国際バカロレア認定校で探究的な学びの実践をスタートして2ヶ月が経ちました。
ユニット①では「政治」について探究するユニットで、総括課題では「子ども市議会議員プロジェクト」で実際に町の人にインタビューを行い、インタビュー結果を元に町の人の困りごとを分析して、自分たちで公約を考え、選挙活動を実際に行いました。
ユニット①の詳細についてはこちらをご覧いただけたらと思います。
さて、ユニット②では自然現象についての学習に入っていきます。国際バカロレアのPYPのカリキュラムでは教科を横断した学びを行っており、教科を横断するに当たって、教科の枠を超えたテーマというものがそれぞれのユニットに設定されております。
「では、子どもたちにとってなぜ教科を横断した学びが必要なのでしょうか?」
PYPでは、各教科ごとに児童を教育する必要性も認識されていますが、これだけでは不十分だと考えられています。
◎ 同様に重要なこと
① 実践に即したスキルを習得すること
② 児童に関連の高い内容を探究すること
③ 既存の教科の垣根を越えて学習すること
「真の意味で教養を身につけるには、児童はそれぞれの教科の間に関連を見いだし、別々のテーマを統合する方法を発見し、最終的には学んだことを自分の人生に関連づけることができなければなりません」(ボイヤー、1995)
*PYPのつくり方参照リンク
「PYPにおける教科を超えた学びとは何か?」
私の考えでは、PYPは一番右側のケーキをつくるような学び(trans-disciplinary)のカリキュラムになっていると考えています。 一般的には、教科カリキュラムが多くの公立学校で採用されており、教科ごとに各教科で育まれる知識、見方・考え方、スキルを学んでいきます。その一方で、PYPのカリキュラムでは、各ユニットごとに教科の枠を超えたテーマが設定されており、児童は複数の教科間に関連を見出し、教科を超えたテーマで統合し、学んだことを実生活に応用するスキルや見方・考え方を学んでいきます。
▼ PYPのカリキュラムの中で定められている6つの教科の枠を超えたテーマ
・私たちは誰なのか?
・私たちはどのような場所と時代にいるのか
・私たちはどのように自分を表現するのか
・世界はどのような仕組みになっているのか
・私たちは自分たちをどう組織しているのか
・この地球を共有するということ
ユニット②では「世界はどのような仕組みになっているのか」をテーマに探究していきます。
▼ 世界はどのような仕組みになっているのか?(*PYPのつくり方参照リンク)
自然界とその法則ついて、自然界(物理学的および生物学的な)と人間社会のかか
わり、科学の原理について理解したことを人間がどのように利用しているか、科
学的・技術的な発展が社会と環境に与える影響に関する探究。
では、具体的にユニットの概要について紹介していきます。
▼ ユニット②の概要
▼ 教科の枠を超えたテーマ:
How the world works
世界はどのような仕組みになっているのか
▼ セントラルアイデア:
Humans adapt to natral phenomenon in order to survive.
人々は生きるために自然に対応する
▼ 探究の流れ:
- Systems to adapt to natural phenomenon
天気と気候の関係
- Measuring and predicting natural phenomenon
気象観測と天気予報
- The impact of and response to extreme natural phenomenon and disasters
異常気象や自然災害の影響と対策
前回のブログでも言及しましたが、ここで一番上に書いてあるセントラルアイデアというのは、この単元を通して子どもたちに一番伝えたいメッセージのようなもの(中心的な概念)だと考えています。
まずは、ユニットに入る前に子どもたちにFeel度walkをしてもらい、身の回りの気になる自然現象を写真に撮ってもらいました。そこで子どもたちが見つけてきた写真がこちらになります。
▼ 子どもたちのwonder
・雨が降っていない時はなぜ、雲の色は水色なの?
・雨が降っている時はなぜ、雲の色はグレー色なの?
・雨の時は霧が出てくるけど、なぜ晴れの日は霧が出てこないの?
・霧が山から町まで降りているように見えた
・なぜ、雲は色々な色に見えるの?
・なぜ、雲は色々な種類があるの?
・虹は何でできているの?
・何もしていないのに、冷たい飲み物に水滴ができるのはどうして?
・太陽が沈んだり、昇ったりする時間が変わるのはどうして?
・雲と霧の違いって何?
早速、気になってリサーチしてくる子どももいました。
子どもたちの探究者としての姿も見られました。身近にある気になったものを見て「こうなのかな〜」と予想すると、調べる前に予想が当たったりすることが多くあって驚きの連続です。
さらに、Feel度walkで気になるものをスケッチブックに知図としてまとめていきます。
スケッチをすることで子どもたち一人一人に見えている世界が可視化され、そこから子どもたちが考えたこと(予想)や疑問が見えてきました。
次の日は、子どもたちの中で出てきた「曇」の正体を観察するために、実際に近くの山に登って頂上から雲を眺めてみました。
頂上から雲を観察しながら、やっぱり雲によって色が違うこと、雲には種類があること、雲は左に向かって動いていること等子どもたちはいろいろな発見をしていました。