フィンランドGTP第2弾 フィンランドの小学校1日目 DAY3
いよいよ小学校視察1日目「モンテッソーリ教育実践校」
本日からいよいよフィンランドの小学校視察が始まりました。初めて訪れるフィンランドの小学校に、ワクワクを感じている人も多くいました。中には、高校生の頃からフィンランド教育を見たくて、実際に初めて学校現場を見る機会を得た人もいました。本日訪れる小学校の特徴は以下の3つの面白い特徴があります。最初に基礎情報としてまとめて、次に具体的なエピソードで紹介していきます。
② インクルーシブ教育
③ 音楽教育
◎ 学校の3つの特徴
① モンテッソーリ教育
この小学校では、1.2年生でモンテッソーリ教育とフィンランド教育を融合させてカリキュラムが編成されています。
「なぜ、モンテッソーリ教育を取り入れ続けているのか?」
実際にモンテッソーリ教育を取り入れて、10年程が経過しています。そして、なぜ今も取り入れられているのかというと、最新の国家カリキュラムの内容である「自立した子どもを育てる。」「実体験を通して学ぶ。」等という内容と重なっているからです。モンテッソー教育に関する詳しい情報はこちらです。
② インクルーシブ教育
この小学校では、町で唯一、重度の障がいを抱える子どもの受け入れを行なっています。 そして、2年程前から本格的に、インクルーシブ教育が行われ始めました。インクルーシブ教育の当初は、保護者や子どもたちから「一緒に学び合うことは難しい。」と不満の声もあったそうです。しかし、時間を重ねる中で、子どもたちの中に少しずつ変化が見られるようになしました。子どもは大人の姿をしっかりと見ているエピソードを後ほど紹介します。
③ 音楽教育
この小学校では、音楽の授業を多く受けたい人のために、音楽コースが4年生から作られています。このコースを選んだ子どもたちは、通常のクラスよりも、多くの音楽の授業を受けます。「好きなことを伸ばす環境づくり」の選択肢の一つ担っています。
◎ 学びの総括(4つの視点)
学校視察を終えた後は、毎晩ここに集まったメンバーでリフレクションの時間を設けています。このリフレクションの時間の目的は、15人の学校現場における学びの共有、明日からの学校見学の「更なる問い」の発見、気付きを大切にしています。本日は、共通の問いを持った人でチームを作り、1日の学びの振り返りを行いました。その中で、全体発表の中でシェアされたことの一部を紹介していきます。
① 「みんな同じ」という価値観が生み出す子ども同士のエピソード
まずは、ある特別支援の先生が大切にしている言葉を紹介します。「健常児も障害児も関係なくて、みんな一緒だよ。」ハンディキャップを特別と捉えない考えをしっかり持っていました。この先生の考え方が子供たちにも届いているエピソードを紹介します。
階段がうまく降りれない障害児の男の子がいました。そして隣には、先生ではなく友達の姿がありました。
耳を澄ましてみると、「1.2.1.2.1.2.1.2」と掛け声と共に、一緒に息を合わせて降りてあげる健常児の友達の様子を見ました。そして、階段を下り終えると、「すごい!ハイタッチ」と会話を交わして、タッチをしていました。助けてくれた男の子にとっては、障がいという隔たりがなく、一人のお友達として手を差し伸べていました。
私たちも、苦手なことがあるように、一人一人得意・不得意があり、多くの人の支えを借りながら生きています。障がいがあるからではなく、一人の人間として関わり、自然に支え合える環境が広がっていけばと思いました。
② 「子どもの喧嘩対応」ここが日本と違うエピソード
フィンランドの幼稚園でも、日本と同じように喧嘩は起きています。喧嘩が起きてから、解決するまでのあるエピソードを紹介します。
あるプレスクールで遊んでいる子ども同士が喧嘩を始めました。
場面:Aさんが、Bさんに嫌がらせをして泣かせてしまいました。
① 先生は、泣いているBさんではなく、Aさんの元に歩み寄ります。
② そして、Aさんに行動の理由を問い詰めるのではなく、その子が落ち着く環境づくりを始めました。
具体的には、Aさんの頭を撫でななら、気持ちを切り替えるために新たな教材を取り出し、Aさんの気持ちが切り替えられる場面まで設計していました。日本の先生は、喧嘩が起きた時の解決策は、先生が仲介して「ごめんなさい。」という言葉を発っさせることが多いです。しかし、ここでは、言葉よりも「子ども同士が納得する気持ち」を大事にしているので、先生は見守るスタンスを大切にしていました。
③ 「空間設計」と実際に起きている子どもの学び
このモンテッソーリ教育の教室空間には多くの工夫がなされています。1つの空間でありながら、ここには「静:机と椅子のみ」と「動:モンテッソーリ教育に取り組む場所」の空間が存在しており、子どもたちは空間を移動することで、スイッチを切り替えていました。更に、この教室の奥には、子どもたちが外を向いて学習する場所も存在していました。彼らは、直接的に友達同士と関わらなくても、子ども同士でお互いに感化しながら学習を行なっています。ここでは、子どもたちの学習環境を先生が丁寧に取り入れることを大切にしていました。
④ 「5感を使った教材」
最後に教材編です。この教室では五感を使いながら、実体験を元に学習が行われていました。ICT化が進む世の中でも、幼少期は五感をフルに活用することが大切と言われています。例えば、こちらの教材ですが、数量関係の「量」の概念を体験を通して構築していきます。1が10個集まって10になること、10が10個集まって100になることを実際にこちらの教材を使って習得していきます。このような教材が、教室の中に溢れており、子どもたちは体験しながら、学習を積み重ねていました。
リフレクションタイムの後は、お互いのプライベートのことも含めて語り合う中で、日に日に仲を深めていきました。ここで出会った15人の仲間と過ごす「笑い」が絶えない1週間。一人一人が居場所を感じ、安心して過ごせる環境を一緒に作り、学び合える空気感をずっと大切にしていきたいと思っています。
本日のブログでは、「モンテッソーリ教育実践校を視察」での学びの報告をまとめてみました。
明日は快適な環境設計に拘った、新設の小学校の見学を行います。明日の報告も楽しみにしていて下さいね。
モイモイ!!!