フィンランド×オランダ×日本の教育制度の比較!現場のリアルをレポート!
フィンランドとオランダと日本の教育制度を徹底比較!
今回は、私が実際に見てきたフィンランドとオランダと日本の教育制度を比較しながら見ていきましょう。それぞれの国の教育制度の特徴が見えてくると思います。
これから紹介していく内容は、なかなかネット上では上がっていない情報です。フィンランドやオランダでは学校の裁量権が大きいため、一概にも「◯◯の教育」とは言い切れませんが、このような制度があるというのは事実ですので、頭の中で日本の教育制度と比較しながら読んで見ていただけたらと思います。
こんなあなたに読んでほしい!
・ 日本の教育をよりよくしていきたい!
・ 海外の教育制度に興味がある!
皆さんはフィンランド、オランダ、日本の教育制度にどのようなイメージを持っているでしょうか?
プラスのイメージ?
マイナスのイメージ?
教育制度と言ってもテーマが広いので今回は私が今1番興味関心のある
『国が定めた学習指導要領が現場で実践されるまでの流れ』
にフォーカスして話をしていきます。
① 日本の教育制度
の構造になっています。(池上彰の「日本の教育」がよくわかる本p.254参照)
どうしてこのような構造になっているのか?
理由の一つとして、1番学校現場と身近な市区町村教育委員会でさえ住民が直接選挙で選ぶ仕組みが今はありません。そのため住民の多くは、地元の教育委員会に関心を持たなくなり、教育委員会の名前も知らない人が殆どという実態になっています。
(池上彰の「日本の教育」がよくわかる本p.56参照)
今日本では、国が2020年から英語教育、プログラミング教育を必須化する動きが出ていますが、多くの教員は「この変化に対応できるのか」不安に感じていると思います。
文科省の方針と学校現場の実情を結ぶ「何か」が必要な気がします。
フィンランドでも、10年に1度の学習指導要領の改定があり、時代に合わせて変化し続けています。ではどのようにして、国が打ち出した方針に対して、現場は教育をアップデートしていっているのでしょうか?
② フィンランドの教育制度
フィンランドは、国が打ち出した方針に対して、現場はどのようにして教育を
アップデートしていっているのでしょうか?
フィンランドでは
↓
地方の教育委員会
↓
学校現場
と同じような組織があります。
日本と同じで10年ごとに改訂を行います。そして大きく違うのが2点です。
1)国家カリキュラムを作っているのが全員教育専門家であること
全員が教育専門家であるので、現場の実態も把握しカリキュラムを策定しています。
2)改訂から移行までの流れ
日本では国だけで決めていますが、フィンランドでは学校現場の意見も徴収しながら決めていきます。
国が改訂内容を4年前にオンラインで公開すると現場の先生が意見をする機会が与えられます。(日本では多く知られていませんが、同じような制度があるみたいです。)
それを元にまた改訂を行います。そして改訂2年前になると改訂内容が地方の教育委員会におりてきます。
最後は、地方毎に学校の現場の先生を集めて改訂に向けてのワークショップ(研修)を
行います。フィンランドでは「現場の先生同士でお互いに学び合う文化」が根付いています。
また国が定めたものを全て実施しないといけないというわけではありません。
例えば私がインターンをしていたIisalmiでは英語教育を小学2年生から開始しています。理由は、地方なので英語の早期教育が必要と地方の教育委員会が判断し、その地域の先生の合意も取れたためです。(国家カリキュラムでは3年から開始)
また現場でも校長先生と現場の先生の壁は無く、フラットに意見交換をしています。
先生の時間割も校長と教員が相談して決めます。
校長は、現場の先生の意見を尊重しながら、学級経営を任せていきます。
そのため現場の先生は校長から指示されて動くのではなく、自らで考えて動きます。例えば、子どもの実態に合わせて教科書を定めるところから教員自身で行います。
信頼があるからこそ、一人一人の先生に裁量が任されているのを感じました。
日本との違いは現場が「国の方針=現場の方針(100%)」という認識がないことだと思いました。フィンランドでは、現場は常に「目の前の子ども」を観ていて、国も「現場のことは現場の先生が一番理解している」と「信頼」して裁量権を現場に与えています。
まとめるとこんな感じになります。
「信頼」と「信頼を支える教員の専門性」と「専門性を支える現場の先生のゆとり」
今の日本の「働きかた改革」の先に日本の教育がよくなっていく可能性を感じます。
③ オランダの教育制度
オランダの教育システムは簡単に説明すると
国の教育機関(教育文化科学省)
↓
地方の教育機関
↓
専門機関(教育監督局)←校長コンサルタント有
↓
学校現場
というように4段階構造になっています。
日本には存在しない地方の教育機関と学校現場の間にある専門機関とは何か?
専門機関には、学校設立から運営までをサポートする多くの専門家が集まっていました。具体的に私たちがインタビューを行った専門家は以下の通りです。
(1)人事
そのため、教員が生涯同じ学校で働きたい希望があり、学校側も専門機関も
妥当だと判断すれば生涯働くことが可能です。
私が滞在していたホストマザーは教員を40年間1つの学校で勤めていました。
またオランダでは多くの教育プラン(イエナプラン・モンテッソリー・フレネ)
が実践されています。その中で「自分の教育観に合った」教育方法を実践している学校に申請を出し、校長と人事でどこの学校で働くのかを決めていきます。
ここで大事にしているのは
「What do you want to do?」「あなたはどうしたいのか?」
を大事にしています。
教員の「したい」を尊重することで、教員のモチベーションの向上にも繋がっています。
(2)学校経営
子どもと保護者には学校の選択権があります。
もし、自分がこの学校に合わないと保護者が判断すると、自由に学校を変えることができます。そのため、年度によって子どもの数は大きく異なることもあります。
そして子どもの数の減少が続いていくと学校の存続も難しくなります。
また学校の予算は、子どもの数や学校経営の方針で変わってきます。
各学校の校長先生が自身の学校の経営方針のプレゼンを行い、
計画に応じて政府からの予算の配分を行う権限も持っています。
(3)学校運営
最後に学校運営です。オランダでも「MINGO」という日本でいう学習指導要領が存在します。各学校はMINGOの方針に沿って各学校毎に独自の教育方法(イエナ・モンテッソーリ・フレネ)で行います。大事なのは「MINGO」の方針に従うだけでなく、現場の方針を尊重することです。
この専門機関はその地区にある21の学校の学校運営をサポートしていました。
そして
「学校運営に1つの正解はない。21の学校には21の学校運営がある。」
このことを大切にしていました。
そしてここの専門家は
「What do you want to do?」
を校長に問います。
校長は毎年、専門家に向けて学校運営方針のプレゼンを行い、専門家と共にそれぞれの学校の実情に合った計画を作り上げていきます。
これにより、それぞれの学校に特色が出てきます。また現場で実践している様子を専門家が実際に見に行くことで、「教育の質が保たれているのか」等の途中経過も観察しながら意見を出し合います。
保護者はこの評価を見て学校を選択することができます。オランダには公立の学校と私立の学校がありますが、殆どの学校は無料で通うことができます。
私はこの専門機関が「オランダ全体の幸福」に繋がっていると感じました。
先ほどのフィンランドのモデルで言うと、
専門機関(教育監督局)
↓ 尊重
学校現場(校長の経営方針)・教員(教育観)
↓
子ども
専門機関は校長の方針や教員の意見を尊重します。これにより校長、教員のモチベーションが高まっているのを感じました。
これに加えて、オランダでは目の前の子どもに合わせて、保護者は学校を選択できる(保護者の意見も尊重)ので「子に合わせた教育の実現」が「子どもの幸福度」に繋がっていると感じました。
日本では現場と政府の方針に距離があります。政府が「これからの時代」に合わせて
新しい政策を出しますが、現場ではすることが増え、実際に新しい政策が現場で機能していないのが現状です。
国と現場を繋げるオランダの専門機関
校長先生と現場の先生の「want」を尊重するオランダの専門機関
子どもにとっても学びたい環境ができると感じました。
④ 考察
日本の教育制度に必要なものは(私の考え)
「国と現場を繋げる’’何か’’」
→例:校長をコンサルティングする仕事
「教員(現場)の考えを尊重する文化」
→例:教員にゆとり
「今の日本の教育をよりよくしていくために必要なものは何か?」
日本の文化や歴史を辿りながら、考えることを続けていきたいですね!
ここまで読んでいただき有難うございました。