フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランドの学校紹介~幅広い機能を持つ専門学校紹介~

「幅広い機能を持つ専門学校の役割とは?」

 

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 (タイトル)

1.  専門学校概要

2.  専門学校の特徴

3.  終わりに

 

1.  専門学校概要

 

(専門学校の特長)

・中学を卒業した50%の生徒が通う職業専門学校

・職業資格専門学校、専門職業資格、上級職業資格を取得可能

・10年生の教育

・移民の教育

・119の資格を1つの学校で取得できる。

 

詳細ユーチューブはこちらです。↓↓↓


Ylä-Savon ammattiopisto esittely

 

2.  専門学校の特徴

 

専門学校の理事の先生との質疑応答の内容をまとめてみました。

 

① 生涯学習機関としての機能(学費について)

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専門学校では、16歳から60歳までの人が同じ教室で学んでいることもあります。何歳になっても学び直せる環境や価値観があるのがとても魅力だと感じました。

また、学費に関しては、何歳から有料とかいう決まりはないですが、

 1)大学生と同じ年齢の場合・・・無料

 2)成人していて、就職していない・・・無料

 3)少ない所得・・・安い学費(給与に応じて金額が定まる

 4)働いている・・・働きながら資格を取り、次のキャリアに進む

この4番目の大人になっても、働きながら資格を取り、学び続けるのが素敵だと思いました。ここで面白いデータを1つ紹介します。(労働政策研究・研修機構(JILPT)より引用)

フィンランドの若年者と成人は熱心な学習者である。20 歳~29 歳の 42%および 30 歳 ~34 歳の 15%が教育に参加している。この二つの数字は、明らかに OECD で最も高い。 この数字は、優れた教育を受けたいというフィンランド人の願望と、確固とした成人教育制度を反映している。成人全般の教育・訓練への参加は高レベルにあり、2013 年に行れた EU 労働力調査では、人口のほぼ 4 分の 1 が調査前月に教育・訓練に参加していたと報告している(EU28 カ国は 10.5%)。

この「ゼロヒャク教科書」が実現しているのがフィンランドの社会です。

educationxfinland.hatenablog.com

 

 

② コースの選択について

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フィンランドの専門学校では、進学後もコースを柔軟に変更することができます。例えば、最初はヘアーデザインのコースを専攻していたが、途中でビジネスのコースに移ることも可能です。この専門学校では100以上の資格が取れるため、進学後も「自分が何をしたいのか」と向き合いながら、進路を再選択することができます。

 

③ 先生と生徒の評価制度について

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・生徒の評価制度

専門学校では、個別にカリキュラムを作成しています。なので1000人の生徒がいれば、1000通りのカリキュラムが存在します。そして、評価方法なのですが、担当の先生が1人で評価をするのではなく、生徒を受け入れた企業の担当した人も生徒も評価します。

・先生の評価制度

先生の評価制度が存在します。生徒は先生を評価して、生徒のフィードバックに応じて改善のための会議も行われます。また、場合によっては担当の先生を変えることもあります。生徒の学びを第一に保証しているのが分かりました。

 

④ 移民の教育について

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フィンランドでは、移民、難民の受け入れを行っています。主にここに通っている生徒は、結婚してフィンランドに移住してきた人、難民としてフィンランドに来た人たちでした。フィンランド語を学ぶコースは大きく2つ(基礎と応用)ありました。

 (語学を学ぶ目的)

・移住してきた人も語学を習得して、働けるようにするため(納税者の育成)

・コミュニティを形成するため(ライフスタイルの充実)

語学を学ぶことで、その国で生きやすくなります。私自身も、これまでの経験から語学は「生きていくため」に学ぶのが一番の理由だと感じています。もし、その国の言語が話せなかったら、情報も入りにくく、あらゆるコミュニティに属することも難しくなります。語学を習得すれば、働くことも可能になります。フィンランドでは、移住してきた人も貴重な労働力として捉えており、無料で語学を学べる機会を提供していました。

 

⑤ 10年生の教育

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専門学校では10年生の受け入れも行っています。

(10年生とは?)

成績が不本意であったり、希望する高校に進学できなかった生徒が、自分の意志で10年生に進級することができます。最大で1年間在籍することができて、在籍期間は生徒自身が決めることが出来ます。10年生を終了した生徒は、職業専門学校では1年間飛び級が出来たり、普通高校に入学しても単位制のために早ければ2年で卒業が出来るので10年生をしても、不利になることはありません。

また、10年生の在籍期間に、職業専門学校の様々なコースを体験することが出来、自分の選択したいコースをゆっくり決められることも魅力の1つです。

日本で中学校に4年間通う生徒は、「落ちこぼれ」と感じるかもしれません。しかし、先生に聞いたところ、10年生は少しも恥ずかしいことではない、という話してくれました。

 

3.  終わりに

フィンランドの専門学校は多くの機能を果たしています。

・中学校卒業時に義務教育の学習を学べる場

・移民の大人が学ぶ場所

・再就職を検討している大人

・キャリアで次のステップに進む大人

この軸は「国の納税者を育てること」ために「life long learning」の基盤が整っていることです。フィンランドでは、実際に生活をしていて、国から福祉面で十分なサポートを国民一人一人が受けているので国の政治を信頼しているのだと思います。その中でも一番に実感しているのは子どもだと思います。「学びたい」と思えば、「どれだけでも学び直せる環境」があります。国が教育にお金を投資することで、国民の意識も変わり、国の政治に関心を持つ人も増えてくるのかもしれません。

 

明日はもう一つの専門学校を紹介していきます。

 

モイモイ!!!

 

 

 

フィンランドの学校紹介~町で1つの高等学校紹介~

フィンランドの高等学校は日本の大学と同じシステム???

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(タイトル)

1. 高等学校概要 

2. 日本の高等学校との違い

 1)入学制度に関して(私が考えるフィンランド教育の課題)

 2)単位制について(必須科目と自由選択科目)

    3)心理学の授業

 4)ICT機器の活用

 5)大学入試制度について

3. 最後に

 

1. 高等学校概要 

 

・Iisalmiで唯一の高等学校

(50%の生徒が普通科の高校に進学、残りの50%は職業専門学校に進学)

・授業は自由選択科目と必須科目がある。(日本の大学と同じシステム)

・卒業試験がある。合格しないと卒業できない。

 

フィンランドでは、義務教育を終了した子どものほとんどは、高等学校か職業学校に進学します。義務教育を終えた子どもの半数近くは高等学校に進み、そこで数学、文学、生物、歴史、現代語など多くの科目を学びます。高等学校での教育は平均で3年かかり、最後に大学入学資格を取得する国家試験を受けます。同資格は、次の段階へ進学する際の条件となります。

義務教育課程を終えたあと、高等学校へ進学するかわりに基本的な職業教育を受ける選択肢もあります。職業教育や訓練は、仕事の現場で役に立つ能力を磨き、生涯学習を支えるものです。119ものプログラムの中から選択できるようになっており、高等学校に進学しない生徒のほとんどは職業学校を選択します。

 

引用:フィンランド大使館HPより

www.finland.or.jp

 

2. 日本の高等学校との違い

 

1)入学制度に関して(私が考えるフィンランド教育の課題)

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フィンランドには高校入試というものはありません。進学先としては、中学生のうち50%が高等学校に進学します。それ以外は専門学校に通うことになります。もし日本のように高等学校に8割の人が進学したい場合はものすごい競争率になります。

ではどのようにして高等学校に進学するのか?

フィンランドでは、中学校における内申点(成績)が全て高等学校の入学の基準に反映されます。Iisalmiでは1つの中学校から1つの高等学校に進学するので、あまり不平等は生まれませんが、Helsinki等では、学校によって評価基準が異なるため、「不平等が生まれている」とHelsinkiの高校生は話してくれました。日本だと、共通の高校入学試験があるので、日本の方が平等なのかなと感じました。日本では「入試が学びの目的を壊している。」そのような味方があります。では、入試をなくせばいいのか?入試の中身を変えればいいのか?どれも違う気もして来ました。制度を変えることよりも、大切なことがある気がします。子どもたちの前に立つ「私たち」にできる事がありと思います。

 

2)単位制について(必須科目と自由選択科目)

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日本の高校とは大きな違いがあります。日本では、文理は生徒が選択できますが、ほとんどの授業は同じ授業を受けるので、自身で時間割を考えたり、単位数を数えたりすることはありません。フィンランドの高校は完全に単位制をとっています。日本の大学のようなイメージです。しかしその中でも、生徒が選択しなければならない必須科目があります。基本的に全ての教科の基礎を最初に全て履修し、あとは自身で大学進学時に必要な試験科目の教科の授業を選択します。そして1単位は6コースに分かれており、年間6回の試験があります。もし試験に通らなければ、もう一度来年度履修することになります。

 

3)日本にはないこんな授業(心理学の授業)

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「生徒にとってよりよく学ぶために必要なもの」
 
心理学の授業で議論していました。日本の高校では心理学の授業はありません。
フィンランドでは全ての生徒が心理学の基礎を高校で学びます。そして各グループに英語で質問をしていきました。生徒が考えるよりよく学ぶために必要なものはこちらです。ここでは、学校だけでなく、自分がよりよく学べるために必要なものを議論していました。
 
・先生の高い指導技術・・・フィンランドもあるんだな〜
・教室の雰囲気(静か)
・教室の学習環境(ゆとりのあるスペース)
・先生のユーモア(ジョーク)
・十分な睡眠(高校生の平均睡眠時間8時間
・教科横断型の学習で学んだことを活かす(知識と知識を結ぶ学習)
・音楽を聞くこと
・休み時間で気分を入れ替える(15分で十分)
・授業に集中できる
 
この当たり前の問いですが、とても大切な問いだと思います。日本だは、「受験のために1分でも長く、1つでも多くの語彙を覚える!1つでも多くの問題を演習!」というように「量」を重視します。ある意味「洗脳」されていたと思いますが、洗脳されていなかったら今の自分はいません。そう考えると、今の日本で受験戦争に勝つためには、このような洗脳は1つの手段かもしれないです。(私の通う高校はこの典型的な例でした。)
 
でも、「このままでいいのかな?」という疑問も残ります。高校入試では、短期間であれだけ多くの情報をインプットしないといけないので、この方法でいいと思いますが、学ぶ目的を考えると、この方法は「長く続かないし、つまらない」と思います。「日本の大学生は勉強しない。」そのようによく言われます。海外の留学生から一番言われる言葉です。日本の大学は「人生の夏休み」と言われます。でも仕方ないと思います。これまで缶詰状態で学んで来て、初めて自由になれる場所が大学です。私は、人生の夏休みの中で「勉強って楽しいんだな」と大学に来て初めて気づきました。自分が好きなことを勉強することは楽しいです。日本の高校生にも、自分と向き合う「キャリアガイダンスの授業」や「心理学」「哲学」等、自分と向き合ったり、思考する時間があると、大学での学びが今よりも充実すると感じました。
 
フィンランドの授業はこれらの「生徒にとってのより良い学びのための学習環境」が現場で実践されていると感じました。生徒の多くも学校の指導や環境に満足していました。

 

3)ICT機器の活用に関して

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フィンランドの高校の授業は1クラスが20名程で、全ての授業はパワーポイント、電子教科書を用いて行われます。ここは小中学校と同じです。教員はパワーポイントの資料を準備しており、毎年少しずつ改良して次年度も使っていました。
 
フィンランドのプレスクールから大学まで見学しましたが、完全にICT機器が全ての教室に備わっており、今も多くの新しいICT機器が導入されており、年配の先生方は新しく入ってくる機器に何とか対応していると話していました。正直な年配の先生の声は日本と同じで「かなり大変。」と話していました。でも対応力はすごいと思いました。
 
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これは化学の時間の様子です。生徒は全員自身のパソコンを持っていました。そして来年からはテストも電子化され、提出物も全てオンライン提出になります。
 
大学試験や高校卒業試験もオンライン化するみたいです。
 
今や小学校でGoogle ドライブのようなものを使い、提出物を行なっています。また、作品を作ったら、タブレットで写真を撮り、ワードに貼り付けて工夫した点等を書き込み、Googleドライブのようなものに提出しています。これをしているのが、小学1年生です!
 

4)大学入試制度について 

 

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 「フィンランドで大学に進学するためには?」

① 日本の大学入試センター試験に該当するフィンランド大学入学資格試験(Matriculation Examination)に合格しなければならない。

・試験時間は:1教科当たり約6時間

・出題形式:殆どが論述問題

・試験期間:年2回

・試験内容:心理学、哲学など日本の大学入試センター試験には見られないものも多い。特に語学については3科目必修となる。これは,フィンランドが国家戦略として目指す多言語活用能力(plurilingualism)育成に基づくものである。

② 一定期間の兵役を体験(男子のみ)

③ 一定の学資を貯めた後各大学が行う個別試験への合格

教育学部に関して

教育学部は人気で、出願倍率は10倍以上

・試験はエッセイ(教育学、教育心理学等の課題図書が出される。)、GD、個人面接

④ 希望する大学に入学する。

 
5)教科横断型の授業
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フィンランドの高校では、カリキュラムが大幅に変わり、2020年には教科による指導を廃止し、教科横断型のテーマ学習になります。フィンランドでは制度が変わると、全ての学校が新たなカリキュラムで指導できるように準備を行います。今(2018年)は移行期間でいくつか教科横断型の授業を観察しました。
 
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「物理×数学×化学×統計」1時間でこれらの教科を横断していました。物理は分からないので、実験の中身も分かりません。でも先生自身が教科横断を意識して授業を組み立てていました。
 

3. 最後に

システムを変えることよりも大切な事があります。この大切なことを考えて、目の前や身の回りでアクションを起こしていく事が大事だと思います。制度を変えるには何十年もかかります。今ある制度や価値観を変えることは難しいです。でも、最近気付いたことは「物事の本質は突き詰めると同じところにたどり着くということ」です。国が変われば、手段は変わるかもしれません。でも、教育の目的「子どもの幸せの定義」は共通するところがたくさんあると感じる今日この頃です。

(エピソード)フィリピンとフィンランド「幸福度はどちらも高い」

「子育てで大切にしていることは何か?」

・子どもと一緒にいる時間を増やすこと。

・子どもに選択肢は与えるけど、最終的には子どもに意思決定させること。

同じ回答が国を超えて返ってきた事にい驚きました。

 

フィンランドの教育」が凄いのではありません。彼らが大切にしている考え方に価値があると思います。「考え方」は「自分次第」でどこまでも深められます。結局は「自分次第」です!まだまだ勉強不足。学ぶことって面白いと思います。

 

おまけです!フィンランド教育に関するわかりやすい記事を見つけたので、是非ご覧ください。

scienceandtechnology.jp

フィンランドの学校紹介~町で1つの中学校紹介~

「子に応じた教育」を大事にしている小学校と中学校ではどのような違いがあるのだろうか?

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*私が滞在していたIisalmiの街並み

 

(タイトル)

1. 中学校概要

2. 特色のある教育

1)キャリア教育

2)英語教育

3)支援が必要な子への教育(特別支援教育

4)自由選択科目

3. 最後に

 

1. 中学校概要

 

(中学校の特長)

・Iisalmiで唯一の中学校(7-9年生)

・全校児童約600人(1クラスの規模は20人前後)

・学校は15時には全て終わる。(先生も15時に帰宅)

・全ての教室に電子黒板、プロジェクター完備(100%電子教科書使用)

 

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*生徒は一人一台のパソコンを持ち、授業で使っています。

 

2. 特色のある教育

1)進路選択について

・自分の長所を考える授業〈通年〉

・職業について調べてプレゼンを行う授業〈中学1年〉

・年に1回(2週間)の職業体験〈通年〉

・高校・専門学校の先生が授業に来て説明会の実施〈中学3年〉

(クラス単位でワークショップ形式で実施)

・個別での面談〈通年〉

 

フィンランドでは、中学校卒業段階で、普通科の高校か職業専門学校に進学するかの大きな進路選択があるので、 将来について考える機会が授業の中で多くありました。

フィンランドでは職業専門学校と普通科の高等学校への進学割合は1:1です。

日本だと、職業専門学校:普通科=3:7です。

 

(日本との大きな違い:職場体験)

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生徒は、中学1年次に、職業についてグループに分かれて調べる時間があります。それを元に、生徒は自分が興味のある職業を決めて、生徒自身で職場に電話を行い、職場体験のアポイントをとります。生徒は2週間、職場で仕事を経験するだけではく、現場で働く人にインタビューを行います。これらの経験を通して自分と向き合い、卒業後の進路を少しずつ考えていきます。

 

(実際の生徒の声)

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キャリアガイダンスの授業の中で、実際に進路選択を行う時期である中学3年生と交流する時間がありました。その中で、中学生と「将来の進路」について対話を行いました。これだけ、3年間の中で自分の将来と向き合う時間があるので、自分のやりたいことを見つけている生徒が多いと思っていました。しかし、実際に中学生と話をしてみると、4割の子は進路選択は決まっておらず、更に殆どの生徒は将来どんな職業に就きたいのかが決まっていませんでした。

 

ここで感じたことは、学校がどれだけ「自分の将来と向き合う機会」を提供しても、生徒は将来について悩むということです。やはり、大事なことは学校が機会を提供することに加えて、生徒自らが自分の人生を切り拓くこと。=自分の意思」である。

*ここに関して深く考察をしている記事を紹介します。
note.mu

 

2)英語教育について

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フィンランドはどの地域でも、質の高い教育の機会均等が保障されています。そんなフィンランドでも、都会の学校と田舎の学校の生徒の英語力を比べると差を感じる場面がありました。フィンランドでは、都会では5.6年生になると、日本の大学生程度の英語を話すことができます。しかし、田舎の学校になると、日本の中学生程度の英語力です。授業方法、先生の質の高さは同じですが、環境(日常生活の中で英語を使う機会があるかないか)で、英語力に差が生まれていました。

 

英語教育事情に関しては、こちらに詳細をまとめてあります。↓↓↓

 

educationxfinland.hatenablog.com

 

 

授業における日本との違いは、日本は受験のための読み書きに偏る授業になりがちです。その一方で、フィンランドでは、毎時間スピーキングの時間が取り入れられます。「できる・できない」も大事ですが、英語は「使う」ためにあると先生が話していました。

 

3)支援が必要な児童の対応

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・テンパリさんの存在

クラスの中には、必ず支援が必要な子どもがいます。もちろん、特別に支援が必要な生徒には特別支援の先生がつきますが、どの生徒にも気持ちが不安定になる時期があります。そんな時に対応するのが「テンパリさん」です。テンパリさんは、精神的に不安定な子どもに対して、「精神的に不安なのには必ず理由がある」と考え、その生徒と向き合います。担任の先生が1人で抱え込むのではなく、教職員全体で一人の生徒をサポートする体制がありました。

 ・児童が主体的に選択して、補習授業を受けることができる

生徒の中には、授業についていけなくなる生徒が必ず出てきます。その場合は教科に応じて、生徒が補習授業や個別指導を選択することができます。フィンランドでは、ボトムアップの教育を大事にしているのが分かります。

 

4) 自由選択科目がある

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(自由選択科目とは???)

Optional subjects are subjects every 7th grader chooses for 8th and 9th grade,everyone chooses three from a long list of options, there are languages, art, handicraft,sport, computer science, home economics, music, self expression etc etc. Every optionalsubject is 2 hours per week, so together three subjects is 6 hours and they last the samesubjects two years.

生徒は3年間自分が興味関心のある教科を選択して、週に2時間学んでいきます。

(言語、図工、スポーツ、コンピューター科学、家庭科、音楽、自己表現から選択)

 

生徒は3年間自分が興味関心のある教科を選択して、週に2時間学んでいきます。

(言語、図工、スポーツ、コンピューター科学、家庭科、音楽、自己表現から選択)

 

日本では、全ての生徒が同じ教科を同じ時間だけ学びます。一人一人が「好きなこと」を学べる環境があることで、他者との違いを認め合えたり、自分の好きなことを見つけ、深められる「本来の学び」が出きるのではないかと感じました。この時間の生徒の表情はとても輝いていました。

 

3. 最後に

1)キャリア教育

学校は機会は与えますが、最終的に大切なのは「自分の意思」です。職場体験が、学校が決められた場所から選択するのではなく、自分の意思で選択できるのが良いと思いました。日本でこれができるのは大学生からだと感じました。日本では、大学生はバイトやインターン等将来の選択を行う上で多くのことを経験できる機会があります。今経験が中学校で必要なのか?大学からでいいのか?

 

2)英語教育

「英語を何のために学ぶのか?」「受験のため?」「生きていくため?」ここまで目的が異なるからこそ、同じ年数学校で学んでも、「生きた英語力が身につくのか、身につかないのか」大きな差が出てくるんだと思いました。何をするにしても「実感をう必要感」って大事だと感じました。この機会を学校現場でどのように作っていくのか?ここで私がカンボジアの学校でインターンをしている時に、世界の学校現場をスカイプで交流したものを紹介します。

 

youtu.be

詳細リンクはこちらです!!!

education.microsoft.com

3)合理的配慮

フィンランドではボトムアップの教育を大事にしています。「学びたい、けど、学べない」環境が極めて少ないと思いました。フィンランドでは、全ての子どもの学びを保証するための手立てが徹底されています。日本では『学び合い』によってこの課題を解決している実践が多くあります。

note.mu

4)自由選択科目

「学校の役割とは何でしょうか?」その答えの一つとして子供たちが「学ぶことが楽しい」と感じれるものを見つけることだと思います。今の学校教育だと、学びの多くは受け身になりがちです。中学校になると、「なぜ学ぶのか?=受験に合格するため」このように洗脳されているなと感じます。「学ぶことの面白さ」を子どもたちに感じて欲しいなと思います。その手段として、この自由選択科目はあると感じました。

 

次回は高等学校について紹介していきます!!


モイモイ!!!

フィンランド人が英語を話せる理由とは?〜英語≫フィンランド語の危機?〜

このコーナーではSNSで挙げられた質問に対して、いつもよりはライトに返して行きたいと思います。

 

本日は記念すべき質問1回目になります!!

フィンランドではアカデミックな本がフィン語より英語が多く、フィンランド人がフィン語(サミ語)より英語を重視している。これから先問題になるかもしれない。」と聞いた事があります。肌感覚でそんな気がしますか?

 

この質問に「英語教育」という視点から現場で感じたことをお伝えしていきたいと思います。

(目次)

1)フィンランドの英語教育

2)質問者への回答「英語≫フィンランド語って本当???」

 

1. フィンランドの英語教育

 

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2)質問者への回答

「英語≫フィンランド語って本当???」

 

フィンランド人が英語を学ぶ理由の一つとして、「必要感」が日本人と比べると圧倒的に高いです。理由としては、フィンランド人の人口は約500万人です。これは、日本でいう福岡県の人口程です。(国土は日本とほぼ同じです。)

 

つまり、フィンランド語の話者が少ないので、フィンランドではアカデミックな本は殆どが英語でした。実際にオウル大学の図書館に行ってみると、英語のアカデミックの本が多い印象でした。

 

だからこそ、フィンランド人は、「生きるため」に英語を学んでいました。

 

では、このままの状況が続くと、「母国語である「フィンランド語」を話せる人が少なくなるのではないか?」或いは「正しいフィンランド語を話せる人がいなくなるのではないか?」そんな危機感は若干現場にいて感じました。

 

どんな場面で感じたかというと、「英語の授業」の中で感じました。

日本では中学以上は「オールイングリッシュ」で英語の授業をすることが推進されています。しかし、フィンランドでは逆でした。中学・高等学校でも「英語の授業はフィンランド語で行うこと。」とされていました。

 

なぜなら、フィンランド語は英語と比べると、とても複雑な言語であるので、

授業で用いることで、英語とのバランスを取る方針を現場でとっていました。

 

もちろん、国全土で行っているわけではありませんが、私が訪れた学校では、先生も生徒も英語を流暢に話せるにも関わらず、教師はフィンランド語ベースで授業をしていました。

 

まとめます。

フィンランドではアカデミックな本がフィン語より英語が多く、フィンランド人がフィン語(サミ語)より英語を重視している。これから先問題になるかもしれない。」と聞いた事があります。肌感覚でそんな気がしますか?

 ↓

「感じました!」

でもフィンランドの先生は、このような現状を敏感に察知し、授業の中で英語とフィンランド語のバランスを取っていました。

 

質問頂き有難うございました!

 

フィンランドの学校紹介~モンテッソーリ教育実践校編~

フィンランド教育」と「モンテッソーリ教育」を融合するとどうなる?

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本日は、「モンテッソーリ教育」実践校についてお話ししていきます。

私が滞在していたIisalmiでは唯一「モンテッソーリ教育」の実践しています。

実は、この学校は多くの特色ある教育をしています。今回は3つの特色についてまとめていきたいと思います。

 

1. モンテッソーリ教育とは? 

モンテッソーリ教育の目的は自立した子どもを育てること」です。

具体的には、それぞれの発達段階にある子どもを援助し、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学びつづける姿勢を持った人間に育てる」ことです。日本とフィンランドの学習指導要領を要約した感じがします。

『*子どもの家』では、子どもたちに自発的な活動に取り組む自由を保障し、そのために「整えられた環境」を準備します。 「整えられた環境」とは、次の4つの要素を満たすものです。

*モンテッソーリ教育の環境のこと

① 子どもが自分で自由に教具を選べる環境構成

② やってみたいなと思わせる、おもしろそうな教具。

③ 社会性・協調性を促すための、3歳の幅を持つ異年齢混合クラス編成。

④ 子どもの発達段階に適した環境を整備し、子どもの自己形成を援助する教師。
 
モンテッソーリ教育についてもっと詳しく知りたい方は以下のリンクをご覧ください。 
 
 では早速私が訪れた教室を覗いてみましょう。
 「モンテッソーリ教育」なのに普通の教室です!!!
 
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普通の教室の後ろに沢山の棚があります。まだまだ教室は後ろに続きます。
 
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ここからは教科ごとに部屋が分けられています!
なんと、ここからがモンテーソーリの部屋『子どもの家』になります。ここにも、フィンランド教育の柔軟性を感じます。モンテッソーリ教育を取り入れたい先生が、フィンランド教育と融合した、教室環境とカリキュラムを独自に作っていました。
 
まさにフィンランド教育」×「モンテッソーリ教育」の融合です!!
 
では、どんな部屋があるのか教科毎に見ていきましょう!
 
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2.  モンテッソーリ教育の教材

算数編

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理科

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社会

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外国語(フィンランド語・英語

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体育

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その他

PC、図工等のコーナーがありました。

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3. モンテッソーリ教育の先生との質疑応答@現場のリアルな声

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この小学校の1学級(小学1.2年生)では、「*モンテッソーリ教育」を取り入れています。この学校で「モンテッソーリ教育」を取り入れている先生は、心の底から尊敬できる教育者です。自分の「教育で大事にしていること」を目の前の子どもたちに伝えていくために、自主的にモンテッソーリ教育の教授法を大学で学び、更に「自身の教育で学んできたこと」を伝えて行くために、これまでに40人以上の日本人の学生の受け入れを行っています。先生が、お忙しい中私たちの質問の11つに真剣に答えてくれるからこそ、ここでの議論は深まっていきます。

 

ここからは、この学校における「モンテッソーリ教育」について、毎回質問に挙げられることを質疑応答形式でお伝えしていきます。

 

質問①  「このクラスではなぜ、モンテッソーリ教育を取り入れているのか?」

回答①

「1)いま国が出している指針と、モンテッソーリ教育の目的が一致しているから。」

「2)同じ町にある、モンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園との接続を図るため。」

「3)先生自身の教育観と一致しているため。」

 

質問② 「モンテッソーリ教育を教えるに当たり免許は必要ですか?」

回答② 「はい。学級でこの教育を取り入れるためには、教授法を大学で学び、資格を取る必要があります。」

 

質問③  「これだけ多くの教材はどのようにして集めているのか?」

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回答③  「町にモンテッソーリ教育を支援する団体があり、そこで資金を調達して購入したり、手作りで作っている教材も沢山あります。何年もの実践から少しずつ教材が増えてきています。」

 

質問④ *モンテッソーリ教育を受けた子とそうでない子がいますが、学力差等は生まれないのですか?」

回答④ 「大きな差は生まれません。子どもによって「違い」が生まれるのは自然なことで、それは「個性」でもあります。ところが、自主性・協調性という点では、少し違いが生まれてきます。モンテッソーリ教育を受けてきた子どもは、自ら課題を決めて学習し、更にお友達を助けられる子が多い気がします。」

 

質問⑤ *モンテッソーリ教育を受ける子と受けない子で生まれるギャップに対して保護者からのクレームはないのか?」

回答⑤ 「保護者からのクレームは殆どありません。多くは、モンテッソーリ教育を幼稚園で受けてきた子どもがこの学級で学ぶことになります。モンテッソーリ教育がベストな教育法ということではなく、あくまでも一人一人に合った教育を大切にしています。」

 

質問⑥ 「モンテッソーリ教育では授業の進行はどのようになっているのか?」

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回答⑥  モンテッソーリ教育は、子どもが1から何をするのかを計画を立ててするのではないです。先生が1週間ごとに各領域から5つ程仕事を選択して、子どもたちはその中から選択して学習を行っていきます。」

 

質問⑦ 「モンテッソーリ教育ではどのように評価を行っているのか?」

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回答⑦ 「モンテッソーリ教育では、自己評価をとても大切にしています。子どもたちは、学んだことを自分のノートにまとめ、終わったら先生に見せて、自己評価を行います。」

 

質問⑧ 「モンテッソーリ教育一番の良い点は何か?」

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回答⑧ 「五感を使って学べることです。近年携帯電話等の普及で手先が器用でない子どもが増えてきています。モンテッソーリ教育では、実際に手を動かして学ぶものが多いです。これにより、子どもの感覚器官が刺激されて、発達に良いみたいです。」

 

*質問⑨ 「モンテッソーリ教育をしてて、課題はあるのか?例えばモンテッソーリ教育を受けてきた子どもは、一斉授業を集中して受けられるのか?」

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回答⑨ 「この学級では、全て「遊び」を通して学んでいるわけではありません。あくまでも、フィンランド教育とモンテッソーリ教育を融合して行っています。例えば、1日の中で、午前中はモンテッソーリ教育を、午後はフィンランド教育で授業を受けていました。

 

質問⑩ 「先生が教育において大事にしていることは何か?」

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回答⑩ 「子どもは、一人一人性格も、学ぶ早さも異なります。その子に合わせた教育をすることが大切です。」

 

このようにフィンランドでは、学校に裁量権があり、各学級(教師)によって特色のある教育を行なっています。

 

この学校で学んだことは、「融合」という「柔軟性」です。私たちは、どうしても0か1で物事を考えてしまいます。私たちが教育について議論するとき、「AとBどちらがいいのか?」ではなく、「C」という「AとBを融合した考え」を導き出すことの価値をここで学びました。

 

フィンランドの学校現場をみて終わりにするのではなく、そこから日本の教育に何が活かせるのか?「活かせない」そういえばそこで思考が止まります。確かにマクロレベルでは活かせないかもしれません。しかし、身の回りのミクロレベルで活かせることは沢山あります。

ここを現場の先生と一緒に議論ができるように、毎日フィンランドでの学びを発信していこうと思います。

 

PS. この学校では、モンテッソーリ教育以外にも特色のある教育を行っていました。

 

① 音楽教育

この小学校では、3年生から音楽を専門的に学べるクラスがあります。通常学級と比べると、週2時間程度音楽の授業が多いクラスです。

 

② インクルーシブ教育

この小学校では、「インクルーシブ教育」を実践しています。同じ校舎の中で、重度の障がいのある子も一緒に学びます。

 

ではではモイモイ!!!

フィンランドの学校紹介~新設の小学校編「なぜ学校に最新の学習環境が整っているのか」~

「最新の環境・設備が整った学校では、子どもたちにどのような学びが展開されているのか?」

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フィンランドの子ども達の学力は世界一と言われています。

「なぜフィンランドの子どもの学力は高いのか?」

「先生の質が高い」

多くの人がこのように答えます。

「では、なぜ先生の質が高いのか?」

もちろん、1)修士号を取ることが義務2)教育実習期間が長い3)先生になった後も研修が充実している等の答えが挙げられます。更に、フィンランドの国は以下のように述べています。

 

The conclusion is that educational reform in Finland has been built upon ideas of good leadership that place an emphasis on teaching and learning, encouraging schools to craft optimal learning environments and implement educational content that best helps their students reach the general goals of schooling, and professional leadership of schools.

 

訳)結論は、フィンランドの教育改革は、

1)指導と学習を重視した優れたリーダーシップのアイデアに基づいている。

2)生徒が学校教育の一般的な目標、および学校の​​専門的リーダーシップに到達するのに最も役立つ教育コンテンツや最適な学習環境を整備することを学校に奨励する。

つまり、「学習環境を整えることが、生徒の学びや学校(教師)のリーダーシップを醸成させるのに重要」このように述べています。

 

ここからは、実際にGTPで訪問する、最新の設備が整った学校について紹介をしていきたいと思います。

 

(タイトル)

1.学校の概要

2.学校の設備

3.特色のある教育

  

1. 学校の概要

 

1)  生徒数:約120名の学校です。各学年20人です。

2)先生の数・種類

校長先生、学級担任6名、外国語の専科2名(英語・スウェーデン語)、特別支援の先生1名、Teaching assistant5名程度*生徒の実態によって異なる)、スクールソーシャルワーカー1名、スクールドクター1名等

3)プレスクールと併設:

同じ建物内に*プレスクールがあります。小学校の先生と同じ職員室を使用しているので、日本でいう幼小連携は日常的に行われています。

*プレスクールとは・・・2年前からフィンランドで義務付けられた制度で、小学校入学前に1年間通うことが決められています。

 

2. 学校の設備

1)教室

フィンランドでは、全教室に電子黒板、プロジェクターが備わっています。授業は全て電子教科書を用いて行われており、更にこの学校では生徒が1人1台のタブレット或いはPCを持っているので、ほぼ全ての授業で電子機器が用いられています。

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ここは「English room」です!フィンランドの教室は「リビング」のような落ち着く設計になっています。子ども達はソファに座って授業を受けたり、バランスボールに座って授業を受けていました。

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ここは、3、4年生の教室です。この教室も同様に「リビング」をイメージした設計になっていました。子ども達(先生も)がリラックスして授業が受けられることを重視しています。また、教室の配置を見ると、子ども同士が顔を合わせて授業が受けられるような配置になっていました。


2)子どもが学習に集中するための環境

 ここでは、教室以外の廊下にある「子どもが学ぶ環境」について紹介していきます。

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周りの視界によって集中力が発散してしまう子どものための空間(合理的配慮です。でも実際には、周りの刺激が無いほうが集中できると思います。なので、この空間は特別支援の子だけでなく、誰もが自由に使える空間になっていました。

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フィンランドでは子どもは、自分で学ぶ場所を選択するが多いです。「なぜ、子どもは自分で学ぶ場所を選択するのか」というと「子どもは一人一人集中できる環境が異なっています。」だから子ども達は6年間の中で「どのような環境だと学習に集中できるのか?」を見つけていくことになります。また個別指導をする際にもこのような空間は使われています。

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「行儀が悪い!!!」このような声が聞こえて来そうですね。

しかし、フィンランドの先生はこれに関しては叱りません。「なぜでしょうか?」

フィンランドでは常に「目的」をとても大切にしています。「学校とは何のためにあるのか?」教師は常に問い続けます。上の写真では、子ども達は寝ながら問題に取り組んでいます。日本だと絶対叱られる対象になります。確かに「行儀が悪い」かもしれないです。しかし、私たち大人も、仕事をするときにずっと椅子に座ってするでしょうか?中には、デスクワークをずっと同じ体制でする人もいますが、私たちは快適な環境を自分で整えて本を読んだりしています。子どもにも私たちと同じように「集中できる環境」があります。学校は「正しい姿勢で長時間座って勉強する訓練」をする場ではありません。「学問を学ぶ」場です。「何でこれをしないといけないのか?」を子どもに説明する時に、大人の「当たり前」を一方的に伝えるのではなく、一歩立ち止まって考えることも大切だと感じました。

3)食堂

 フィンランドでは、無料で昼食を学校で食べることができます。

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3. 特色のある教育

 

1)複式学級

この小学校では、複式学級を取り入れています。基本的には単式学級です。考え方としては、オランダで多く実践されている*イエナプランと同じ理由になります。

校長先生に「複式学級の理由」を尋ねると、3つ挙げてくれました。

 

① 異学年でクラスを編成することで子ども同士の「学び合い」が生まれる。

② いじめ等の人間関係等の問題が起きにくくなる。

③ 2学年で編成することで、よりバランスの取れたクラス編成が可能になる。

 

このようにフィンランドでは学校に裁量権があり、各学校によって特色のある教育を行なっています。

 

*オランダのイエナプランについて知りたい方は以下の動画をご覧ください。

(7:18から異学年の理由について述べてあります。)

 


オランダの教育は日本の3周先を行く

 

2)プロジェクト学習

フィンランドでは、1年のどこかで数週間に渡りあるテーマに沿ってプロジェクト学習をする事が義務付けられています。私が訪れた30校の学校の中でも、この小学校では、授業のほとんどがプロジェクトベースで行われていました。(2月:学びの集大成)

(技術・家庭のプロジェクト学習)

子ども達は6ヶ月に渡り「プロジェクト学習」を行っていました。このブログでは概要のみ伝えていきます。

 

1週目:自分が作りたいものを決定

子ども達は、自分が半年かけて何を作りたいのかをじっくり考えて決めていきます。ある子は、本を20冊読んで決めていました。中には、なかなか決まらず投げ出してしまう子もいました。「自分が作りたい」ものを1から作るということは、40人学級なので40通りの作品が生まれることになります。先生も大変です。

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2〜3週目:作成計画を立てる

作りたいものが決まった子ども達は、作成に向けて6ヶ月間の計画書を作ることになります。そして、1から作品を作るので、本やインターネットで工程表を見つけ、それをワードに打ち込んでいました。

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4〜15週目:作品を作る

実際に計画と工程表が完成したら作り始めていきます。1から作り上げるということで、子ども達にとっては6年間の集大成となります。先生のサポートもありますが、子ども達は自ら作品を作っていました。「自分で作りたい。」と決めて作ったので、根気強く取り組んでいました。

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 16〜18週目:発表準備

子ども達は自分が作った作品についてプレゼンを行います。それに向けて、「imovie」での編集を行なっていました。

 

最終週:プレゼンテーション

ここは、帰国のタイミングで見ることができませんでしたが、子ども達はこの6ヶ月間の過程の中で、多くのことを学んでいたと現地の先生は教えてくれました。

 

以上で、新設の小学校の紹介を終わります。

 

次回は、「モンテッソーリ教育」を実践している小学校の紹介をしていきます。

 

モイモイ!!