フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

学校の中にある子どもの落ち着ける「居場所」とは?

「学校に行きたくないという子どもの気持ち」とは?

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サランセンターでは、毎月サランセンターの子どもが通う学校を訪問し、サランセンター での子どもの様子と学校での様子の意見交換等を行っています。

 

私たちは、放課後等デイサービスに加え「子どもの居場所」として午前中に学校に通えていない児童・生徒の受け入れも行い始めました。

 

早速5月の下旬から学校に通えていない男の子が通ってきました。

不登校の男の子が一歩踏み出した瞬間をまとめた記事はこちらです。

本日の学校訪問で話題になったのは、小学校に在籍している小学1年生の女の子のお話でした。

 

入学して2ヶ月が経過し、現在学校に行くことを渋っているみたいです。

 

私たちは特別支援の専門家としてお話を伺いました。

 

(サ:サランセンター 、校:校長、先:先生、子:子ども)

 

サ:「この学校には、学校に通えていない、或いは気になる児童はいらっしゃいますか?」

校:「小学1年生の女の子で最近学校に通うことを渋っている女の子がいます。」

サ:「どういった子でしょうか?」

校:「知的には問題はなく、見通しを持って学べる子どもであるが、見通しを立てた時に、計画が先生や周りのお友達にコントロールされるとストレスを感じやすい傾向があります。発達段階(見通す力)は進んでいるが、自己制御力が一緒に育っていない状況と見とっています。」

サ:「学校に通うことを渋っているとのことですが、その子は今学校に通われていますか?」

校:「今日はお母さんと一緒に学校に来て、次のように対応しました。」

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子:「勉強したくない。」

先:「じゃあ、教室じゃなくて、図書室でお母さんを待っておこうか。」

子:「うーーん。分かった。」

(しっかり学習に取り組みます。)

先:「今日は給食を食べて帰るかな?」

子:「んーーー。食べない。」

先:「お母さんが給食代を払ってくれてて、今日は◯◯◯ちゃんの好きな給食だよ。」

子:「食べて帰ろうかな。」

先:「今日算数のテストをお友達がしてるけど、教室で受けてみる?」

子:「いやだ。」

先:「じゃあ、図書室で先生と一緒に受けてみる?」

子:「うーん。」

(しっかりテストに臨み、しっかり解けています。)

 

校:「このように、この小学校では、その子に合わせた学びの環境を整えることを大切にしています。」

先:「具体的にはどのようなことをなされていますか?」

校:「この学校では、人数が少ないということもあり、その子に合わせた指導が実現できています。例えば、1人の先生が1つのクラスをみるのではなく、全教職員で一人一人の子どもの特性を共有して、一貫した指導を行っています。そうすることで、特別に支援が必要な子どもや、不登校傾向のある子どもも安心して学校に通える雰囲気づくりを大切にしています。」

 

沖永良部のある小学校では、このように学校の教職員が一丸となって、一人の子どもの居場所を学校に作ることに力を注いでいました。

 

子どもが学ぶ場所を教室と図書室という選択肢から選ぶことができます。

 

選べることで、子どもは学校の中にも自分の居場所を見つけられるようになります。

 

もちろん、学校に行きたくないと感じる子どもによって、対応は異なりますが、この子は周りとの人間関係よりも、周りと同じスピードで学習をすることにストレスを感じていました。

 

学校の一斉授業では、全ての子どもが同じ進路で学習が進んで行きます。

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勉強が得意な子にとっては、簡単でつまらない。

勉強が苦手な子にとっては、難しくてつまらない。

 

この女の子も、自分で学習ができるのに、周りと合わせることへのストレスがあったのだと感じました。

 

ここで大切なポイントを2つにまとめました。

ポイント① 一斉授業と合わない子もいるという事実

もちろん周りと合わせる力も時には必要ですが、一人で学ぶ力やその子に合わせた支援をすることで学校に通える子も出てきます。

 

沖永良部でも、その子に合わせた指導ができるように、ICT機器を用いて学習できるアプリを導入すると話している学校もあります。

 

ポイント② 周りと合わせることに強いストレスを感じることもその子の特性(発達障がい)の可能性があること

人は誰しも発達障がいを持っており、その人に応じて不自由に感じることは異なります。

・道を覚えることが極端に苦手な人

・音程に合わせて歌うことが苦手な人

・スポーツの中でもバランスを取ることが苦手な人

 

それと同じで周りと同じスピードで生活することに過度なストレスを感じる子もいます。学校では、ずっと周りと同じ生活を行い、これはある人にとっては大きな負担になっていたりします。

 

これは、悪いことでも恥ずかしいことでもありません。

「自分にはこんな特性(苦手なこと)がある」''でも''

「こんな得意なことがある」

大人がその子を丸ごと受け止めることで、その子も自分をありのまま受け入れられるようになります。

特別支援教育=恥ずかしい」''ではなく''

特別支援教育=その子が幸せに生きるため」に''存在''します。

 

校長先生の言葉にあった「現象だけではなく、背景に目を向けること」の大切さを感じました。

 

少しずつ変わり続ける学校現場。

 

私たちの役割は、

特別支援教育に関する正しい理解を深めること」

「その子がありのままいられる環境で、その子の得意を伸ばしていくこと」

 

本日は、学校の中に子どもの不登校の子どもも落ち着ける環境づくりを行っている学校の事例を紹介しました。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。