フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランドの学校紹介~新設の小学校編「なぜ学校に最新の学習環境が整っているのか」~

「最新の環境・設備が整った学校では、子どもたちにどのような学びが展開されているのか?」

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フィンランドの子ども達の学力は世界一と言われています。

「なぜフィンランドの子どもの学力は高いのか?」

「先生の質が高い」

多くの人がこのように答えます。

「では、なぜ先生の質が高いのか?」

もちろん、1)修士号を取ることが義務2)教育実習期間が長い3)先生になった後も研修が充実している等の答えが挙げられます。更に、フィンランドの国は以下のように述べています。

 

The conclusion is that educational reform in Finland has been built upon ideas of good leadership that place an emphasis on teaching and learning, encouraging schools to craft optimal learning environments and implement educational content that best helps their students reach the general goals of schooling, and professional leadership of schools.

 

訳)結論は、フィンランドの教育改革は、

1)指導と学習を重視した優れたリーダーシップのアイデアに基づいている。

2)生徒が学校教育の一般的な目標、および学校の​​専門的リーダーシップに到達するのに最も役立つ教育コンテンツや最適な学習環境を整備することを学校に奨励する。

つまり、「学習環境を整えることが、生徒の学びや学校(教師)のリーダーシップを醸成させるのに重要」このように述べています。

 

ここからは、実際にGTPで訪問する、最新の設備が整った学校について紹介をしていきたいと思います。

 

(タイトル)

1.学校の概要

2.学校の設備

3.特色のある教育

  

1. 学校の概要

 

1)  生徒数:約120名の学校です。各学年20人です。

2)先生の数・種類

校長先生、学級担任6名、外国語の専科2名(英語・スウェーデン語)、特別支援の先生1名、Teaching assistant5名程度*生徒の実態によって異なる)、スクールソーシャルワーカー1名、スクールドクター1名等

3)プレスクールと併設:

同じ建物内に*プレスクールがあります。小学校の先生と同じ職員室を使用しているので、日本でいう幼小連携は日常的に行われています。

*プレスクールとは・・・2年前からフィンランドで義務付けられた制度で、小学校入学前に1年間通うことが決められています。

 

2. 学校の設備

1)教室

フィンランドでは、全教室に電子黒板、プロジェクターが備わっています。授業は全て電子教科書を用いて行われており、更にこの学校では生徒が1人1台のタブレット或いはPCを持っているので、ほぼ全ての授業で電子機器が用いられています。

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ここは「English room」です!フィンランドの教室は「リビング」のような落ち着く設計になっています。子ども達はソファに座って授業を受けたり、バランスボールに座って授業を受けていました。

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ここは、3、4年生の教室です。この教室も同様に「リビング」をイメージした設計になっていました。子ども達(先生も)がリラックスして授業が受けられることを重視しています。また、教室の配置を見ると、子ども同士が顔を合わせて授業が受けられるような配置になっていました。


2)子どもが学習に集中するための環境

 ここでは、教室以外の廊下にある「子どもが学ぶ環境」について紹介していきます。

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周りの視界によって集中力が発散してしまう子どものための空間(合理的配慮です。でも実際には、周りの刺激が無いほうが集中できると思います。なので、この空間は特別支援の子だけでなく、誰もが自由に使える空間になっていました。

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フィンランドでは子どもは、自分で学ぶ場所を選択するが多いです。「なぜ、子どもは自分で学ぶ場所を選択するのか」というと「子どもは一人一人集中できる環境が異なっています。」だから子ども達は6年間の中で「どのような環境だと学習に集中できるのか?」を見つけていくことになります。また個別指導をする際にもこのような空間は使われています。

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「行儀が悪い!!!」このような声が聞こえて来そうですね。

しかし、フィンランドの先生はこれに関しては叱りません。「なぜでしょうか?」

フィンランドでは常に「目的」をとても大切にしています。「学校とは何のためにあるのか?」教師は常に問い続けます。上の写真では、子ども達は寝ながら問題に取り組んでいます。日本だと絶対叱られる対象になります。確かに「行儀が悪い」かもしれないです。しかし、私たち大人も、仕事をするときにずっと椅子に座ってするでしょうか?中には、デスクワークをずっと同じ体制でする人もいますが、私たちは快適な環境を自分で整えて本を読んだりしています。子どもにも私たちと同じように「集中できる環境」があります。学校は「正しい姿勢で長時間座って勉強する訓練」をする場ではありません。「学問を学ぶ」場です。「何でこれをしないといけないのか?」を子どもに説明する時に、大人の「当たり前」を一方的に伝えるのではなく、一歩立ち止まって考えることも大切だと感じました。

3)食堂

 フィンランドでは、無料で昼食を学校で食べることができます。

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3. 特色のある教育

 

1)複式学級

この小学校では、複式学級を取り入れています。基本的には単式学級です。考え方としては、オランダで多く実践されている*イエナプランと同じ理由になります。

校長先生に「複式学級の理由」を尋ねると、3つ挙げてくれました。

 

① 異学年でクラスを編成することで子ども同士の「学び合い」が生まれる。

② いじめ等の人間関係等の問題が起きにくくなる。

③ 2学年で編成することで、よりバランスの取れたクラス編成が可能になる。

 

このようにフィンランドでは学校に裁量権があり、各学校によって特色のある教育を行なっています。

 

*オランダのイエナプランについて知りたい方は以下の動画をご覧ください。

(7:18から異学年の理由について述べてあります。)

 


オランダの教育は日本の3周先を行く

 

2)プロジェクト学習

フィンランドでは、1年のどこかで数週間に渡りあるテーマに沿ってプロジェクト学習をする事が義務付けられています。私が訪れた30校の学校の中でも、この小学校では、授業のほとんどがプロジェクトベースで行われていました。(2月:学びの集大成)

(技術・家庭のプロジェクト学習)

子ども達は6ヶ月に渡り「プロジェクト学習」を行っていました。このブログでは概要のみ伝えていきます。

 

1週目:自分が作りたいものを決定

子ども達は、自分が半年かけて何を作りたいのかをじっくり考えて決めていきます。ある子は、本を20冊読んで決めていました。中には、なかなか決まらず投げ出してしまう子もいました。「自分が作りたい」ものを1から作るということは、40人学級なので40通りの作品が生まれることになります。先生も大変です。

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2〜3週目:作成計画を立てる

作りたいものが決まった子ども達は、作成に向けて6ヶ月間の計画書を作ることになります。そして、1から作品を作るので、本やインターネットで工程表を見つけ、それをワードに打ち込んでいました。

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4〜15週目:作品を作る

実際に計画と工程表が完成したら作り始めていきます。1から作り上げるということで、子ども達にとっては6年間の集大成となります。先生のサポートもありますが、子ども達は自ら作品を作っていました。「自分で作りたい。」と決めて作ったので、根気強く取り組んでいました。

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 16〜18週目:発表準備

子ども達は自分が作った作品についてプレゼンを行います。それに向けて、「imovie」での編集を行なっていました。

 

最終週:プレゼンテーション

ここは、帰国のタイミングで見ることができませんでしたが、子ども達はこの6ヶ月間の過程の中で、多くのことを学んでいたと現地の先生は教えてくれました。

 

以上で、新設の小学校の紹介を終わります。

 

次回は、「モンテッソーリ教育」を実践している小学校の紹介をしていきます。

 

モイモイ!!