フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランドから見た日本の学校教育の素晴らしさ

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フィンランドの小学校の教室の様子

本日のブログでは、フィンランドの教育者から見た日本の教育についてまとめていきたいと思います。今世間では、フィンランド教育がブームになっており、日本からフィンランドに教育視察で行く人が年々増えています。「では、逆にフィンランドの人が日本の教育を見て、どんなことを感じているのか」を、私が現地に6ヶ月間滞在して直接聞いたことや、本日ご紹介するフィンランドと日本の教育の架け橋になっている方の意見をまとめていこうと思います。

1. 本日のインタビューアー

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自己紹介

職業:フィンランド教育ツアーガイド
名前:Niilo Kervinen(ニーロ・ケルビネン)さん
プロフィール:
1989年フィンランド ロヴァニエミ生まれ。ヘルシンキ在住。教育学や社会学を中心に学び、現在は大学院にて社会心理学を研究中。メンターや家族友人など、他者の支え(Social support)を通して、いかに人生が豊かで幸せなものとなるかを研究テーマに掲げる。

2010年から約2年間日本に居住。日本語や日本の文化の奥深さに惹かれ、現在はツアーガイドとして日芬双方で活動。起業家でもあり、フィンランド教育をベースに社会的な問題解決の糸口を探るワークショップや人生設計の立案支援、コンサルティングなどを2019年より日本にて展開予定。プライベートでは4歳と2歳の二児の父。

Niiloさんと私の出会い

Niiloさんと私の出会いは、フィンランドの学校現場と生中継を行うオンラインイベントの広報を行った際に、「僕に協力できることがあればお願いします。」と丁寧に声をかけて頂きました。実際に、Niiloさんがこのイベントにゲストスピーカーとして関わることで、フィンランド教育のリアルを知ることができました。さらに、鹿児島県の未来の教育を考えるイベントにも参加頂き、フィンランド教育から新しい視点を頂きました。

Niiloさんが考える日本の教育の良さ

Niiloさんは、フィンランドの学校現場の案内を日本人にするだけでなく、フィンランド人も日本の学校現場に案内を行っています。日本の学校現場の現状とフィンランドの学校現場に詳しいNiiloさんにズバリ聞いて見ました。

Q:「フィンランド人から見て日本の教育の良さは何ですか?」

A:「担任の先生のマネジメント力です。日本では、40人の生徒を一度に先生がマネジメントを行っているのを見たことがあります。フィンランドでは、1人の先生で20人の生徒を見ることも多いと感じています。どのようにして、日本人の先生が、子どもたちを一度に沢山マネジメントを通して成長させているのかが気になります。」

A:「それから、先生の教育への情熱です。日本の先生も一生懸命目の前の子どもたちのために働いているのが伝わってきます。朝早くから夜遅くまで、働けるのは、学校の先生が子どもの成長に責任を感じて取り組んでいる証で、実際に日本人は世界からも評価されています。これは、子どもと普段関わっている先生の力だと思います。」

私自身も、フィンランドの学校現場で6ヶ月間先生と働く中で、日本の教育を誇りに感じるようになりました。フィンランド教育から学ぶために、日本人はフィンランドの学校現場を沢山訪れていますが、それと同じように、フィンランドの人も日本の教育現場を見て、多くのことを学んでいます。国によって、同じ課題もあれば、課題を解決するヒントが海外の教育にある可能性があることを感じさせてくれました。

2. フィンランド現地の小学校で取り入れられていた日本の教育文化

私が、フィンランドの学校現場を30校回っていると、時々日本と似ている教育方式を取り入れている学校(クラス)があります。そして、話を聞いて見ると、ユーチューブで日本の教育を見て、「これだ!」と思い、実際に取り入れると保護者から更に信頼を得られるようになった先生の実践を紹介します。

朝の挨拶

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あるフィンランドの小学校では、毎朝授業の前に朝の挨拶が行われています。朝の挨拶で大切にしていたことは、大きな声でするとか、全員が揃えるまで行うというよりは、全員がしっかり気持ちを込めて挨拶をしていたかどうかです。日本と同じものを取り入れても、取り入れる目的をフィンランドに合うように取り入れていることがポイントだと思いました。

整列

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ある小学校では、毎朝玄関前で整列を行って教室に入っていました。先生に話を聞いて見ると、整列を行うのは、学校の役割として「集団性」を身につけることを教えるためだそうです。しかし、目的が「集団性」に対応できるようにすることなので、毎回の授業で整列をすることはありあせん。朝の集合は毎朝行っているのですが、その他は必要がある場合のみ取り入れていました。

掃除

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フィンランドでは、基本的に清掃は清掃員が行ってくれます。実は、毎日の掃除の時間がある国は世界では日本くらいです。この学校では、全体での掃除時間はないのですが、図工の時間等に掃除の時間を取り入れていました。日本人にとっては当たり前の掃除の時間ですが、フィンランドでは取り入れているクラスは少ないです。この掃除の時間も日本の教育現場を参考にして取り入れていました。

靴を揃える 

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この教室では、フィンランドでは珍しく靴を並べることを導入していました。「靴を揃えることで、心も落ち着く」という考え方を日本の教育現場の映像を聞いて早速導入したみたいです。そもそも靴を並べる文化がないフィンランドなので、最初は定着しませんでしたが、クラスのルールとして導入することで、クラス全体が落ち着き、保護者からの信頼が高くなったとお話していました。導入して3年以上が経っていたクラスを見学しました。

このように、日本から離れたフィンランドでも日本の学校文化のルールがフィンランドの学校現場に合う形で取り入れられていました。

3. 海外の教育から学ぶ時に大切にしたいこと

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私は、海外と日本の教育を比較する際によくこの図を用いて考えます。

私たちは、日本の教育には課題があり、フィンランド教育は教育のユートピアと感じてしまいます。しかし、実はそれぞれの国に教育の強みや課題があることを知りました。

私は、日本の教育の強みは*社会性を育む教育」だと思っています。
その一方でフィンランド教育の強みは*個を尊重する教育」だと思っています。

日本では、集団の中で個を育てる教育を大切にしています。
フィンランドでは、個を伸ばす教育を大切にしています。

日本では先生主体の教育(先生が全てを決める、仲直りの仲裁)を大切にしています。
フィンランドでは子ども主体の教育(子どもも選択できる、子どもの喧嘩も見守る)を大切にしています。

「なぜ、このような教育形態を取っているのか?」

 日本では、学校教育法において公立学校では1クラスの人数が40人と定められています。どうしても、先生一人当たりが見る子どもの数が多くなってしまいます。
フィンランドでは、平均20名程のクラスに加えて、支援が必要な子どもの実態に合わせてサポートする先生の数が変わり、特別に支援が必要な生徒の数に合わせて予算が配分されています。ここも学校の裁量権になっています。

つまり、日本では、集団の中で個を育てなければならない環境があり、

フィンランドには個を尊重した指導をしなければならない環境があります。

それぞれの国の先生がそれぞれの環境で課題を持っています。

日本では、先生一人でクラスをマネジメントしながら、個の力も伸ばしていくのが課題です。
フィンランドでは、個を伸ばしながら、教師が規律を子どもに教えることが課題です。

日本の先生は、フィンランドの教育現場を見て「ゆとりある自由な子どもの姿」に惹かれ、フィンランドの先生は、日本の子どもの「集団で行動できる子どもの姿」に惹かれます。

これは、どちらの国の教育がいいというのではなく、その国の文化や歴史が大きく影響されて形作られたものです。

 私は、どちらの国も、それぞれの国の特色を活かして、素晴らしい教育をしていると思います。
▼ 実際に日本、フィンランド共にPISA学力においては、世界でトップにきています。

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では、これからを生きる子どもたちが「幸せ」になるために、これからの学校の役割とは何でしょうか?

 

本日は、「フィンランド教育専門家から見た日本の学校教育の素晴らしさ」というテーマでまとめてみました。

 

ここまで読んでいただき有難うございました。

 

最後に案内です。

今私は8月に行われる東京でのフィンランド教育についての講演に向けてブログを書いています。思考の整理はもちろん、目的は私が学んできたことを講演以外の手段でも伝えていきたいと思っています。

 

▼講演の詳細はこちらです。

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明日のブログも楽しみにしていただけたらと思います(-^-^-)

モイモイ!!!