「フィンランド教育」と「モンテッソーリ教育」を融合するとどうなる?
本日は、「モンテッソーリ教育」実践校についてお話ししていきます。
私が滞在していたIisalmiでは唯一「モンテッソーリ教育」の実践しています。
実は、この学校は多くの特色ある教育をしています。今回は3つの特色についてまとめていきたいと思います。
1. モンテッソーリ教育とは?
モンテッソーリ教育の目的は「自立した子どもを育てること」です。
具体的には、それぞれの発達段階にある子どもを援助し、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学びつづける姿勢を持った人間に育てる」ことです。日本とフィンランドの学習指導要領を要約した感じがします。
『*子どもの家』では、子どもたちに自発的な活動に取り組む自由を保障し、そのために「整えられた環境」を準備します。 「整えられた環境」とは、次の4つの要素を満たすものです。
*モンテッソーリ教育の環境のこと
① 子どもが自分で自由に教具を選べる環境構成
② やってみたいなと思わせる、おもしろそうな教具。
③ 社会性・協調性を促すための、3歳の幅を持つ異年齢混合クラス編成。
*モンテッソーリ教育とは?
2. モンテッソーリ教育の教材
算数編
理科
社会
外国語(フィンランド語・英語)
体育
その他
PC、図工等のコーナーがありました。
3. モンテッソーリ教育の先生との質疑応答@現場のリアルな声
この小学校の1学級(小学1.2年生)では、「*モンテッソーリ教育」を取り入れています。この学校で「モンテッソーリ教育」を取り入れている先生は、心の底から尊敬できる教育者です。自分の「教育で大事にしていること」を目の前の子どもたちに伝えていくために、自主的にモンテッソーリ教育の教授法を大学で学び、更に「自身の教育で学んできたこと」を伝えて行くために、これまでに40人以上の日本人の学生の受け入れを行っています。先生が、お忙しい中私たちの質問の1つ1つに真剣に答えてくれるからこそ、ここでの議論は深まっていきます。
ここからは、この学校における「モンテッソーリ教育」について、毎回質問に挙げられることを質疑応答形式でお伝えしていきます。
質問① 「このクラスではなぜ、モンテッソーリ教育を取り入れているのか?」
回答①
「1)いま国が出している指針と、モンテッソーリ教育の目的が一致しているから。」
「2)同じ町にある、モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園との接続を図るため。」
「3)先生自身の教育観と一致しているため。」
質問② 「モンテッソーリ教育を教えるに当たり免許は必要ですか?」
回答② 「はい。学級でこの教育を取り入れるためには、教授法を大学で学び、資格を取る必要があります。」
質問③ 「これだけ多くの教材はどのようにして集めているのか?」
回答③ 「町にモンテッソーリ教育を支援する団体があり、そこで資金を調達して購入したり、手作りで作っている教材も沢山あります。何年もの実践から少しずつ教材が増えてきています。」
質問④ *「モンテッソーリ教育を受けた子とそうでない子がいますが、学力差等は生まれないのですか?」
回答④ 「大きな差は生まれません。子どもによって「違い」が生まれるのは自然なことで、それは「個性」でもあります。ところが、自主性・協調性という点では、少し違いが生まれてきます。モンテッソーリ教育を受けてきた子どもは、自ら課題を決めて学習し、更にお友達を助けられる子が多い気がします。」
質問⑤ *「モンテッソーリ教育を受ける子と受けない子で生まれるギャップに対して保護者からのクレームはないのか?」
回答⑤ 「保護者からのクレームは殆どありません。多くは、モンテッソーリ教育を幼稚園で受けてきた子どもがこの学級で学ぶことになります。モンテッソーリ教育がベストな教育法ということではなく、あくまでも一人一人に合った教育を大切にしています。」
質問⑥ 「モンテッソーリ教育では授業の進行はどのようになっているのか?」
回答⑥ 「モンテッソーリ教育は、子どもが1から何をするのかを計画を立ててするのではないです。先生が1週間ごとに各領域から5つ程仕事を選択して、子どもたちはその中から選択して学習を行っていきます。」
質問⑦ 「モンテッソーリ教育ではどのように評価を行っているのか?」
回答⑦ 「モンテッソーリ教育では、自己評価をとても大切にしています。子どもたちは、学んだことを自分のノートにまとめ、終わったら先生に見せて、自己評価を行います。」
質問⑧ 「モンテッソーリ教育で一番の良い点は何か?」
回答⑧ 「五感を使って学べることです。近年携帯電話等の普及で手先が器用でない子どもが増えてきています。モンテッソーリ教育では、実際に手を動かして学ぶものが多いです。これにより、子どもの感覚器官が刺激されて、発達に良いみたいです。」
*質問⑨ 「モンテッソーリ教育をしてて、課題はあるのか?例えばモンテッソーリ教育を受けてきた子どもは、一斉授業を集中して受けられるのか?」
回答⑨ 「この学級では、全て「遊び」を通して学んでいるわけではありません。あくまでも、フィンランド教育とモンテッソーリ教育を融合して行っています。例えば、1日の中で、午前中はモンテッソーリ教育を、午後はフィンランド教育で授業を受けていました。」
質問⑩ 「先生が教育において大事にしていることは何か?」
回答⑩ 「子どもは、一人一人性格も、学ぶ早さも異なります。その子に合わせた教育をすることが大切です。」
このようにフィンランドでは、学校に裁量権があり、各学級(教師)によって特色のある教育を行なっています。
この学校で学んだことは、「融合」という「柔軟性」です。私たちは、どうしても0か1で物事を考えてしまいます。私たちが教育について議論するとき、「AとBどちらがいいのか?」ではなく、「C」という「AとBを融合した考え」を導き出すことの価値をここで学びました。
フィンランドの学校現場をみて終わりにするのではなく、そこから日本の教育に何が活かせるのか?「活かせない」そういえばそこで思考が止まります。確かにマクロレベルでは活かせないかもしれません。しかし、身の回りのミクロレベルで活かせることは沢山あります。
ここを現場の先生と一緒に議論ができるように、毎日フィンランドでの学びを発信していこうと思います。
PS. この学校では、モンテッソーリ教育以外にも特色のある教育を行っていました。
① 音楽教育
この小学校では、3年生から音楽を専門的に学べるクラスがあります。通常学級と比べると、週2時間程度音楽の授業が多いクラスです。
② インクルーシブ教育
この小学校では、「インクルーシブ教育」を実践しています。同じ校舎の中で、重度の障がいのある子も一緒に学びます。
ではではモイモイ!!!