回紹介するのは、高校生が*主体的に行う日本への修学旅行プロジェクトです。
ここでいう主体性についてですが、どこまで生徒に主体性があるのかということを最初に示したいと思います。
・クラウドファンディングで高校生主体で資金調達
・修学旅行の行き先の決定
・修学旅行のスケジュールの決定
イメージは、日本の部活動を想像してもらえると、分かりやすいと思います。学校の中で、新しいプロジェクトが立ち上がり、それに共感した学生がまずは集まります。そして、日本に行きたいという共通の目標から、どのようにして資金を調達して、日本で何をするのかを生徒が主体となって戦略・計画を立てていきます。先生の役割は、あくまでも見守るということを大切にしていました。
本日のブログでは、フィンランドの修学旅行のモデルを例に、これからの時代に広がっていきそうなプロジェクト学習の一例として紹介していきたいと思います。
▽本ブログで紹介している高校生の主体的な研修旅行プロジェクトは、フィンランドの新学習指導要領の内容ともリンクしています。詳しい情報はこちらからどうぞ!
1. 校長先生の想い
今回、日本への修学旅行への大枠の企画を行なった校長先生の想いを聞いてみました。
Q:「JAPAN Project 2020について詳細を教えて下さい。」
A:「このプロジェクトは、2020年の5月に日本への修学旅行の企画を生徒主体で行うものです。」
Q:「どうして、この企画をすることになったのですか?」
A:「近年、アジアも経済成長しており、生徒にアジアへの関心を持って欲しいという願いがあります。日本への修学旅行の企画を通して、日本語の学習、日本の歴史、宗教、文化等を事前に学ぶことを通して、グローバルな視野を持った生徒に成長して欲しいという願いがあります。」
Q:「日本への修学旅行には、多額のお金がかかると思うのですが、お金はどのようにして集めるのですか?」
A:「資金集めの問題は難しいところです。奨学金や、生徒主体のイベント企画を通して、資金集めを行う予定です。もちろん、生徒主体の協力も不可欠になります。」
Q:「この企画で大切にしていることは何ですか?」
A:「生徒の主体性を活かして、これから生きていく上で必要な力(企画運営力等)を育むために、私は見守るスタンスでサポートを行うことです。」
年々、フィンランドの学習指導要領は変化してきています。その中でも、今一番大きなポイントとして挙げられるのは、「教科横断的に学ぶこと。」です。
このJAPAN Project 2020では、言語、歴史、宗教、地理、企画力、音楽、経済、衣食住、コミュニケーション力、イベント集客等の多くの学びの総合知が試され、育まれていきます。では、次の章では、具体的なプロセスについてまとめていきたいと思います。
2. 日本への修学旅行へいくまでのプロセス
1)大まかな計画
このプロジェクトの大まかな計画は以下の通りです。
▼大まかなプラン
2018.9 日本人教師の募集を新聞で行う
2019.2 面接
2019.5 第1弾:日本への研修旅行/帰国報告会
2019.9 JAPAN Project 2020 スタート/日本語コース開始
2019.10 日本への研修旅行の参加者募集と決定
2019.11 イベントの企画、資金集め開始
2019.12 航空券の確保/クリスマスコンサート企画
・
・(進行中)
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2020.5 第2弾:日本への研修旅行/帰国報告会
次に、資金調達の方法についてまとめていきます。
2)資金調達の方法
「 では、具体的に生徒はどのようにして資金集めをしているのでしょうか?」
① 町への奨学金の申
一人当たり3万円の支援を町に申請を出していました。学校が独自に計画したプロジェクトを教育的価値があると認めて、町が支援する取り組みは素晴らしいと思いました。
② 保護者会でのバザー/販売企画運営
保護者会で資金調達を行なった方法は主に2つです。1つ目は、町の企業に協賛をお願いして、バザーで販売してもいい商品を寄付で集めていました。企業にとっても、広告や社会貢献に繋がり、お互いがWin Winになっていました。2つ目は、生徒手作りのお菓子を保護者向けに販売することで、利益を得ていました。生徒のお菓子を作るクオリティーは高く、ケーキ屋さんよりも美味しくて、安くで買えると、こちらの企画もお互いにWin Winになっていました。生徒主体で企画を行うことで、このプロジェクトを応援する人も増えてきているのを感じています。
③ 毎週職員室に手作りのデザート販売
毎週金曜日は、生徒得意のケーキやお菓子が職員室に並びます。僅か1€で販売するので、すぐに完売します。先生にとっても、休み時間に美味しいケーキが食べられるので、Win Winで、毎週この日を先生は楽しみにしています。生徒の得意な料理を通して、人を幸せにして、自分たちも研修旅行で必要な資金の調達に繋がっていました。
④ クリスマスコンサート企画運営
こちらが、一大企画になります。生徒主体で、町のクリスマスコンサートを企画しています。もちろん、出演する人、プログラム内容も全て1から生徒が企画を行います。当日は、200人近くの人が訪れるイベントになる予定です。研修旅行に向けて、ここまで街全体を巻き込んでするプロジェクトに価値があると感じました。
⑤ お菓子の仕入れと販売
最後は、お菓子の販売です。このお菓子のパッケージに本プロジェクトについてまとめてあります。5€で仕入れて、10€で販売を行います。全部で100箱うるので、500€の利益に繋がります。しかし、それ以上に大切なことは、彼らを応援するサポーターを作ることです。少しずつ、応援団を増えているのを感じます。
3)私(現地サポーター)の役割
私の役割は、生徒の想いをカタチにするお手伝いをすることです。ここまで、日本への研修旅行に向けて準備を重ねている子どもたちの姿をみて、日本での研修が充実したものになるように、計画を進めています。
① 人の温かみを感じる時間を作ること
今私が勤めている学校に、12名以上日本人が訪れて、更に20名以上が訪問する予定になっています。本来、フィンランドの学校現場に、訪問者が入るには、金銭が発生します。ヘルシンキ市内では、1日20万円の訪問料がかかるところもあります。
「なぜ私たちの学校は、外部の訪問者を前向きに受け入れているのでしょうか?」
そこには、私たちが訪問する価値があるからです。今、多くの日本人が訪れて、私たちの日本プロジェクトを応援する仲間が少しずつ増えてきています。高校生の想いを感じ取り、日本で再会したい、次は私たちが案内したい。そんな温かい思いが、このプロジェクトでは連鎖しています。今も、遠隔で授業をしながらここで繋がった人たちがオンラインでの授業に協力をしてくれています。皆んなでこのプロジェクトを支えている空気感がとても素敵だなと感じています。
② 日本の高等学校との交流プログラムを企画すること
フィンランドの高校生の日本でやりたいことの1つに「日本の高校生との交流会」というものがあります。日本から、フィンランドの教育を求めて、多くの若者が学校にきている事実に子どもたちは驚いています。日本の学校への関心は高まっています。
そこで、今計画しているのは、島根県立隠岐島前高校との交流です。実際に担当者の方とも少しずつMTGを進めています。カタチになるかは、現状分からないですが、双方の高校生にとって、素敵な交流会になるのは、イメージができているので、子どもたちのためにも、上手く進めていけたらと思っています。修学旅行を通じて、お互いに交流するプロジェクトはこれから主流になっていくのではないかなと思っています。
3. 日本に取り入れられそうなカタチ
私は、このプロジェクトは日本にも多くの視点で活かされそうだなと感じています。
私たち大人は、子どもたちに成長してほしい、多くの視点を持ってほしいと、様々な企画を作ることはありますが、高校生の可能性を信じて、高校生に海外研修プログラムを企画から行ってもらうことは少ないと思います。
調べてみると、高校生の研修旅行の企画は、40万円が相場です。今回のJAPAN Projectでは、一人当たり、15万円の予算で考えています。とても安い金額ではありませんが、実際に企画をすると、どこにお金がかかっているのかを知ることもできます。
日本では、部活動があるので、「海外旅行企画部」のような部活動が日本全国に広がると面白いのではないかと思っています。
また、今日本には、そういった高校生をサポートしたい大学生は多く存在します。
ここが上手くマッチングして、大学生と高校生が一緒に学び合いながら、海外に視野を向ける若者が日本でも広がっていくモデルをイメージできました。
「海外旅行企画部」誰か高校生或いは先生が企画してくれたら嬉しいです。
是非、私も協力できることがあれば、協力したいと思っています。
本日のブログでは、「フィンランドの高校生主体の研修旅行プロジェクト」についてまとめてみました。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
一緒にアクションを起こしていける人が増えると嬉しいです。
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ヘイヘイ。