フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランドの学校紹介~町で1つの高等学校紹介~

フィンランドの高等学校は日本の大学と同じシステム???

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(タイトル)

1. 高等学校概要 

2. 日本の高等学校との違い

 1)入学制度に関して(私が考えるフィンランド教育の課題)

 2)単位制について(必須科目と自由選択科目)

    3)心理学の授業

 4)ICT機器の活用

 5)大学入試制度について

3. 最後に

 

1. 高等学校概要 

 

・Iisalmiで唯一の高等学校

(50%の生徒が普通科の高校に進学、残りの50%は職業専門学校に進学)

・授業は自由選択科目と必須科目がある。(日本の大学と同じシステム)

・卒業試験がある。合格しないと卒業できない。

 

フィンランドでは、義務教育を終了した子どものほとんどは、高等学校か職業学校に進学します。義務教育を終えた子どもの半数近くは高等学校に進み、そこで数学、文学、生物、歴史、現代語など多くの科目を学びます。高等学校での教育は平均で3年かかり、最後に大学入学資格を取得する国家試験を受けます。同資格は、次の段階へ進学する際の条件となります。

義務教育課程を終えたあと、高等学校へ進学するかわりに基本的な職業教育を受ける選択肢もあります。職業教育や訓練は、仕事の現場で役に立つ能力を磨き、生涯学習を支えるものです。119ものプログラムの中から選択できるようになっており、高等学校に進学しない生徒のほとんどは職業学校を選択します。

 

引用:フィンランド大使館HPより

www.finland.or.jp

 

2. 日本の高等学校との違い

 

1)入学制度に関して(私が考えるフィンランド教育の課題)

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フィンランドには高校入試というものはありません。進学先としては、中学生のうち50%が高等学校に進学します。それ以外は専門学校に通うことになります。もし日本のように高等学校に8割の人が進学したい場合はものすごい競争率になります。

ではどのようにして高等学校に進学するのか?

フィンランドでは、中学校における内申点(成績)が全て高等学校の入学の基準に反映されます。Iisalmiでは1つの中学校から1つの高等学校に進学するので、あまり不平等は生まれませんが、Helsinki等では、学校によって評価基準が異なるため、「不平等が生まれている」とHelsinkiの高校生は話してくれました。日本だと、共通の高校入学試験があるので、日本の方が平等なのかなと感じました。日本では「入試が学びの目的を壊している。」そのような味方があります。では、入試をなくせばいいのか?入試の中身を変えればいいのか?どれも違う気もして来ました。制度を変えることよりも、大切なことがある気がします。子どもたちの前に立つ「私たち」にできる事がありと思います。

 

2)単位制について(必須科目と自由選択科目)

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日本の高校とは大きな違いがあります。日本では、文理は生徒が選択できますが、ほとんどの授業は同じ授業を受けるので、自身で時間割を考えたり、単位数を数えたりすることはありません。フィンランドの高校は完全に単位制をとっています。日本の大学のようなイメージです。しかしその中でも、生徒が選択しなければならない必須科目があります。基本的に全ての教科の基礎を最初に全て履修し、あとは自身で大学進学時に必要な試験科目の教科の授業を選択します。そして1単位は6コースに分かれており、年間6回の試験があります。もし試験に通らなければ、もう一度来年度履修することになります。

 

3)日本にはないこんな授業(心理学の授業)

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「生徒にとってよりよく学ぶために必要なもの」
 
心理学の授業で議論していました。日本の高校では心理学の授業はありません。
フィンランドでは全ての生徒が心理学の基礎を高校で学びます。そして各グループに英語で質問をしていきました。生徒が考えるよりよく学ぶために必要なものはこちらです。ここでは、学校だけでなく、自分がよりよく学べるために必要なものを議論していました。
 
・先生の高い指導技術・・・フィンランドもあるんだな〜
・教室の雰囲気(静か)
・教室の学習環境(ゆとりのあるスペース)
・先生のユーモア(ジョーク)
・十分な睡眠(高校生の平均睡眠時間8時間
・教科横断型の学習で学んだことを活かす(知識と知識を結ぶ学習)
・音楽を聞くこと
・休み時間で気分を入れ替える(15分で十分)
・授業に集中できる
 
この当たり前の問いですが、とても大切な問いだと思います。日本だは、「受験のために1分でも長く、1つでも多くの語彙を覚える!1つでも多くの問題を演習!」というように「量」を重視します。ある意味「洗脳」されていたと思いますが、洗脳されていなかったら今の自分はいません。そう考えると、今の日本で受験戦争に勝つためには、このような洗脳は1つの手段かもしれないです。(私の通う高校はこの典型的な例でした。)
 
でも、「このままでいいのかな?」という疑問も残ります。高校入試では、短期間であれだけ多くの情報をインプットしないといけないので、この方法でいいと思いますが、学ぶ目的を考えると、この方法は「長く続かないし、つまらない」と思います。「日本の大学生は勉強しない。」そのようによく言われます。海外の留学生から一番言われる言葉です。日本の大学は「人生の夏休み」と言われます。でも仕方ないと思います。これまで缶詰状態で学んで来て、初めて自由になれる場所が大学です。私は、人生の夏休みの中で「勉強って楽しいんだな」と大学に来て初めて気づきました。自分が好きなことを勉強することは楽しいです。日本の高校生にも、自分と向き合う「キャリアガイダンスの授業」や「心理学」「哲学」等、自分と向き合ったり、思考する時間があると、大学での学びが今よりも充実すると感じました。
 
フィンランドの授業はこれらの「生徒にとってのより良い学びのための学習環境」が現場で実践されていると感じました。生徒の多くも学校の指導や環境に満足していました。

 

3)ICT機器の活用に関して

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フィンランドの高校の授業は1クラスが20名程で、全ての授業はパワーポイント、電子教科書を用いて行われます。ここは小中学校と同じです。教員はパワーポイントの資料を準備しており、毎年少しずつ改良して次年度も使っていました。
 
フィンランドのプレスクールから大学まで見学しましたが、完全にICT機器が全ての教室に備わっており、今も多くの新しいICT機器が導入されており、年配の先生方は新しく入ってくる機器に何とか対応していると話していました。正直な年配の先生の声は日本と同じで「かなり大変。」と話していました。でも対応力はすごいと思いました。
 
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これは化学の時間の様子です。生徒は全員自身のパソコンを持っていました。そして来年からはテストも電子化され、提出物も全てオンライン提出になります。
 
大学試験や高校卒業試験もオンライン化するみたいです。
 
今や小学校でGoogle ドライブのようなものを使い、提出物を行なっています。また、作品を作ったら、タブレットで写真を撮り、ワードに貼り付けて工夫した点等を書き込み、Googleドライブのようなものに提出しています。これをしているのが、小学1年生です!
 

4)大学入試制度について 

 

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 「フィンランドで大学に進学するためには?」

① 日本の大学入試センター試験に該当するフィンランド大学入学資格試験(Matriculation Examination)に合格しなければならない。

・試験時間は:1教科当たり約6時間

・出題形式:殆どが論述問題

・試験期間:年2回

・試験内容:心理学、哲学など日本の大学入試センター試験には見られないものも多い。特に語学については3科目必修となる。これは,フィンランドが国家戦略として目指す多言語活用能力(plurilingualism)育成に基づくものである。

② 一定期間の兵役を体験(男子のみ)

③ 一定の学資を貯めた後各大学が行う個別試験への合格

教育学部に関して

教育学部は人気で、出願倍率は10倍以上

・試験はエッセイ(教育学、教育心理学等の課題図書が出される。)、GD、個人面接

④ 希望する大学に入学する。

 
5)教科横断型の授業
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フィンランドの高校では、カリキュラムが大幅に変わり、2020年には教科による指導を廃止し、教科横断型のテーマ学習になります。フィンランドでは制度が変わると、全ての学校が新たなカリキュラムで指導できるように準備を行います。今(2018年)は移行期間でいくつか教科横断型の授業を観察しました。
 
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「物理×数学×化学×統計」1時間でこれらの教科を横断していました。物理は分からないので、実験の中身も分かりません。でも先生自身が教科横断を意識して授業を組み立てていました。
 

3. 最後に

システムを変えることよりも大切な事があります。この大切なことを考えて、目の前や身の回りでアクションを起こしていく事が大事だと思います。制度を変えるには何十年もかかります。今ある制度や価値観を変えることは難しいです。でも、最近気付いたことは「物事の本質は突き詰めると同じところにたどり着くということ」です。国が変われば、手段は変わるかもしれません。でも、教育の目的「子どもの幸せの定義」は共通するところがたくさんあると感じる今日この頃です。

(エピソード)フィリピンとフィンランド「幸福度はどちらも高い」

「子育てで大切にしていることは何か?」

・子どもと一緒にいる時間を増やすこと。

・子どもに選択肢は与えるけど、最終的には子どもに意思決定させること。

同じ回答が国を超えて返ってきた事にい驚きました。

 

フィンランドの教育」が凄いのではありません。彼らが大切にしている考え方に価値があると思います。「考え方」は「自分次第」でどこまでも深められます。結局は「自分次第」です!まだまだ勉強不足。学ぶことって面白いと思います。

 

おまけです!フィンランド教育に関するわかりやすい記事を見つけたので、是非ご覧ください。

scienceandtechnology.jp