本日のこちらのブログでは、ティール化したフィンランドの職員室について、実際に私が現地で教員として働きながら経験したことをまとめていきたいと思います。
\ このブログの見所!/
元々ティール化しているフィンランドの職員室に、外国人である私をティール化した組織の一員として受け入れていくまでの流れについて、実際に経験したリアルをまとめていきたいと思います。勤め始めて、4ヶ月を迎えましたが、校長先生の創り出す安心感や、職員一人一人を信頼して、任せる姿から学んだことについてまとめてみました。
1. はじめに
本日のこちらのブログでは、フィンランドの職員室がティール化していく過程についてまとめて見たいと思います。では、ティール組織を成り立たせる上で欠かせない3つの要素を実際のフィンランドの職員室に当てはめてみました。
▼フィンランドの職員室の特徴
・一人一人が教育の大きな目的を共有していること(進化する目的)
・職員一人一人に裁量権が任されており、お互いを信頼し、一人一人が自立していること(セルフマネジメント)
・お互いに相談しやすい関係性が築かれていること(ホールネス)
2. ティール化したフィンランドの職員室
ここからは、実際に私が1年間フィンランドの学校現場でインターンや教員経験を通して実際に経験したことをまとめていきたいと思います。
① ティール化したフィンランドの職員室の3つの特徴
ここからは、なぜフィンランドの職員室がティール化しているように感じるのか、その理由について、もう少しまとめていきたいと思います。
・進化する目的
フィンランド教育の特徴は、トップダウンの組織ではなく、ボトムアップの組織になっています。そして時代の変化に合わせて、常に変わり続けています。
「変わり続けるフィンランド教育が大切にしていることとは何でしょうか?」
私は、フィンランドでこれまでに100人以上の現場の教員と話をしてきました。
「教育の目的についてどう考えていますか?」
多くの先生は答えます。
「目の前の子どもが幸せに生きる方法を見つけること(=幸せな自立と表現)」
ここに、フィンランド教育の大きな目的を感じるのではないでしょうか?
子どもが幸せに生きる方法は、一つではありません。幸せの定義は一人一人異なります。また、子どもたちが幸せな自立をするために、社会に求められる知識や経験も変化してきています。学校は、誰もが幸せな自立をするために存在しています。しかし、学校の外の社会は変化してきています。
フィンランドの先生は話をしてくれました。
「社会から学校に求められることも変化し続けてきています。私たち教員は、時代の変化に合わせて、残すものと、変化するべきことを目の前の子どもたちの実情に合わせて、緩やかに変化させていく必要があります。」
フィンランドが変わり続けることができるのも、社会全体の中に教育の目的がしっかりと共有され、一人一人が当事者意識を持って、教育と関わっているからだと思います。
・セルフマネジメント
フィンランドの学校現場には、日本のように組織で動く校務分掌は存在しません。しかし、学校現場はしっかりと機能しており、職員の働きやすい環境と、子どもの学びはしっかりと実現しています。
「では、どのようにしてフィンランドでは、学校現場が機能しているのでしょうか?」
実は、フィンランドの学校現場では、教員一人一人に大きな権限が与えられています。
▼フィンランドの一人一人の教員にある権限
・教科書の採択
・教える順番
・教える内容(国が定める最低限のカリキュラムに基づく)
日本だと、教科書は都道府県で決められ、教える内容は国の学習指導要領で100%決められており、教える順番も横の学年や市町村ごとに合わせる必要があります。
これにより、どんな現象が起きているのかというと、目の前の子どもに合わせた教育を行いたくても、授業は前に進めていかなければならないので、理解がゆっくりな子にとって置いていかれる現象が起きています。また、教員も周りと合わせることに精一杯になり、一人一人の教員の魅力が現場に活かされない現象が起きています。
フィンランドでは、国が学校現場に、校長は一人一人を信頼して、多くの権限を与えています。結果的にフィンランドでは、教員は目の前の子どもに合わせた教育についてフォーカスでき、一人一人に合わせた教育が実現し、国際的にも結果が出て、フィンランド教育が認められ、教員の社会的な信頼度も高まりました。信頼が高まっているからこそ、教員は目の前の子どもに合わせて、独自の教育を行うことができて、目の前の子どもに合わせた教育が実現しました。
▼自立した教員が生まれる流れ
1. 国が教員養成を強化して、現場を信頼し、権限を与える。
2. 校長が教員一人一人を信頼して、権限を与える。
3. 教員は目の前の子どもに合わせて最適な教育を考え、実践を繰り返す。
4. 子ども一人一人の学びが保証され、PISAのテストで結果が出る。
5. 教育の質の高さが認められ、教員の信頼度が高まる。
6. 教員の裁量権が高まり、目の前の子どもに合わせた教育の実現。
このように、フィンランドの学校現場では一人一人が自立しており、年齢による立場は存在しません。若い教員もベテランの教員も理論に基づき、それぞれの強みを活かして教育活動に取り組んでいます。
・ホールネス
フィンランドの学校現場を一言で表すと、
「ありのまま・多様性が尊重され、心理的安全が確保されています。」
フィンランドの学校現場に入ると、どこか安心感を感じると思います。職員室では、教員はコーヒーを飲みながらリラックスした雰囲気で対話が行われ、教室に入ると、子どもたちはソファーの上でリラックスした雰囲気の中で学んでいます。
フィンランドの学校では「恐怖」を感じる瞬間はないです。教員も子どもも一人一人がありのままを受け入れられているからこそ、教員は安心して働き、子どもは安心して学ぶことができています。
② 職員室がティール化するまでの流れ
ここからは、私がフィンランドのティール化した組織にどのように溶け込んでいったのかについてまとめて行きたいうと思います。
・1st ステップ〜組織の目的の共有〜
私が、フィンランドの学校現場に入った初日は、フィンランドの組織がどのように動いているのかを理解していませんでした。まずは、校長先生がフィンランドの学校の目的について話をしてくれました。
▼校長先生はフィンランドの学校で大切にしていることを話してくれました。
① 職員間に上下関係はなく、いつでも相談できる関係性を大切にしていること。
② 教員には、一人一人に裁量権があり、目の前の子どもに合わせて自由に授業をすることができること。(学習指導要領は僅かに2ページ笑)
③ 生徒は、誰もが安心して学校で学ぶ権利があること。
④ 授業で大切なことは、一人一人のモチベーションを高めること。
6ヶ月間フィンランドでインターンをしていたので、何となくはわかっていましたが、ここまで教員の裁量権が大きいと、少し不安を感じたのを覚えています。
・2nd ステップ〜安心感を育む〜
実際にフィンランドの学校現場で働き始めた、最初の2週間は、毎日校長先生と30分間の相談をしていましたが、1ヶ月が経つと校長先生との対話は毎日10秒ぐらいのやり取りになっていました。
▼校長先生とのやり取り
校長:「Everything is OK?」
私:「OK」
5秒にも満たない会話ですが、毎日のこの一言で、いつでも気軽に相談できる関係性が築けていたのは、私の不安要素を0にしてくれました。
今フィンランドに来て、4ヶ月がたちましたが、一度も働く上で不安を感じたことはありません。少しでも、分からないことがあったら、同僚の先生も含めて、校長先生がいつでも相談に乗ってくれます。
・3rd ステップ〜任せる〜
フィンランドに来て4ヶ月が経過しました。4ヶ月も経つと、学校の中でも色々なことを安心して任せてもらえるようになりました。
▼私が任せてもらっていること
① 幼稚園から小学校全体での日本の運動会の企画運営(done)
② 幼稚園〜高校までのフィンランドの先生とコラボした授業
③ 日本から訪問する方とのコラボした授業/コーディネート
④ 修学旅行の企画・運営
もちろん、自分で全てを判断して動くことはありませんが、管理職の先生の最終判断のみで色々な仕事を信頼して任せてもらっています。 信頼して、任せてもらえるからこそ、私がここで働く上で最大限にできることをさせて貰っているので、働くモチベーションは常に最大値です。
3. 最後に〜日本でティール組織を取り入れるために〜
私は、このフィンランドの職員室の働き方の全てを日本の現場で取り入れることは難しいと感じています。具体的には、日本の学校現場には、多くの学校行事を効率よく進めるための分掌や、教育の質を担保するための重要な分掌が存在します。
しかし、ここまでのまとめて来た中で、何か個人単位でできることを見つけた方もいるのではないでしょうか?
▼フィンランドの学校の組織で大切にされていること
① 教員一人一人を信頼していること
② いつでも相談しあえる関係性が築けていること
組織を大きく変えることは難しいです。でも、個人単位で一人一人が働きやすい環境を作っていくためにできることがあるのではないでしょうか?
このブログを読んだ方の学校現場から、「幸せになれる職員室環境」が広がっていくことを願っています。
Youtubeでも「幸せになれる職員室」について動画をまとめています。
是非、チャンネル登録もよろしくお願いいたします。
ここまで読んで頂き有難うございました。
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