フィンランドの小学校の子どもたちは
どんな1日を学校で過ごしているのか?
1. フィンランドの子どもの1日(今回のブログ)
2. 日本の教育の相違点(次のブログ)
3. 最後に・・・
本日のブログではフィンランドの子ども達の1日をリポートしていきます。
私は昨年6ヶ月間フィンランドの学校現場でインターン(教育実習)をしてきたの
ですが、最初の日に感じたことをまとめてみました。
「フィンランドと日本の教育は結構同じ???」
フィンランドの学校インターン初日に私はこのように感じました。
本やメディアで取り上げられている情報から、いつしかフィンランドは
「教育のユートピア」という印象になっている自分がいました。
でも、実際にはフィンランドの教育と日本の教育には共通するものも沢山ありました。
まずは、フィンランドの子どもの1日を見ていきましょう。
私がインターンしていた小学校の写真です。
1. フィンランドの子どもの1日
フィンランドでは、子ども達は基本的に家から一番近い学校に通います。
この考え方の根本にあるのは、「フィンランドでは、どの地域・家庭に生まれても質の
高い教育を受けられる機会を保障する」という国の理念です。フィンランドでは、99%
が公立学校であるので、ほとんど全ての子どもが公立の学校に通うことになります。
*疑問「家から一番近い学校以外も選択できるのか?」
「可能です。」いじめ等の何が理由がある場合は柔軟に学校を変えることもできます。
それ以外の理由でも、親が送り迎えができるのであれば、離れた学校に通うことができ
ます。フィンランドでは、5km以内は徒歩、或いは自転車で通います。もし、5km以上
場合はスクールバスで学校に通っています。スクールバスなので保護者も安心です。
朝8時から1時間目が始まるので、子ども達は7時45分頃には学校に到着します。
子ども達は朝8時までは学校に入ることができないので外で遊んだり、携帯ゲームを
したりして待っていました。マイナス25度の環境でも、子ども達は8時まで外で待って
います。この理由は休み時間のところで触れていきます。
こちらがフィンランドの小学校の1日の時間割です。
日本との共通点がいくつも見つかったと思います。
・45分授業
・教科型のカリキュラム
・15分の休み時間
・給食の時間
では一つ一つ見ていきましょう。
1時間目(朝の会)
日本と同じように朝の会のようなことを行なっていました。1日のスケジュール確認
をしたり、体調を確認していました。また、月曜日の朝は「週末に何をしたのか?」
を一人一人に聞いて、みんなで聞く時間もありました。普段の何気ない日常をシェア
することで、「家族」のような安心できる雰囲気を作ることも目的としていると話して
くれました。これはオランダで多く取り入れられているイエナブラン教育の「サークル
対話」でも同じコンセプトで行われていました。
1時間目〜2時間目(90分授業)
・国語
フィンランドの国語の授業で多く取り入れられている「カルタ」。
日本では「マインドマップ」と呼ばれているものです。子どもの創造性を引き出すため
に国語の授業だけではなく、他の教科でも取り入れられていました。
・算数
フィンランドの子どもたちは、小学5年生になっても掛け算99を暗記している子は少な
いです。フィンランドの先生はこのことに対して課題を持っていました。日本の子ども
たちが小学2年生でほとんどの子がマスターすることを伝えると驚いていました。
ここでは、算数の授業では、習熟度別の学習を取り入れていました。あるクラスでは、
全員が違う教科書のページを開いて個別で学習を行なっていました。この個別の学習を
サポートするのが、一人一台持っているタブレットです。子どもたちは自分のレベルに
合わせて学習を進めていました。先生方は、個別学習をしたいが先生の負担が大きく
なると話していました。そこでフィンランドの学校でも『学び合い』を子ども同士で
家族のような関係で自然に行なっていました。
・理科
実際に外に出て学ぶ学習が多い印象でした。時には、森に出ていき、そこで学ぶことが
多いフィンランド。森を重要な学びの場の一つとして位置付けています。フィンランド
人は何もない森にいる時間を大切にしています。
・社会
社会で印象的な授業は、小学6年生が税金についての仕組みを学んだり、「将来立ち上
げたい会社」を企画し、プレゼンを行う授業でした。フィンランドでは、公教育の目的
の一つとして「次の納税者を育てる」というものがあります。日本人は、政治に関心を
持つ人が少ないので、この授業から学ぶことがありそうです。
・英語
英語の授業では、小学2年生から文法の授業が始まっていました。フィンランドでは、
小学3年生から英語を学ぶことが義務付けられています。この地域では、田舎なので
外国語に慣れ親しませる必要があると、行政と学校が判断したので、小学2年生から
行われていました。(地域ごとの裁量権、教師の了解も得ている。)そして、英語を
教えるのは修士号を取得している専科の英語の先生です。授業は4技能がバランス
よく取り入れられ、ゲームを取り入れて授業が行われていました。
休み時間 (30分)
子ども達にとって、30分というまとまった休み時間を取ることが良いと学校が判断
して、このような体制になっています。
フィンランドの子どもたちは、休み時間はとにかく外で思いっきり遊びます。
真冬のマイナス25度の環境でも休み時間は外で過ごす法律がフィンランド全土で
あります。理由 1)気分、脳をリフレッシュするため 2)寒さに強くなるため
*疑問「なぜこんなにも子どもたちは外で遊ぶのか?」
ここでは「子どもが遊びたい」心からそう思える環境を整えることを大切にしていまし
た。フィンランドでは「どんな遊具を学校に置くのか」も子どもたちが決めることがで
きます。
例えば・・・
恐怖遊具①恐怖のスピンスピンスピン!!!
恐怖遊具②恐怖のブランコ!!!
他にも子どもたちは、
夏は、フロアボール、キックボード、サッカー等
冬は、アイスホッケー、アイススケート、スキー、そりで丘から下る等
とにかく思いっきり遊びます!
*疑問「子どもたち怪我はしないのか?」
この質問に対して、校長先生は、
『安全管理はもちろん教師もしているが、子どもたち自身でも小さい時から自分で
「何が危険か」を学ぶことが大切と話してくれました。危険を子どもから排除するので
はなく、子どもたちに遊びを通して「安全に遊ぶために必要なこと」を学ばせている』
と話してくれました。
3時間目(45分)
給食(30分)
フィンランドの学校では、無料で給食を食べることができます。これはプレスクール
から高等学校・専門学校まで共通です。しかし、先生は給料からの天引きです。
給食のクオリティは写真の通りです。日本と比べると栄養のバランス、給食の質は
あまり高くなく、食べる量も子どもたちによってそれぞれです。中には、全く食べない
子がいたり、好きなものだけを食べても先生は特に何も言いません。低学年では、先生
が給食指導をする場面がありましたが、中学年以上になると、日本のような給食指導は
存在していませんでした。
4時間目(45分)
休み時間(30分)
5時間目〜6時間目(90分授業)
2時間連続になっているのは、実技教科を90分間連続して行うことで「子どもの学び」
を充実するためと話してくれました。日本で図工や家庭科を2時間連続で行う理由と
同じです。では実際にどのような授業を行なっているのでしょうか?
・技術
フィンランドでは小学校から様々な道具を用いて作品を作っていました。日本では、
何年生からどんな道具を使うのかが決められてましたが、ここでは、その子に合わせて
使う道具も異なっていまいした。
・図工
フィンランドでは、小学校段階から、日本で中学校で習うモダンテクニックを多く授業に取り入れていました。フィンランドでは、図工の教科書はありません。先生たちは「pinterest」というアプリから教材のアイデアを得て授業を行なっていました。
・家庭科
家庭科では、男の子も女の子も毛糸で何かを作ったり、森でベリーを収穫して簡単な料理を行う授業を行なっていました。フィンランドでは日本のように学校に家庭科室はありません。職員室にある道具を用いて調理を行なっていました。
・音楽
楽器がとても充実しており、子どもたちの身近な場所に楽器が置いてあります。
そして、音楽の授業では、子どもたちが自分たちでグループを作り、作詞作曲を
行なっていました。日本で言われているアクティブラーニングの授業です。
・体育
体育は子どもたちは私服×裸足で行います。どうやら、普段着ている格好で運動をする
みたいです。先生曰く、「体育は遊びの延長で、休み時間も私服で遊ぶでしょ。」と
話していました。日本の体育館はここの4倍で、プールも付いてると話したら驚いてい
ました。フィンランドでは、学校に設備がない場合は地域のスポーツセンターに移動し
て、外部の先生が指導に当たることも多いです。そのため、体育の授業の中では、
ゴルフ等の授業も行われており、学校によって行うスポーツも異なっていました。
いかがでしたか?^^
フィンランドの学校現場のリアルを少しは知れたのではないでしょうか?
また次のブログで、日本の学校との相違点についてまとめていきたいと思います。
最後に本日YAHOO NEWSに上がっていたニュースをシェアして終わりたいと
思います。フィンランド人が大切にしている考え方や価値観がコンパクトに
まとめられていました。
また明日も楽しみにしていて下さいね!!