「フリースクールという選択肢(居場所)があることを知って欲しい。」
「本当にその子が必要としている支援や居場所とは何なのか?」
私は、沖永良部のNPO法人で学習指導員として働いています。学習指導員として働く中で、学校の校長先生、特別支援員の先生、教育長や教育委員会の方と直接話す機会を頂いています。
この2ヶ月間で、学校長や教育委員会の方と話をする中で感じたことを、不登校に関する国が出している法案とリンクさせながら「葛藤」をまとめていきたいと思います。
今の現状は、フリースクールという新しい居場所が沖永良部島に生まれようとしています。これまでに、沖永良部の不登校の子どもは、行政が管轄の適応指導教室に通ったり、自宅で過ごしたりしていました。しかし、依然として不登校支援という分野では、学校や行政も私たちNPO法人も悩んでいます。
Q「それぞれがどういった現状で、どんな悩みを持っているのか?」
行政:「不登校支援のための施策の一つとして、不登校の子どもが通う適応指導教室という居場所を作ったが、ここでは、子どもの支援をする人が退職後の校長先生であることから、カリキュラムの中身が学習支援メインになってしまった。これにより、ここに通っていた不登校児童生徒は、『勉強したくない。』という理由で、ここに通わなくなった。まずは、不登校の子どもに目線を合わせて、受け入れるというところが難しかった。そういった子どもが安心して、最初の一歩を踏み出せる安心できる教育機関を作る必要があるんですがね。」
学校:「不登校支援のための施策の一つとして、心理カウンセラーの設置を各学校に行われました。しかし、学校に配属された心理カウンセラーは、退職後の校長先生で、どうしても不登校支援でありながら、指導という側面が強くなってしまいました。学校・保護者側の要望としては、専門家としてのスクールカウンセラーを要望し、現在は専門家が各学校に配置されています。これにより、各学校で不登校の子どもを支援する体制も少しずつ整備されてきました。まずは、「不登校=悪いこと」ではなく、「不登校は誰にでも起こりうるものである」という認識を持ち、教職員全体で不登校の捉え方や支援の在り方を心理カウンセラーを中心にして、研修が始まっています。その成果に関してはこちらです。」
NPO法人:「不登校支援として、フリースクール(新しい居場所)を作りました。しかし『フリースクール=不登校の児童生徒が通う場所』ということで、小さなコミュニティである沖永良部では、なかなかフリースクールに通うこと自体が受け入れられない。つまり、私たちがフリースクールという居場所を作るだけでは、保護者の方は安心してフリースクールに通わせることができません。そこで、行政や学校に訪問し、そういったニーズのあるご家庭にフリースクールとしての居場所があるという情報提供のお願いをしています。」
沖永良部島は人口が1万4千人という小さな島で、超少子高齢化も進んでいます。
子どもを安心して育てられる教育環境の整備が重要になります。そのためには、小さな島内で「子ども取り競争」ではなく、保護者の方が、その子に合っている居場所を選択できる情報発信と相談窓口の充実が必要だと感じています。
今沖永良部でも、少しずつ子どもの居場所が増えてきています。
(現状)
・私の施設に来て欲しい。
・一番に学校で学んで欲しい。
現状として、子どもの声が取り入れられてないと感じます。
(見直し)
① 私の施設に来て欲しい。
→その子にとって一番成長できる施設はここなのか?
② 一番に学校で学んで欲しい。
→この子は学校で学びたいと思っているのか?
経営や公教育への信頼の視点だと、①子どもの数や②子どもが公立の学校で学ぶというのはとても大事になります。①子どもの数=国からの補助の金額、②不登校の数=学校の教育力不足と捉えられてしまう現状があるからです。しかし、大切なことは、社会や大人が子どもを巻き込むのではなく、子どもたちや保護者の方がいくつかある選択肢の中から、その子に合った居場所を気軽に相談でき、選択できるようにすることではないのでしょうか。
私たちのような施設間(外部の教育機関)でも、担当者会等で子どもの情報共有を行い、その子が一番成長できる、その子のニーズに合った支援ができるような環境整備ができたらと考えています。私の今いる施設がそのセンター的な機能を持てるようになったらと思っています。
大切なのは・・・
「誰のための教育なのか?」
「一番は子どもが幸せに生きられる力を身につけることではないでしょうか?」
日々悩みながら、これからも本質を見失わずに前に一歩ずつ進んでいけたらと思います。
本日のブログでは、3者連携(行政、学校現場、NPO)から見えてきた不登校支援の現状と葛藤についてまとめてみました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。