フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

「教育とは何のためにあるのか?」〜「教育の力@苫野一徳」×フィンランド教育〜

 「教育とは何のためにあるのか?」

 教育の本質を哲学的に見つめ直したいあなたにオススメの一冊です!

(タイトル)

1.  筆者が考える「教育の本質」とは?

2. フィンランド教育の実践@苫野一徳さんが示す3つの観点

 ①「学びの個別化」 

 ②「学びの協同化」

 ③「学びのプロジェクト化」

 3. 最後に

 

1.  筆者が考える「教育の本質」とは?

 

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下記リンクよりamazonに飛びます。

https://www.amazon.co.jp/教育の力-講談社現代新書-苫野一徳-ebook/dp/B00PSE2WWC

 

この本で筆者が最初に主張するのが「そもそも教育とは何のためにあるのか?」ということである。筆者は「教育とは何か」という問いに対して、

 

子どもにとっての教育の意味として「自らの<*自由>を実質化してくれるもの」

社会の要請として「<自由の相互承認>の原理の土台になるもの」

 

と答えている。*生きたいように生きられる力

 

この本においては、筆者は公教育の本質は、

全ての子どもが〈自由〉に生きられるようになるための〈教養=力能〉を育むことです。その〈教養=力能〉の本質は、現代社会においては「学ぶ力」にあると述べています。

 

「では、この「学ぶ力」としての学力を、私たちはどうすれば、全ての子どもたちに十分に育むことが出来るのでしょうか?」

 

筆者は3つのキーワードに沿って説明しています。

 

『「学びの個別化」「学びの協同化」「学びのプロジェクト化」の融合型へと転換』

 

というものである。しかし、私たちは教育について考えるときに、「現代は、ICT機器も進んでいるので、子に応じた教育が可能になってきているからここを推進していこう!」いやいや、「これからの時代は、答えのない問いに向き合わないといけないから、個人ではなく、協同で学ぶ力が一番である。」という議論や「いやいやアクティブラーニングという言葉が出てきているから、プロジェクト学習が大事でしょ!」例えばですが、このような、◯か×というような議論が起こります。一人一人、教育を受けてきた背景が異なるので、自分が受けてきた教育を中心に置いて議論が行われます。この本では、筆者はこれらを融合して行なっていくことが重要と述べていました。でも、「全部するって大変そう。」「学校の先生の負担があまりに大きくなる。」「現場では難しい。」このような声が聞こえてきそうです。私が滞在していたフィンランドでは、これらをバランスよく取り入れて行なっていました。実際に現場を覗いてみましょう!

 

ここからは私がフィンランドで実際に見てきた実践例と重ねて言及していきます。

 

 2. フィンランドの教育実践

 

①学びの個別化

学びの個別化とは、 この本の中で以下のようにまとめられていました。

「本来、学びのあり方も進度も、興味・関心も人それぞれ異なっているものです。その意味で、画一的・一斉型の学びは、実は非常に効率の悪いものです。それゆえわたしたちは、学びをまず子に応じて徹底的にカスタマイズする必要があります。」

1)習熟度別の教科書

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これは算数の教科書で、子どもたちは2つの教科書から選択することができます。右と左の教科書を比較してみると、左の教科書の方が、右と比べると問題の量が少ないのが分かります。「同じ教科書を用いないのはなぜか?」現場の先生に尋ねてみると、「子どもたちにとって、達成感が自己肯定感に繋がり『もっと挑戦したい。』という気持ちを子どもから起こさせるためにこのように教科書を使い分けている。」と話してくれました。もちろん、このような教科書を用いるのことで、問題も起こってきます。子どもは楽をしたがるので、問題が少ない教科書を希望する子どもも出てきます。このような子には、先生が一人一人と向き合い、「その子にあった教科書」ということを説明して、子ども自身も納得していました。

2)公文式の教材

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この方式は、数学においてはとてもいいなと思いました。フィンランドでは、基本的に数学では、個別学習を中心に行なっていました。数学専修である私から観ると、このような算数の授業では、「数学的な見方・考え方」が深まらないのではないか。とどうしても批判的に見てしまう自分がいました。しかし、フィンランドにはフィンランドに合ったやり方があり、日本には日本に合ったやり方があることに落ち着きました。日本では、比較的子どもたちは、覚えることに慣れています。なので、掛け算九九は2年生で、ほとんどの子が全て覚えてしまいます。しかし、フィンランドでは小さい時から覚えることよりも考えることを大切にしているので、6年生になっても掛け算九九が言えない子は何人もいました。

3)子別指導

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こちらは、苫野一徳さんも推奨しているものです!

学校授業1年分の学習範囲を、わずか32時間で終わらせる人工知能教材Qubenaが効果的な理由について書かれています。

↓↓↓

www.ei-publishing.co.jp

 

②学びの協同化

 ここでの「学びの協同化」とは、子どもたちの知恵や思考を持ち寄る「協同的な学び」という意味で用いられています。

フィンランドでは、学びの「協働化」として、1年のどこかで数週間に渡りあるテーマに沿ってプロジェクト学習をする事が義務付けられています。こちらが昨日あげた、フィンランドの「学びの協同化」に関する記事です。以下の記事は、「学びの協同化」と「学びのプロジェクト化」を融合した授業を行なっていました。興味ある方は是非ご覧ください!

educationxfinland.hatenablog.com

 

③学びのプロジェクト化

ここでの「学びのプロジェクトか」とは、それぞれの子どもたちが自らの目的を持って挑戦する「プロジェクト型の学び」という意味で用いられています。

フィンランドでは、1年のどこかで数週間に渡りあるテーマに沿ってプロジェクト学習をする事が義務付けられています。私が訪れた30校の学校の中でも、この小学校では、授業のほとんどがプロジェクトベースで行われていました。(2月:学びの集大成)

(技術・家庭のプロジェクト学習)

子ども達は6ヶ月に渡り「プロジェクト学習」を行っていました。このブログでは概要のみ伝えていきます。 

1週目:自分が作りたいものを決定

子ども達は、自分が半年かけて何を作りたいのかをじっくり考えて決めていきます。ある子は、本を20冊読んで決めていました。中には、なかなか決まらず投げ出してしまう子もいました。「自分が作りたい」ものを1から作るということは、40人学級なので40通りの作品が生まれることになります。先生も大変です。

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2〜3週目:作成計画を立てる

作りたいものが決まった子ども達は、作成に向けて6ヶ月間の計画書を作ることになります。そして、1から作品を作るので、本やインターネットで工程表を見つけ、それをワードに打ち込んでいました。

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4〜15週目:作品を作る

実際に計画と工程表が完成したら作り始めていきます。1から作り上げるということで、子ども達にとっては6年間の集大成となります。先生のサポートもありますが、子ども達は自ら作品を作っていました。「自分で作りたい。」と決めて作ったので、根気強く取り組んでいました。

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 16〜18週目:発表準備

子ども達は自分が作った作品についてプレゼンを行います。それに向けて、「imovie」での編集を行なっていました。

 

最終週:プレゼンテーション

ここは、帰国のタイミングで見ることができませんでしたが、子ども達はこの6ヶ月間の過程の中で、多くのことを学んでいたと現地の先生は教えてくれました。

 

  3. 最後に・・・

フィンランドでは、

『「学びの個別化」「学びの協同化」「学びのプロジェクト化」の融合型

を取りいれています。

「先生はどのようにしてアイデアを出しているのか?」

休み時間に先生は職員室でコーヒーを飲みながら、アイデアを出し合っています。会議で意思決定をするのではなく、普段の職員室の対話の中で、合意形成を図っているイメージです。

1)学びの個別化・・・アプリの会社から学校の予算で購入

2)学びの協働化・・・職員室から生まれるアイデア×プロジェクト学習の案

3)学びのプロジェクト化・・・職員室から生まれるアイデア×プロジェクト学習の案

(日本の実態)

プロジェクト学習に関しては、総合学習の時間のアイデア文部科学省から沢山出ています。でも、それを現場で実践するのがなかなか難しい。個別学習に関しては、くもん等の個人のレベルに合わせて学べる教材は充実しています。でも、アクセスできるのは一部の子どもだけ。まとめると、コンテンツや教材が充実しているのに、なかなか全ての子どもがアクセスできるのはないということ。

本の学校現場で「学びの個別化、協働化、プロジェクト化」を取り入れるには何が必要なのか?現場の先生から沢山学びたい思いが強いです。

 

ではではモイモイ!!!