フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

初のオンラインでの日本語の授業

私は、今フィンランドの高校で日本語の先生をしています。

今週、私はオンラインで日本語の授業をすることになりました。そこで、本日のブログでは、オンラインで授業をする上で大切なことについてまとめてみようと思います。

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*イギリスのロンドン中心部の朝の様子。

1. オンラインで授業をすることになった背景

先生として勤め始めて、3ヶ月が経とうとしています。この3ヶ月という数字は、ビザなしで滞在できるリミットを表しています。ビザを申請して3ヶ月が経ちましたが、未だにビザの結果は降りていません。給料も出ていない状況よりも、今ここで行なっている全てのプロジェクトが止まってしまうことに不安(寂しさ)を感じていました。そこで、日本への帰国カウントダウンが迫る中で、一時シェンゲン外であるイギリスに滞在することになりました。詳細はこちら

 

今私はフィンランドで先生として勤め始め、人生で始めて生徒を持ちました。私にとって先生になることは、夢の一つであり、生徒の成長が感じられる日々は私に取っての「幸せ」そのものでした。

 

しかし、ビザの関係で、もし強制帰国になれば、「JAPAN PROJECT 2020」が止まることになります。日本語を学びたい生徒の学びの機会を大人の事情で難しくなることに。

 

そこで、悩んだ末に生まれた代わりの手段が、遠隔での日本語授業を行うことです。最初は、生徒もネガティブな反応をするかなと思い、不安が大きかったのですが、自分の思いを伝えると生徒も前向きに受け止めてくれました。生徒にとっても、私にとっても初めてとなるオンラインでの日本語の授業。ここからは、オンラインで授業をする上で、私が考えるポイントについてまとめていきたいと思います。

2. オンラインで授業をする上でのポイント

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しかし、オンライン授業では、生の授業と比べると、場の設計を丁寧に行わないと、授業のクオリティー(生産性)が落ち、生徒のモチベーションダウンにも繋がります。

 

私の中で、オンラインで授業を継続するために大切なことは、大きく4つあります。

① 先生と生徒の信頼関係

② 教員と生徒のICTを使いこなすスキル

③ 生徒一人一人に合わせたタスクと場の設計

④ ICT環境の整備

1つ1つ丁寧に見ていきたいと思います。

① 先生と生徒の信頼関係

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私は、オンラインでの授業を成り立たせるために一番必要なものは生徒と先生間の信頼関係だと思っています。オンラインでの授業は、生の授業に比べると先生の想いを生徒に伝えることが難しくなります。

私自身も、オンラインで英会話を学習しているのですが、英語を学ぶモチベーションは、「この先生との時間を共有したい。」という気持ちや、「この先生ともっと話をしたい。」という気持ちが前提にあります。ただ、語学を学ぶだけでは、先生の存在は必要ありません。オンラインで学習をすることで、先生の役割が少し見えてきた気がします。先生の役割は、「生徒のモチベーションをどれだけ高められるか」も大切なことの1つだと思います。

② 教員と生徒のICTを使いこなすスキル

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次に大切になってくるのが、ICTを使いこなす力です。これは、教員と生徒の両方に求められます。私がオンラインの授業で使っているアプリは次の2つです。

zoom 

Google drive

この2つのアプリは、とても便利です。生徒にとって、zoomを使った学習は初めてだったのですが、Google driveは中学生から課題の提出で使っています。

▼実際の授業の様子

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この授業では、zoomを繋ぐことで、学校だけでなく家での学習も可能になりました。また、zoom上では、画面の共有機能で生徒の課題を表示(Google docs)しながら、質問があればzoomのホワイトボード機能で解説しながら進めていきました。しかし、基本的には、生徒同士で学び合いの学習がオンライン上でも行われていました。

やはり、小学1年生から1人1台のタブレット或いはラップトップを持ち、授業で日常的に使うことで、高校生のICT活用スキルは日本の大学生以上にありました。

ちなみに先生のICTスキルが上がっているのは、時代の変化とともに年配の先生も必死で学んでいるからだそうです。年配の先生の一番の悩みが、情報化への対応だと話していました。

③ 生徒一人一人に合わせたタスクと場の設計

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オンライン上では、一斉授業をすることが難しいです。そこで、オンライン上での授業のベースはあくまでも個人課題を進めることとし、分からないことは、個別での質問や生徒同士で学び合いを行うことが軸になると思います。

実際に本日の授業でも、Google drive上で個別に課題を作り、生徒はオンライン上で学び合い学習を行っていました。zoomでは、グループを分けて学習をすることができるので、習熟度に分けて、学習を行うことも可能になります。

④ ICT環境の整備

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私が勤めているフィンランドの学校では、 小学1年生から、1人1台のタブレットが配布されています。

「これは、どこから予算が降りているのか?」

実は、この地域には、大きなビール工場があり、企業からの寄付金で生徒に一人一台のICT機器(iPad、或いはラップトップ)の配布が実現していました。企業が、これからの子どもたちの未来を考えたときに、情報機器を一人一台配布することで、学びの幅が広がり、ICT活用能力も向上すると考えました。最終的には、これらが将来の地域社会を作ること人材に繋がると考え、「人」に投資を行っていました。

3. 最後に

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私にとって、初めてのオンラインでの日本語の授業が終了しました。

「ビザが降りないかもしれない。」

この事実が分かった時に、私が不安になったことの一つは、日本語の授業が出来なくなることでした。しかし、生徒と対話を通して現状の打開策を考え、今回オンラインでの授業を行うことが実現しました。今の世の中はテクノロジーを上手く活用する事で、場所を選ばずに学べることを体感しました。

「対話」と「テクノロジー」のバランスを測り、授業をする新しいカタチを知りました。これによって、もし私が帰国することになっても、日本から遠隔で授業を行い、「JAPAN PROJECT 2020」を継続することが出来ます。ひとまず安心しました。

 

また、一緒に教員のICTスキルを高めていける勉強会も楽しそうだなと思いました。

 

ロンドンに来て、ミュージカルを見たり、クラシックを聞きに行ったりして、少しずつ元気を取り戻しています。

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何だかビザが降りる予感がしてきました。

 

また、経過報告をしていきたいと思います。

 

キートス。

へいへい。