フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

Unit1 WEEK1 バイアスってなんだろう?

Unit1 他者とのやりとりにおいて認識と偏見が影響を与える

いよいよUnit1の学習が始まりました。今回のテーマは、倫理の授業とも関連してくるかなり難易度の高い授業になりそうな予感がしています。

ユニット1では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

Work1 

ユニットの導入では、次の1枚の写真で「See-Think-Wonder」をすることで入っていきました。

参考資料「What Are Microaggressions?」(リンク

子どもたちは、この1枚の写真を見て、次のような考えや疑問が出てきました。

▼ Think(考えたこと、思ったこと)

・質問をするのはいいけど、誤解を招くような質問や言葉はなるべく使わない方がいい。それを言うことで、相手が傷ついているから、もっと詳しく誤解がないようなコミュニケーションをするといいと思う。
・質問が解釈の仕方によって差別を訴えられる可能性があると思う。
・質問をしている人の解釈とされた人の解釈が違い、嫌な気持ちになっていると思った。
・人それぞれ解釈するから、自分は良いと思っても相手はそう思っていないから言わない方がいい。
・失礼。
・相手が嫌な気持ちになる質問をしていると思う。そういう質問をすると質問される側が嫌な気持ちになる。
・人を指差すのはいけないと思った。
・右の人は黒人差別をしていると思う。右の人が左の人をからかっていると思う。
・差別発言をしている。
・相手の立場を考えるべきだと思った。
▼ Wonder(疑問に思ったこと)
・なぜその質問をしたのか?
・質問された人はどのように受け取ったのか?
・なぜ、その黒い人にその質問をしたのか?
・なぜ、相手の気持ちを考えずに質問をしたのか?
・二人の関係性はどのようなものなのか?
・質問をした女の人は、相手が傷ついているのかを気がついたのか?
・どのような気持ちでその言葉を発したのか?

子どもたちのUnitが始まる前の考えと疑問を元にユニットを展開していくので、この子どもたちの考えの先にある学びとはどのようなものなのでしょうか?子どもたちはこれまで4-5年間PYPでの学びを重ねる中で、この1枚の写真に対して、相手の立場を考えながら、自分の考えを表現することができるようになっているのが読み取れます。

このユニットの1つの着地点として、このユニットで学んだ知識を日常生活に転移させるところまでを大切にして授業作りを行なっています。子どもたちだけでなく、私たちも自分以外の場面で起きていることは客観的に見ることができても、自分自身に起きていることだと視点が狭まってしまうことは起こりうるのではないのでしょうか?そこで、知識としての建前だけでなく、本音でこのコミュニケーションについてどのように思うのかを、それぞれの立場で考えるワークを行うことにしました。

Work2 

今の子どもたちの思考の中心には、上の写真で言うと右の人が明らかに悪い人の立場に映っています。今回のキーワードの1つが「microagression(マイクロアグレッション)」になるので、「なぜ、そのような発言が出てくるのか」についてキーコンセプトの1つである「視点」を使って理解を深めていきます。

▼ マイクロアグレッションとは(引用:日本財団ジャーナルリンク

思い込みや偏見によって無自覚に相手を傷つける言動

ここでは「無自覚に」にフォーカスして、それぞれの立場の気持ちを想像して言語化していきました。この時に、「白い糸ワーク」という手法で行いました。

ワークの様子

このワークでは、発言した人を糸で繋いでいくので、どの人の意見とどの人の意見が繋がっているのか、全ての人の意見が場に出るような仕掛けとして取り入れました。

▼ 尋ねられた人の視点

・疑われている気持ちになった。

・なんで、髪の色についていちいち聞いてくるんだろう。

・質問の意図が分からない。etc...

▼ 尋ねた人の視点

・ただ気になって聞いただけなのに。

・綺麗な髪の色だなと思って聞いただけなのに。

・褒め言葉で言っただけなのに。etc...

最初のワークでは、尋ねられた人の気持ちの視点に偏っていたので、全員に尋ねた人の立場に立って、気持ちを考えることができました。そして、両方の立場の考えを聞いたところで次のワークに入りました。

Work3

次のワークでは、改めて今の自分の立場を率直な気持ちで考えていきました。

改めて「Is that your real hair?」の発言について、双方の立場を踏まえて、この質問は良いのか、悪いのかについてグラデーションで考えてもらいました。

0%(全く悪くないと思う)50%(ケースバイケース)100%(絶対悪い)

子どもたちは悩みながらも自分自身の現在地をパーセンテージで表し、その理由を書いていきました。

こうやってパーセンテージで表してみると、良い悪いの二項対立では見えてこなかった絶妙な違いが見えてきます。

▼ 出てきた考え

100%以上>相手が良くても、自分が良くなかったらそれは単なる言い訳だから。

98%>自分で相手が言われたらどういう気持ちか考えてから言うのがふつうでふつうの人はもう少し気を使う。

95%>95%は失礼やおかしいから。後5%はそう言う言い方をするのは少し悪いかもしれないし、悪気がなく言っているのは少しだけわかるから。

80%>失礼だと思う。でもNo reactionもある。

75%>

・言った方の言い訳も分からなくないけど、他の言い方があったと思う。
・相手は無意識に喋ってしまったから。
・人の気持ちを考えないのはダメだけど、相手の受け取り方が違ったり、そのつもりじゃないから。
・聞き方を考えてもらいたい。

70%>悪気はないけどもうちょっと言い方を考えた方がいい。

68%>

・黄色い髪の姉さん。そんなこと言ってもいいと思ってんの。黒髪の姉さんもちょっと考えすぎだ!
・68%は言われて差別されているような気持ちになって悲しい。残りは気になったから聞いただけの気持ちもわかる。
・悪いけど、相手がその気持ちで言ってないから。でも言い方は考えた方がいい。

60%>言われた側は嫌だけど、言った側は気にしていないから。

32%>悪気がないならいいやんか!相手の気持ちも考えればいいやん!

1%>何で言ったらダメなの?

0%>

・別にいいと思う。別に言われてもなんも思わん。
悪口は言ってないから別にいいと思う。

このマイクロアグレッションは社会だけで起きていることではなく、学校やクラス、そして友人関係の中で自分では気づいていないけど、起きてしまうのが難しいところです。この子どもたちの考えを見た時に、このユニットのゴールは「クラス全員が100%間違っているから許せない行いだと思う!」とすることなのでしょうか。IBのLearer Profileには10の学習者像が書かれています。私はここにヒントがあるのではないかなと考えています。

さて、マイクロアグレッションについての自分の立場を明確にしたところで次のステップに入っていきます。

Work4

ここからは、今回のユニットとリンクする授業案をネットで見つけたので、参考にしながら授業を展開していきます。Unit1のTDT(教科の枠を超えたテーマ)は「Who we are」です。まずは、次の問いからスタートします。

参考:IBプログラムーTOK知の理論パワポ-柏木賀津子.pdf

 

▼ 子どもたちから出てきた意見(一部抜粋)

・I am Japanese.
・I am a boy / girl.
・I am 5/6th grade.
・I am kind.
・I am good at ...etc..

参考:IBプログラムーTOK知の理論パワポ-柏木賀津子.pdf

ここでは多くの子どもが書いていた「日本人」にフォーカスして考えていきました。

▼ グループワークで出てきた日本人のイメージ

・いい国に住んでいて優しそう

・平和な国

・着物が似合いそう

・礼儀正しそう

なかなか自分たちの住んでいる国の文化を異なる視点から見ることは難しそうな様子でした。

Work5

参考:IBプログラムーTOK知の理論パワポ-柏木賀津子.pdf

ここからは、5/6年生のミックスしたチームで英語力のバランスを考えて自分たちでチームを決めて、上の文章を翻訳する学習を行いました。辞書を活用しながら、翻訳しながらこの文章について感じたことをシェアし始める子どもたち。

・この文章どう言うことだろう。

・なんか書いてあることがおかしい気がする。

・なんで、そんなことをするんだろう。

・この国には住めないな。

自然と考えたこと、感じたことをグループ内でシェアをしていました。

参考:IBプログラムーTOK知の理論パワポ-柏木賀津子.pdf

そして、次の時間に2つの動画を見てもらいました。

・海外から見た日本のお辞儀の文化を表した動画(リンク

・海外のニュースで報道された日本の満員電車の動画(リンク

動画を見ながら子どもたちの中で、「1日中頭を下げているのって日本人のお辞儀のことじゃないかな。」「早朝と夜遅くに動くのは日本の通勤ラッシュのことじゃないかな」という話が出てきました。「と言うことは、この文章って日本人のこと....!!!!えええ!!!違う!!!」という言葉が出てきていました。

参考:IBプログラムーTOK知の理論パワポ-柏木賀津子.pdf

そして、グループで「背景の正しい理解をしていたらどのように伝えることができたのか?」について自分たちで文章を考えてもらいました。

グループによって「なぜお辞儀をするのか?」についての理由が異なっていることも興味深いです。この学習経験から子どもたちは何を学んだのでしょうか?そしてこれから何を学んでいくのか。

 

子どもたちの探究は続いていきます。

Unit6 WEEK4 子ども発祥!ゴミ美術館プロジェクト!

Unit6 アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

いよいよUnit6の学習も総括評価課題に本格的に入っていきます。

ユニット6では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

・総括課題「ゴミ美術館」

こちらがゴミ博物館のプロジェクトの総括課題になります。この課題のアイデアも子ども発祥で、昨年度の10月のユニットのアクションで生まれたものでした。このように、これまでに学んだことがユニットを超えたアクションで繋がっていくことに面白さを感じています。

・アイデアが生まれた背景

このアイデアが生まれたのも子どもたち発祥でした。

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Unit3(2023年9月〜10月)で「私たちが住んでいる岐阜市では水がどのように管理されているのか?」について探究し、学んだことを社会に向けたアクションに繋げるアイデアとして子どもたちから長良川のクリーンアップ作戦のアイデアが出てきました。
このユニットでは、岐阜市上下水道の施設の見学、長良川の環境調査を通して、岐阜市の水は綺麗に保たれるために税金を使って管理されていることを学んできました。しかし、家庭から流れる油による影響やポイ捨てを川の周辺で起きていることで影響が少しずつ出ている話も聞きました。このことについて学んできた子どもたちが生み出したのが清流長良川周辺の清掃活動でした。

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ゴミを実際に拾ってみると、様々な種類のゴミが落ちていることに気づく子どもたち。そして、ゴミが多く落ちている場所の特徴として、信号の横の堤防に沢山のゴミが落ちていることを発見し、これは信号待ちの間に多くのゴミを捨てるドライバーがいると推測をしていました。また、拾ったゴミを集めてみると「何かゴミで作れそう!」「もしかしたらこのゴミは売れるかもしれない!」と拾ったゴミに価値を生み出している子どもたちの声がありました。この時に生まれたアイデアが「ゴミ美術館」のアイデアです。

そして時は流れ、Unit6(2024年2月〜3月)のアートの鑑賞と創造について探究していく学習に入っていきました。ユニットの前半では、アートの鑑賞スキルを深める中で、アートには作った人の思いや価値観がこめられてることを学んできました。
そして、いよいよこの1年間で学んできたことをアートを通して伝えていく最終課題に入っていきました。この時に再び、ゴミ美術館のアイデアの発起人である1人の子どもが「ゴミ美術館をしたい!」と再び声を出してくれました。この時点で残された期間は2週間とちょっとです。もう既にゴミ美術館を手伝ってくれる地域の方は見つかってる状況でした。この際思いっきり子どもの声をカタチにするサポートができたらと思い、この企画が再び動き始めました。

子どもたちがこれから作っていくゴミアートのテーマとして次の2つを設定しました。背景としては、このユニットで子どもたちに「アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる」ことを体感しながらこの意味をアートともに作り上げる機会になるといいなと考えています。

① 自分自身の成長や葛藤(Unit5)を表すアート
② 社会の中に起きている問題(Unit2-4)を表すアート

まずは、頭で考えるより手を動かしながらアートを作っていくことを大切にし、子どもたちは思いのままにテーマに沿って作り始めました。ゴミ美術館の発起人である生徒は「ポイ捨てが起きている社会の問題」についてゴミを使ったアートで表現するアイデアを生み出していました。どのようなアートになるのか楽しみです。

・ゴミ美術館の会場準備(学校外アクティビティ)

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早速、ゴミ美術館の発起人である児童の繋がりで生まれたゴミ美術館の会場を貸し出してくれる方との挨拶も兼ねて、会場の清掃のサポートに子どもたちと保護者で行ってきました。
どのようにしてこの場所を繋がったのかというと、この場所を運営されている方の考え方に共感した保護者の方がゴミ美術館のアイデアを話したところ「是非一緒にやりましょう!」ということで賛同をして下さり、今回このプロジェクトが偶発的に実現することになりました。

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実際に会場を掃除するために土日であるのにも関わらず保護者や子どもたちも有志で集まり、みんなで雪が降る中ワイワイ掃除を行いました。歴史がある場所でもあることから、昔の新聞が出てきたり、不思議な形をした石が出てきたり今では見られない家具が見れたりと、楽しみながら準備を行うことができました。

こうやって、緩やかに学校での学びが地域社会と繋がっていくことは子どもにとっても学びが社会とつながっていくことや、自分たちが学んだことを社会に発信していけることを感じるきっかけになるのではないかなと思いました。

・ゴミアートの伝えたいメッセージと設計図を考える

ただゴミアートを作るのではなく、ゴミアートのテーマと、そのテーマで伝えたいメッセージを考えていきました。そして、作品の設計図を書いて、友達にフィードバックをもらった人からいよいよ制作開始です。ここで大切にしたのは、あまり計画しすぎず大事なコンセプトのようなものを決めて、あとは作りながら理解したことを書き足していくことを大切にしました。

また、ここで子どもたちがアートを作るときに具合的な設計図が多かったので、フィールドトリップで訪れた養老天命反転地で感じた「アートとは何か?」の振り返りをしていきました。

養老天命反転地の振り返り

・アートは正解が分からないもの
・アートは人によって捉え方が違う
・アートは人の心を引き寄せる
・アートはそうぞうのもの
・アートは今見ているものだけではない
・アートは創造力が試されているものetc...

子どもたちは自分の設計図を見直して、具体物からより様々な解釈が生まれるように抽象度を上げられるように修正をしていました。

子どもたちの探究は続いていきます!

Unit6 WEEK3 対話型鑑賞会に向けた準備&鑑賞会

Unit6 アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

いよいよUnit6の学習も形成的評価課題に本格的に入っていきます。

ユニット6では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

▼ 形成的評価課題

1週間という限られた時間の中でUnit4でフォーカスした自己管理スキルを活かして、計画を立てプロジェクトを進めていきました。

▼ 形成的評価課題の6つのステップ

STEP1 ... アーティスト(画家)を決める

STEP2 ... 同じアーティストが描いた作品から2つ選ぶ

STEP3 ... リサーチの視点を考える

STEP4 ... 複数の視点をリサーチする

STEP5 ... リサーチしたことをまとめる

STEP6 ... 対話型鑑賞を深める3つの問いを考える

この6つのステップは、1度1つの作品(バベルの塔)をクラス全体で鑑賞し、作品について3つの視点でリサーチする活動を行い、このアートの鑑賞スキルを活用して形成的評価課題にチームごとで取り組めるようにガイドしていきました。

また毎回のグループワークではリフレクションを行うことで、グループワークが機能しているのかについて振り返る時間をとりました。

また、プロジェクト前の金曜日のチームでの作戦会議では、チーム内で金土日のスケジュールを確認し、オンラインで繋いで作業する時間を合わせて決めて行ったり、全員が合う時間がないチームは、それぞれで役割分担を行い準備を進める姿が見られました。

そして迎えたアート鑑賞会本番。

対話型鑑賞では、以下のような流れで行いました。

自由鑑賞タイム(10分間)*説明前の感想記入(See-Think-Wonder)

チームごとのアート鑑賞の説明(5分間)

説明を聞いた後の感想記入(See-Think-Wonder)

▼ 各チームの発表の様子

・「パウルクレー」チーム

・「ゴッホ」チーム

・「オディロン・ルドン」チーム

・「エドヴァルド・ムンク」チーム

発表後は、ATLスキルについての振り返りを行いました。

▼ 個人の振り返りの問い

① どのように友達をサポートすることができましたか?プロジェクトで友達に支えてもらったことはありますか?
② 新たに発見した友達の強みや良さはありますか?
③ 友達と協力することで自分一人ではできないことでできたことはありますか?

そして、書いたことをグループに持ち帰り、グループ内でお互いの発見した良さや強みを共有する時間をとりました。このアクティビティを通して、普段何気なく関わっている友達の強みや良さを学習活動を通してお互いに伝え合うことで、自分自身の知らない良さや強みに気付いたり、友達の良さや強みに気づくきっかけになったらと思いました。

いよいよユニット6も総括課題に入っていきます。総括課題は「アートの鑑賞」から「アートの創造」に入っていくことで、自分自身や自分の周りに起きている社会の理解を体験できるような課題を考えています。

子どもたちの探究は続いていきます。

Unit6 WEEK2 自己理解から他者理解へ

Unit6 アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

いよいよUnit6の学習も形成的評価課題に入っていきます。

ユニット6では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

こちらが形成的評価課題になります。

今回フォーカスするATLスキルはこちらです。

社会性スキル(好ましい対人関係の構築と協働スキル

具体的には、自分とは違う考えを持つ人とも、それぞれの良さや強みを生かすことで、自分一人ではできないことができるようになることを目指していきます。そのためには、まずは自分自身の強みを知る必要があります。まずは自分自身の強みを知るワークから始まりました。

・グループで他者と協働するための自己理解ワーク

「そもそも今の自分にどんな強みがあり、一緒に学んでいるクラスメイトにどんな強みがあるのか」について自他理解のためのワークを行いました。参考にしたのは「見つけてのばそう!自分の「強み」(参考リンク)」です。

このサイトで紹介してあるのは、フィンランドの教育現場でも多く取り入れられているPositive 教育です。8つの質問に答える中で、自分自身の強みを知るきっかけになったのではないかなと思います。結果を見て「確かに当たっている」「意外だった」等自分で理解している部分と、自分ではまだ理解していない強みがあるのかもしれないと感じた人もいたのではないでしょうか。ここから、グループ分けを行い、いよいよ形成的評価の課題に入っていきます。

・チームでのキックオフミーティング

できるだけ異なる強みを持つメンバーでチーム編成を行いプロジェクトがスタートしました。いつもは、チームでの計画からスタートするのですが、今回は社会性スキルにフォーカスをするので、自分自身の強みを整理して、グループ内で自分の強みをシェアし、またグループの特徴や強みについて考える活動からスタートしました。グループワークを通して友達の強みや良さに気づきながらプロジェクトが進んでいけるようにアプローチをしていきます。

・G5とコラボした価値観ワーク

この価値観カードのワークショップは1つ上の学年の児童がルールやカードの種類をリメイクしたもので、G4の子どもたちが自分自身の価値観を発見する過程を通して自己理解を促すきっかけとしてワークを行いました。遊び方は、約100枚のカードのから最初に5枚のカードを引き、そこから自分が一番大切にしている価値観のカードを1枚残して残りのカードは山札に戻します。次のターンは4枚カードを引いてその中で2枚大切にしているカードを残します。これを残り3回繰り返して、最後に自分の手札に5枚の大切にしている価値観のカードが残ります。

印象的だったのは、手札に「友情」と「お金」の価値観が来たときに、どちらか1つを捨てないといけない選択を迫られた場面でした。クラスの中でも、友情とお金について意見が分かれ、友情はお金では買えないという意見と友情はお金でも買えるという意見で2つに分けれていました。

リフレクションでは、その中で一番自分が大切にしている価値観を選び、その理由と今後その価値観をどう使っていきたいのかを言語化する振り返りを行いました。このリフレクションシートもG5の児童が作ったもので、G4の生徒も自分の言葉で言語化することができていました。このワークを通して人それぞれ価値観は違って当たり前であることを感じられたように思えます。

そして、いよいよ自己理解や他者理解が進んだところで、グループでの課題がスタートしました。プロジェクトの進捗については次回のブログで紹介していきます!

いつも読んでいただきありがとうございます。

子どもたちの探究は続いていきます。

Unit6 WEEK1 アート鑑賞

Unit6 アートの創造や鑑賞は自分自身や周りの世界の理解につながる

いよいよUnit6の学習に入っていきました。

ユニット6では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

ユニットの導入では、実際に岐阜県美術館に行って、アートの世界に入っていきました。まずは「本物」に触れることでこれから学ぶ学習が自分たちの身近な世界とつながることを感じられることを大切にしています。

PYPは、 「本物」の学習こそが最も効果的であると確信しています。すなわち、学習が「児童にとって本当の」世界に即したもので あるとき、そして教科の枠をこえた学習であるときに、最も効果的な学びが行われるということです。

導入1 フィールドトリップへ

フィールドトリップでは、一番最初の子どもたちの鑑賞の仕方を見ることを目的とし、岐阜県美術館にフィールドトリップにいきました。

フィールドトリップでのミッションは大きく2つでした。

・ミッション1「アートってなんやろうね?」

県美術館で今行われている「ナンヤローネ プロジェクト」の問いかけを元に「アートってなんやろうね?」という問いを鑑賞を通して言語化していきました。

県美術館(リンク

・ミッション2「グループでアート鑑賞」

このミッションでは、3人グループになって1つの作品を鑑賞をしていく活動を行いました。子どもたちは、美術館を周りながら気になる作品を決めて、1つの作品を4人で鑑賞していきました。不思議とそれぞれのグループは別々で動いているのに4年生の心に残るアート作品に共通するものが出てきたのも面白いポイントでした。

帰ってきてからの振り返りでは、鑑賞について学ぶ前にアートについて今考えていることを言語化していきました。このユニットを通じて子どもたちの考え方や見え方がどのように変化していくのか楽しみです。

▼ ユニット開始前のアートについての見え方・考え方

導入2 ディクシット(DIXIT) ボードゲームでの対話型の鑑賞の導入

Dixit参考画像

このゲームでは、親がお題を出して子はお題に合った手札を出していきます。このときに、親は具体的すぎるお題でもない、または抽象的すぎるお題でもないちょうどいいテーマを出す必要があります。例えば親が「悲しみ」というお題を出すと、それ以外のプレイヤーは自分の6枚の手札から「悲しみ」を表すカードを選び自分なりに解釈して場に出していきます。もし親が「お皿」という具体的すぎるテーマを出すと親が出したカードが明らかに分かってしまうので、子どもたちは「今のテーマは具体的すぎる」と言って、抽象度の適切なテーマを出す重要性に気づき始めている人もいました。自分がなぜこのカードがテーマに合っていると思ったのかを自分なりの解釈を伝えることで、人によって見え方が異なるや同じ絵を見ても色々な解釈ができることを感じれたらと思い、このアクティビティを行いました。

▶︎詳しい遊び方はこちら

導入3 1つの絵をみんなで深掘りしてみる

土日の課題として、オンライン美術館(リンク)にいき、その中で自分が気になる1枚とその理由を考えて気になる絵を持ち寄りました。

▼ 集まったG4の気になる絵

ここから色々な解釈ができそうな1枚を選んで、作品の作られた背景について探っていきました。それが以下の1枚です。

この絵を観察して「See-Think-Wonder」のワークを行いました。Unit4で事実と解釈について分けて考えるATLにフォーカスしたので、何がsee(事実)で何がthink(解釈)なのかを意識しながら行いました。最初は、seeに「戦争のようなことが起きている」「土下座をしている人がいる」と考えが出てきたところで、改めて事実と解釈について考える時間をとりました。「どのようにしたら事実と解釈を分けることができるのか?」という問いについて「事実は誰が見ても同じように見える物に対して、解釈は人によって解釈が異なるもの」という考えが出てきたところで、改めてワークの続きを行いました。

▼ 子どもたちから出てきたもの

さらに、ここから1つの絵についてリサーチを通して、深く掘り下げていくワークを行いました。今回のキーコンセプトの1つが「視点」なので、子どもたちにどのような視点でリサーチをしていくのかを考えてもらいました。そこで出てきたのが「描いた人の視点」「バベルの塔の視点」「絵の中の人の視点」という3つの視点が出てきたところで、子どもたちから3つのグループに分かれてリサーチをする考えが出てきたので、それぞれのグループに分かれてリサーチを行いました。

リサーチを重ねて共有する中で、今までは自分の感性のみで鑑賞をしていたのが、絵の中にあるストーリーや歴史について理解することで、見え方が変化してきたのを感じていたのではないかと思います。

▼リサーチしたものを元に整理したもの

・Unit6のルーブリック評価のシェア

私が勤めている学校では、ユニットでフォーカスしたATLスキルを使いながら概念的理解を深めていきます。言い換えると、ATLスキルを変えることで学習のアプローチが大きく変わってきます。今回のユニットでは「社会性スキル」の中でも「好ましい対人関係の構築と協働スキル」にフォーカスして行なっていきます。10歳の子どもたちにとって、グループワークをするときに「仲のいい人と一緒になることで意見が言いやすく、考えを深めることができる」と1年間主張を続けてきており、子どもの意見も尊重しながら、グループメンバーを調整しながら行なってきました。しかし、今回のユニットでは、どんな人とでもお互いの良さや強みを活かしながら協働していくスキルはこれから社会に出てときに必要になってくるスキルであることを丁寧に説明することで、どこにフォーカスして学びを進めていくのかを共有することを大切にしました。

Unit6のルーブリック評価

まずは、自分たちの社会性のスキルがどのようなものなのかを知るために、40分間のグループワークをランダムでメンバーを決めて行いました。

・国語との融合「小説の一説から絵の背景を紐解く」

「バベルの謎(リンク)」の試し読みの中にバベルの塔の絵の情景について書かれているものを生徒の1人が見つけてきました。前回の授業の「See-Think-Wonder」で曖昧だった、絵の中に書かれている情景と小説の中に書かれている情報をつなげていく学習を行いました。グループによっては、3人で協働することで「1+1+1=6」になるチーム、たくさん話してしまって「1+1+1=2」になるチーム、チーム全体で違う方向に流れてしまって「1+1+1=2」になるチームなど、グループワーク後にリフレクションをする中で、今の自分たちの課題を認知していきました。

来週からいよいよ形成的評価課題に入っていきます。次回のブログも楽しみにしていただけたらと思います。

Unit5 Week4 「ホルモンがもたらす身体の変化」

Unit5 身体の変化は心の変化をもたらす

ユニット5では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

ユニットの導入では、心の変化を少しずつ迎えている4年生が、自分自身の心の変化を捉える学びからスタートしていきました。そこから、エリクソンの発達課題を参考にしながら人生のステージごとの発達課題についてインタビューを元にリサーチを進めてきました。ここからは、心の変化から身体の変化にフォーカスした学びを進めていきます。この時のキーワードになるのが「ホルモン」です。私たちの見えないところで「ホルモンはどんな働きをしているのか?」子どもたちとの探究が始まります。

・イントロダクション1「人生における変化と疑問」

まずは、今の子どもたちが「変化」についてどのように認識しているのかを知るためのワークを行いました。ベースは「see(事実)-think(考えたこと)-wonder(疑問)」にして、これまでの人生やインタビューを通して見えてきた「変化」について知っていることをブレストしていきました。

◎ 問い

「人生においてどのような変化があるのか?(黄色、オレンジ)」
「自分が疑問に思う変化(緑色)」

◎ 子どもたちから出てきた疑問

・おじいちゃんおばあちゃんになるとシミが出てくるのはなぜだろう?
・人に色々な気持ちがあるのはなんでだろう?
・大きくなるについて人の考え方が変化するのはなぜだろう?
・なぜ、体(身体)は大きくなるんだろう?
・なぜ、性格は変わるんだろう?
・なぜ、好み(好奇心)は変化するんだろう?
・イントロダクション2「人生における変化と疑問」

昨日は大雪の影響で休みが多かったので改めて、自分たちの心や体の変化と一人一人が気になる疑問を書き出していきました。今回は体の変化にフォーカスするために、人の体の関係する部分に付箋を貼り出していきました。

◎ 子どもたちから出てきた疑問(その他の疑問)

・どうして髪の毛は伸びるの?
・なぜ考え方は変わるの?
・なぜ感情は変わるの?
・なぜ好きなお菓子は変わるの?
・なぜ感情が変わるのか?
・信頼はなぜ変わるのか?
・なぜ気持ちが変化するのか?
・どうして体の大きさが変わるのか?
・どう変化すると体重が減るのか?
・どうして爪が伸びるの?
・どうして骨が伸びるの?
・どうして背が伸びるの?
・足はなんで大きくなるの?

人数が増えることで、色々な疑問が出てきて、子どものたちの中で疑問は生まれるけどこれまでにリサーチしたことはなかった人がほとんどでした。「この変化に共通しそうなものって何があるんだろう?」という問いでは「ホルモン」という言葉が返ってきたので「ホルモンの正体」について探っていきました。

◎ 問い

・ホルモンとは何か?
・ホルモンの大きさはどれくらいなのか?
・ホルモンは肉なのか?

子どもたちはホルモンについて、食べるホルモンとの違いについては知っており、またホルモンから女性ホルモンと男性ホルモンの言葉が出てきて、男性には男性ホルモンだけがあり、女性には女性ホルモンだけがあることを話していました。ここから身体の様々な変化について、ホルモンをトピックに探っていきます。

ここからの指導で大切にしたい考え方についてです。(参考リンク

Ⅱ 学校における「性に関する指導」の基本的な考え方
学校における性に関する指導は、「人格の完成」、「健康の自己管理能力の育成」、「現代的課題への対応」を目指しています。学校教育全体で取り組んでいる人間関係についての理解やコミュニケーション能力を育成することなどの基礎の上に、科学的知識を中心とした性に関する指導を行っていくことが、自他の心身を大切にできる心や態度を育むことにつながります。そのため、科学的知識を理解させることだけを目指すのではなく、「性」を「人生の教育」の一部として考え、子どもたちがよりよい生き方・豊かな人間関係を目指していけるよう、包括的に指導を進めていくことが求められます。
・「人はなぜ眠くなるのか?」

まずは、全体でホルモンと身体の変化の関係性を探るために、子どもたちにとって身近な「眠くなる」という身体の変化についてこれまでの経験を紐解いていきました。

◎ 問い

・どんな時に眠たくなるのか?
・なぜ眠くなるのか?
・どんな時眠たくならないのか?

「どんな時に眠くなるのか」について問いかけると「寝る前」「ご飯を食べた後」「熱が出ている時」「寒い時」etc...のこれまでの生活経験をシェアしてくれました。また「喧嘩をしてるときやストレスを感じているときは眠くならない」というように、夜でもストレスを感じている時や喧嘩の後は眠れないという経験を話してくれた子もいました。

「では、なぜ眠くなる時」に共通するパターンがあるのかについて、教室のにある本からリサーチをしていきました。

リサーチをしてみると、夜眠くなるのは体内時計で自然に眠くなることや、ホルモンとの繋がりでいうと、夜暗くなると脳から分泌され、体内時計に働きかけ、カラダと心を夜の休息の状態に切り替えてくれる「メラトニン」という物質が関係していることを発見していました。また、ご飯を食べた後に眠くなるのは「インスリン」というホルモンが分泌されており血糖値を下げようとする働きの時に眠くなってしまうことを発見していました。このように、眠くなってしまうのは睡眠不足というだけでなく、自分の身体の中で自分の見えないところでホルモンという物質が調節するために重要な役割を担っている結果として起きていることもあることをちょっとでも感じられたらと思いました。

・「人はどんな時期に背が伸びるのか?」

次にmathの時間では「成長ホルモン」というキーワードにフォーカスするために、生まれてからこれまでの身長の変化についてリサーチをしてきてもらいました。やはり、子どもたちは自分自身の経験から学ぶ方が主観的な事実として受け入れやすく、自分の成長の記録や友達の成長記録をみながら成長について理解を深めていく姿が見られました。

▼この学習で掴んで欲しいこと

◎ 知識

・成長ホルモンとは何か

・第一次成長と第二次成長

◎ スキル

・小数の引き算ができる

・身長の変化をグラフに表すことができる

・スキャモンの発育曲線と身長の変化の繋がりを見つけることができる

◎ 概念

・成長には個人差があること

・ホルモンが身体の変化に影響を与えていること

実際にグラフにしてみると、子どもたちは自分の身長の変化と友達の身長の変化を比較して同じような変化が見られるところ、違う変化があることを発見していました。共通していたのは「0歳から1歳の時に一番身長が伸びていること」「1歳から8歳までは身長の伸びが小さくなっていること」そして、違いとしては「8歳から9歳で再び身長がぐんと伸び始めたこと。」「10歳になってもまだ身長の変化が小さいこと。」等成長には個人差があることを客観的な事実を集めて理解を深めているように見えました。その一方で、まだ第二次成長が始まっていないことに不安な気持ちを声に出している子もいました。

・「成長ホルモンと身長の変化のつながり」

身長の変化には個人差があることや、身長が急激に伸びる時期があることを自分自身とクラスの友達のデータから掴んだところで、具体的な知識と繋げていく学習を行いました。「身長が伸びることは何と関係しているのか?」という問いをグループで読み解く学習をしていきました。

▼ 資料①

引用:神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科学(リンク


▼ 資料②

子どもの“成長スパート”を見逃すな!(前編)(リンク

▼資料③

 

SGS総合栄養学院(リンク

子どもたちはこの3つの資料を読みながら身長の変化との繋がりを発見していました。

▼子どもたちの考察したこと

・成長ホルモンが出ている時期に心の変化も起きるのはなぜだろう?

・男子より女子の方が早く身長が伸びる

・身長の変化はスキャモンのリンパ型とつながっているのではないか?

・成長ホルモンの分泌量も人によって差がある

・PSPE「人はどんな時期に運動の上達が早いのか?」

◎問い

・みんなはいつ頃"自転車"の乗れるようになったかな?

・みんなはいつ頃"ボール"を上手く投げられるようになったかな?

・みんなはいつ頃"縄跳び"を跳べるようになったかな?

子どもたちは、できるようになった時期が4歳から6歳ぐらいに年齢が集中しており、「なぜこの時期に色々なことができるようになるのか?」について考えていきました。ここまでこれまでの経験を共有した後にスキャモンの発育曲線を提示して考えていきました。「みんな、このグラフ見たことあるかな?」この言葉で「出た〜」という感想から体育の観点からみた授業が始まりました。

SGS総合栄養学院(リンク

▼ この学習で掴んで欲しいこと

◎ 知識

・ゴールデンエイジ とは何か

・スキャモンの発育曲線

◎ 概念

・運動能力を高めるには適切な時期があること

・人は年齢ごとに成長パターンがあること

SGS総合栄養学院を参考に作成(リンク

1つ1つの成長のパターンについて学習をしていき、最後に神経型の発達の話になりました。そして、神経が最も発達する時期が、今の自分たちの年代であることを知った子どもたち。これまで「なぜ休み時間に外に出て身体を動かさないといけないのか?」「なぜ、休み時間はデバイスを使ってはいけないのか?」について疑問を抱いていた子供達でしたが、この授業を受けたあとは「よし!外で思いっきり遊ぼう!」と外で身体を動かすこことに前向きになっているように思えました。適切なタイミングで、正しい知識が入ることで、すうっと理解に入っていくようでした。

子どもたちの探究は続いていきます。

Unit5 Week2-3 それぞれの年齢の発達課題は変化する

Unit5 身体の変化は心の変化をもたらす

ユニット5では、以下の知識とスキルの構造で概念型の探究を進めていきます。

ユニットの導入では、心の変化を少しずつ迎えている4年生が、自分自身の心の変化を捉える学びからスタートし、キーコンセプトである「変化」にフォーカスし、年齢ごとの心の変化を捉える学びをスタートしました。

ここでは、それぞれの年齢ごとの発達の課題を捉えるために、自分たちの身の回りの人(家族や親戚や学校のスタッフやお友達)にインタビューを行いました。そして、それぞれの発達の課題となること事実を集めて、一般化していく学習を行っていきます。

・それぞれの発達段階の人へのインタビュー

▼ インタビュー項目

◎ ポジティブな感情の側面

Q. 嬉しかったこと/楽しかったこと/成長したこと/得たこと

◎ ネガティブな感情の側面

Q. 大変だったこと/悲しかったこと /悩んだこと/怒ったこと

子どもたちは冬休み期間を活用して、親戚の方や家族にインタビューを通して教科書の一般化された知識ではなく、自分で情報をリサーチして、それぞれの年齢ごとに大変なことや嬉しいこともあることを一次情報を掴むことができたのではないでしょうか?

・インタビュー結果で分かったこと(事実)を集める

1人でリサーチした情報だけでは事実が少ないので、クラス全体で情報を集めることで、一般化していく準備をしていきました。また、日本人の先生だけでなく、外国人の先生にも土日にインタビューを行う生徒も出てきて、日本人だけでなく人間の発達段階として広く情報を集めることができました。

実際に情報を集めると、発達段階によって情報の偏りがあるので、改めて役割分担を行い追加インタビューを行っていきました。学校にはプレスクールから中等部まであるので、ステージ5までは児童生徒にインタビューを行い、ステージ6から8までは学校の先生やスタッフにインタビューをすることで追加の情報を得ることができました。

フォーカスするスキルとしては、自分たちでインタビューのアポイントを取り、それぞれ時間になるとインタビューを通して情報を集めることができました。自分たちでインタビューをすることで、社会に出て必要な、相手のことを考えながらアポイントを取り、アポイントの日時になったらインタビューに行くマネジメントスキルも実践を通して学ことができています。

・インタビューで集めた情報を元に一般化していく

そして、いよいよ集めた情報を元にそれぞれの発達段階で共通する課題(乗り越えるべき課題)と危機(大変なこと)を一般化していきます。情報を整理してみると、今の自分たちのステージと比較しても異なる乗り越えるべき課題があることに気付いていました。この学習を通して「これから起こりうる変化に対して準備をすることで適応することができる。」ことを理解するために、まずはそれぞれのステージで異なる課題があり、乗り越えることで次のステージに行くことができることを感じてもらえたらと思っています。

子どもたちはそれぞれのステージでの「乗り越えるべき課題」について、インタビューで出てきた言葉から一般化をしていきました。

◎ ステージごとの「乗り越えるべき課題」

ステージ1...「生きるために必要なこと」

ステージ4...「将来(18-20歳)で必要なこと」

ステージ6...「将来のために必要なこと」

同じような意味合いでも、ステージごとにある違いに着目をしていきました。

◎ 子どもたちの気づきとして出てきたこと

・人は、危機(大変なこと)と出会って、乗り越えるべき課題を乗り越えることを繰り返して大人になるのではないか。

・人は、ステージ7に入る頃から成長しなくなることを聞いたときに、だから老人ホームとかサポートするためのものがあるのではないか。

・今の課題は、そのときは乗り越えられているかどうかわからない。

▼ ステージ1-2

▼ ステージ3-4

▼ ステージ5-6

▼ ステージ7-8

ここでは、精神的な変化に着目をしてきたので、次の探究の流れでは、身体の変化にフォーカスして探究を進めていきます。思春期を迎え始めた子どもたちにとって「身体の変化」は感じており、教室にある「身体の変化」についての本を手に取って一人で読んでいる姿も見られ始めました。では、なぜ身体の変化や心の変化が起きるのかについて「ホルモン」をトピックに紐解いていきます。

子どもたちの探究は続いていきます。