フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランド🇫🇮とSDGs vol.2-3

Moi!

早いもので、フィンランドでの先生ライフも4週目を迎えました。今回のブログでは、3週目で私が感じたことをまとめていきたいと思います。本日のテーマはSDGsフィンランドで生活していると、持続可能な社会の実現に向けた国民一人一人の意識が高いことが伝わってきます。実際にフィンランドでは、2030年までに次の目標(データ)を立てています。

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これまでのハイライトはこちらです。(詳細は画像をクリックして下さい)

▼1週目「幸せ」

このブログでは、「フィンランドの先生・子どもの幸福度がなぜ高いのか」について、実際の経験を元にまとめてみました。先生も子どもも「一人の人間」であるということが理解されているのが一番大きな理由になっていると感じます。

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▼2週目「幼稚園から専門学校視察で学んだフィンランド教育」

日本から集まった15人の仲間と、15の視点でフィンランド教育を体系的に学んできました。私一人では気付かなかった、新たな気付きに溢れた1週間になりました。幼児教育、インクルーシブ教育、キャリア教育、学習環境等様々な視点からフィンランド教育についてまとめてみました。

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▼3週目SDGs

フィンランドで生活していると、地球の未来について考え、行動している人と関わる機会が多くあります。「この考えをどこで学んでいるのか?」調べてみると学校にも鍵があると感じています。学校では、先生自身が、学習の目的を広く捉えて、子どもたちと地球について考えるきっかけを授業の中で多く実践していました。

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本日のブログでは、フィンランドで実際に生活してみて感じたSDGs意識の高さに関するエピソードについてまとめていきたいと思います。

1. 質の高い教育をみんなに

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この3週間で、フィンランドの学校を幼稚園から専門学校まで10校以上視察してきました。毎回、学校の先生や校長先生に「フィンランドの教育で大切にしていること」を聞くと、次のように返ってきます。

「Everyone can access high quality education freely」

「Everyone can learn for whole of life」

全ての子どもは、どの環境で生まれても、等しく教育を受けられる機会を持つ権利があります。先生一人一人がこの意識を強く持っていました。具体的にフィンランドでは、次のような取り組みを行なっていました。

・給食が無料で食べられる。

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「なぜ、無料の給食制度が続いているのか?」

フィンランドでは、世界で唯一かつ最も長く無料の給食制度が続いています。実際に義務教育段階から専門学校まで生徒は無料で給食を食べることができます。現場の先生に理由を聞いてみると、「全ての子どもが等しく教育を受けられる権利があって、給食は教育の一部でもあります。子ども自身が、学校の中で安心して学ぶためにも、学校給食は重要な役割を担っています。」と話してくれました。

・高校では、1人でも学びたい生徒がいればコースを開設する。

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フィンランドの高校では、日本とは異なり授業の約半分が必須科目で、残りは「自分の好きなこと」や「大学入試で必要な科目」を選択して学んでいます。今私が勤めている高校は全校生徒が50人の小規模校です。しかし、コースの種類は都会の学校と比べると若干少ないですが、教えられる先生がいて、かつ生徒が希望すれば受講人数が1人であっても、授業をオープンにしています。少人数ではありますが、一人一人の「学びたい」気持ちを尊重して、幅広く、学ぶ環境が整えています。

・家から一番近い学校が最適な学習環境であること。

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「あなたはどちらの学校に子どもを通わせたいですか?」

この家族の家から一番近くの学校は、小規模で古い建物の小学校です。しかし、5km先には、新設で学習環境が整った小学校があります。

フィンランド教育では、「どの家庭、地域に生まれても等しく質の高い教育が受けられる教育環境整備」に努めています。徹底していると感じるのが、保護者が「学校」を信頼しているという点です。日本だと、学習環境で学校を評価しがちですが、フィンランドでは、一番に「先生」を信頼しています。質の高い教育を保障しているのは、学習環境以上に先生自身を信頼していることが伝わってきました。

2. エネルギーをみんなに、そしてクリーンに

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フィンランドは、無駄なものを排出しないための取り組みが積極的に行われており、市民も積極的に参加しています。その取り組みは、私たちの生活の身の回りにも存在しています。では、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか?

・スーパーでは量り売り

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例えば、スーパーでは殆どの野菜・果物は量り売りで販売されています。理由は、必要な分だけ購入して、ゴミを減らすためです。日本だと、まとめ売りの方が安く購入することができ、お得感からつい買いすぎて食べ物を無駄にしてしまうことが多くあります。このような一人一人が心がけられる小さな取り組みも大切だと感じます。

・どの地域にも存在するリサイクル文化

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子どもたちが大量のペットボトルを持って、スーパーにやってきました。どうやら、リサイクルして戻ってきたお金がお小遣いになるみたいです。

フィンランドでは、殆どの人がリサイクルを行います。

「なぜ、殆どの人がリサイクルを行うのでしょうか?」

答え:リサイクルできる資源は商品の代金に含まれて販売されている。

例えば、1.5Lのコーラの価格=330円で販売されています。(高い)

1L当たりの価格=180円です。(日本と同じ)

計算すると、1.5Lの価格=270円です。

差額=60円=ペットボトルの価格

この差額が、リサイクルすると戻ってくる仕組みになっています。

フィンランドのスーパーでは、缶、瓶、ペットボトルは全て、資源の代金が含まれて販売されているので、私たちは集めてリサイクルをする動機付けにもなっていました。

3. 経済成長に繋がる働き方(働きがい)

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フィンランドは、国民の幸福度ランキングが世界一で現在注目を浴びています。国民の幸福度を測る上で大切なのは、「仕事」です。仕事は、生活の一部であり、幸福度に大きく影響を与えています。では、フィンランドの人はどのようなワークライフバランスを送っているのでしょうか?

生涯学習が根付いた社会

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生涯学習の基盤が生み出す効果とは?」

フィンランドでは、何歳になっても学ぶ機会が十分に保証されています。実際にフィンランドの専門学校に行くと、同じ教室の中で、15歳から60歳までの学生が一緒に学んでいました。生涯学習の考え方が社会に取り入れられた背景としては、これからの時代は変化が激しく、変化に柔軟に対応していくためにも、学び続けながら働くことが求められるからです。実際にフィンランドでは、卒業しても「学び直し」を行う人の割合が高くなっています。今後、生涯学習が根付いているフィンランドと他の国々の間で少しずつ差が生まれてくる気がします。

・キャリアチェンジが当たり前の社会制度

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「あなたはどう生きたいのか?」

フィンランドでは、人生に置いてキャリアチェンジをすることが広く認められています。日本でキャリアチェンジをする際にネックになるのが、「学び直し」にかかるお金と社会人になってから学び直す価値観が根付いていないことから生まれる、社会人が学びたい学問を学べる場所が少ないことです。

フィンランドの専門学校では、社会人になってからも経済状況によっては、無料で学ぶことができたり、個別のニーズに合わせたカリキュラムで履修することができるので、自分が学びたい学問を短期間で集中して学ぶことができます。何より、生涯教育の価値観が根付いていることが、安心して学び直しを行うことができる基盤があります。常に自分の人生の中で、学び続けながらキャリアチェンジできることは、生きるモチベーションになっています。

・一人一人に合わせた働き方の尊重

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 「あなたは、どんな働き方をしたいですか?」

フィンランドの学校では、働き方に関して校長先生と先生の間で対話を通して決める時間があります。例えば、育児休暇を取る場合、自分の時間を大切にしたい場合、別の仕事をする場合、個人によって理由は様々です。個人の意見を尊重しながら、その人にあった役割を振り、足りない部分は別の先生を雇用して学校運営を行っていきます。これによって、一人一人がモチベーションを保ちながら、ワークライフバランスを送ることができます。教師の働き方が、柔軟であることも人気の職業の理由になっています。

4. 住み続けられるまちづくりを

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フィンランドでは、人口の規模感に関係なく安心して住むことのできる街づくりが行われています。その中でも最も大切にされているのが「学校」です。教育の質が落ちれば、地域の中で子育てをすることが難しくなり、若者が外に出ていってしまいます。そこで、フィンランドでは小さな街でも安心して質の高い教育が受けられる環境と、地域の中に若者の居場所がしっかりとつくられています。

 

本日のブログでは、「フィンランドSDGs」をテーマにまとめてみました。日本も世界の中では、国民一人一人のSDGsの意識は高い方ですが、フィンランドの社会から学ぶことも沢山ありそうです。

フィンランドに来て、4週間目になりますが、学校が担っている役割の大きさを感じています。学習の目的を「受験」から「自分や他者の幸せ」に少しずつシフトしていくことが大切だなと感じています。

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

モイモイ。