「フィンランドの学校は日本の学校とオルタナティブスクールのバランスを取ったもの?」
本日のブログの問い
Q:「フィンランドの学校は日本の学校やオルタナティブスクールと比較した時に、どんな学校なのか?」
A:「フィンランドの学校は、日本の公立学校とオルタナティブスクールを融合したもの。」
この動画を参考にしながら、まとめていこうと思います。
1. オルタナティブスクールとは?
*動画の一部を引用
Q:「オルタナティブスクールとは?」
A:「通常の学習指導要領に沿ったカリキュラムではなく、子ども一人一人の個性を尊重し、知性、感情、創造性をのびやかに育てることを目的とした学校のこと。」
*動画の一部を引用
次に、フィンランドの学校の特徴についてこの図を元にまとめていきたいと思います。
2. フィンランドの学校とは?
「フィンランドの教育がなぜ、融合したものに感じるのか?」
動画の中で紹介された3つの視点でまとめていきたいと思います。
① 教育スタイル
「子どもが自ら学びたいことを学ぶ」授業が半分、「学習指導要領に沿って教師が一斉授業をする」授業が半分。フィンランドでも半分は一斉授業が行われています。日本との一斉授業の違いは、子どもは先生が黒板に板書したものをノートに写すのではなく、ワークブックを活用して学習しているところです。目的は、写す時間をなくして、考える時間を増やすためです。
- 前期と後期での比較
前期(8月〜12月)は基礎固めの時期
後期(1月〜5月)はプロジェクト学習の時期
これは、日本と同じような印象を受けました。まず新年度(8月)は、長い10週間の夏休み明けのスタートになるので、少しずつクラスの雰囲気(学ぶ環境)づくりを行なっていました。私がフィンランドの学校の2月と9月を単純比較をしても、後半の2月の方が、子どもたちはプロジェクト学習により多く取り組んでいました。詳細は、②の時間割でまとめております!
- 学習内容における比較
約20年前に、その当時のフィンランドの国家カリキュラムから、全体の必須のカリキュラムを3割に絞り、残りは現場の裁量に任せました。これにより、教師の裁量権を増やし、教師のモチベーションアップに繋げました。また、子どもの興味関心に合わせて、時間割を柔軟に変更できるようにしました。例えば、フィンランドのある学校では、日本と同じように45分授業ですが、1つ違いがあります。
こちらの時間割をみてください。
こちらの時間割は、子どもの状態に合わせて柔軟に時間割が変更できるシステムになっていました。45分の6コマではなく、45分を4コマに設定して、この「×」のところでは、柔軟に授業を伸ばすことができるようなシステムになっていました。
② 時間割
「一人一人が違うものを学ぶ」時間割が半分、「全員が統一した内容を学ぶ」時間割が半分。上記の時間割のように、全員が統一した時間割で学ぶのですが、教科の中で「一人一人が違うもの」を学んでいます。ここでいう「違うもの」というのは、「習熟度に合わせた内容」或いは「決められたテーマの中で、自分の好きなこと」を自分で決めて学んでいました。
フィンランドの子どもの1日に関しては以下のブログでまとめてあります!
意外と日本の学校との共通点が多くて驚きました!
educationxfinland.hatenablog.com
- プロジェクト学習の導入
フィンランドでは、1年のどこかで数週間に渡り、あるテーマに沿ってプロジェクト学習をする事が義務付けられています。私が訪れた30校の学校の中でも、この小学校では、後半は、授業のほとんどがプロジェクトベースで行われていました。(2月:学びの集大成)
(技術・家庭のプロジェクト学習の例)
子ども達は6ヶ月に渡り「プロジェクト学習」を行っていました。
このブログでは概要のみ伝えていきます。
1週目:自分が作りたいものを決定
子ども達は、自分が半年かけて何を作りたいのかをじっくり考えて決めていきます。ある子は、本を20冊読んで決めていました。中には、なかなか決まらず投げ出してしまう子もいました。「自分が作りたい」ものを1から作るということは、40人学級なので40通りの作品が生まれることになります。先生も大変です。
2〜3週目:作成計画を立てる
作りたいものが決まった子ども達は、作成に向けて6ヶ月間の計画書を作ることになります。そして、1から作品を作るので、本やインターネットで工程表を見つけ、それをワードに打ち込んでいました。
4〜15週目:作品を作る
実際に計画と工程表が完成したら作り始めていきます。1から作り上げるということで、子ども達にとっては6年間の集大成となります。先生のサポートもありますが、子ども達は自ら作品を作っていました。「自分で作りたい。」と決めて作ったので、根気強く取り組んでいました。
16〜18週目:発表準備
子ども達は自分が作った作品についてプレゼンを行います。それに向けて、「imovie」での編集を行なっていました。
最終週:プレゼンテーション
ここは、帰国のタイミングで見ることができませんでしたが、子ども達はこの6ヶ月間の過程の中で、多くのことを学んでいたと現地の先生は教えてくれました。
その他のPBLはこちらのブログにまとめてあります!〜学校全体のPBL編〜
educationxfinland.hatenablog.com
- 個別指導の観点
決められた時間割の中で、子どもたちは習熟度に合わせて学んでいました。
・習熟度別の教科書
これは算数の教科書で、子どもたちは2つの教科書から選択することができます。右と左の教科書を比較してみると、左の教科書の方が、右と比べると問題の量が少ないのが分かります。「同じ教科書を用いないのはなぜか?」現場の先生に尋ねてみると、「子どもたちにとって、達成感が自己肯定感に繋がり『もっと挑戦したい。』という気持ちを子どもから起こさせるためにこのように教科書を使い分けている。」と話してくれました。もちろん、このような教科書を用いるのことで、問題も起こってきます。子どもは楽をしたがるので、問題が少ない教科書を希望する子どもも出てきます。このような子には、先生が一人一人と向き合い、「その子にあった教科書」ということを説明して、子ども自身も納得していました。
・1人1台のタブレット端末〜スモールステップの原理を取り入れたアプリ〜
この学校では、1人1台のタブレット或いはラップトップを持っており、子どもたちは、自分の習熟度に合わせて問題演習を一人で行います。原理は公文式を取り入れており、算数が得意な生徒は応用問題を解き、苦手な生徒は自分が躓いたところから学び直すことができます。このシステムを採用することで、教師は支援が必要な子に時間を注ぐことができます。このアプリのすごいところは、子どもが「やりたい!」と思える教材(ゲーム系やミッション系)になっているところでした。
③ 小学校の卒業資格
義務教育なので、6年間小学校に通い卒業。ここは日本の小学校と同じ。
3. これから私たちが目指していきたいもの
これから、サランセンターは2つの機能をもつ事業所を目指して動いていこうと思っています。ここでは、「放課後等デイサービス」と「フリースクール」の2つに分けてまとめていきたいと思います。
①② 教育スタイルと時間割
「子どもが自ら学びたいことを学ぶ」時間が半分、「学習指導要領に沿って、すららを使って学ぶ」時間が半分のスタイルで進めていこうと思っています。
これをする理由は、ここに通う子どもたちは、自ら学びたいことを学ぶ力を伸ばせる可能性が沢山あるからです。「学ぶ力」をつけながら、「自分の学びたいことを学ぶ」ことで、相乗効果を目的としています。(フリースクールは現在構想中です。)
- 放課後等デイサービス(日々少しずつアップデート中)
前回のブログで更新した内容と大きく変化した点は「すらら」の学習を取り入れたことです。
Q:「すららとは何か?」
A:「ネットを通じてゲーム感覚で学ぶことができる、対話型のデジタル教材。」
Q:「なぜスララを導入したのか?」
A:
「❶ スモールステップで学べて、子どもが躓いたところから学び直しができる。」
「❷ ゲーム感覚で対話形式で学べるので、飽きない仕組みになっている。」
今の学校は一斉授業なので、1度学習に躓くと、どんどん勉強が分からなくなる悪循環に陥ります。フィンランドでは、「すらら」のような教材を導入しており、一度躓いても習熟度に合わせて子どもが自ら学べる環境が整っていました。「こんなのが日本にあったらいいな。」と思っていたら、ありました。早速本日から使い始めました。
「すらら」の詳細はこちら↓↓↓
その他の時間割の詳細は以下のブログにまとめてあります。
educationxfinland.hatenablog.com
- フリースクール
(構想中)
③ 小学校の卒業資格
- 放課後等デイサービス
放課後等デイサービスに通う子どもたちは、午前中は公立の学校に通い、放課後に通っています。なので、卒業資格は公立の学校で認められます。
- フリースクール
フリースクールに通う子どもたちは、不登校(傾向)の子どもたちが、最初は対象になります。国の方針で、「学校に戻ることを前提としてフリースクールに通う場合、出席を認める。」という文言があります。もし、フリースクールに通いながら、出席を認められれば、公立の学校に在籍しながら卒業資格を認められることになります。