フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

第2弾:フィンランドスタディキャンプ4日目

午前7時…私たちの1日は始まります。(眠)

 

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(中学校の校舎)

 

フィンランドは、9月でありながら、外は10度前後で肌寒いです。

(9月にフィンランドに来る際は、温かい服装が必須です!!!)

 

昨日は、プレスクールと小学校2校を訪問しました。

6歳から12歳までの教育現場の大きな特徴としては、

「個に応じた、比較的自由な教育」を行っていることです。

 

日本だと「集団の中で個を育てる教育」が軸になっていますが、

フィンランドでは「個に応じた教育」が軸になっています。

ここに大きな違いがあります。

 

*個に応じた教育の例

・算数の授業では、習熟度に合わせて個別学習を行っている。

(各々が異なる教科書のページを開いて学習している。)

・支援が必要な子どもには、少人数教室や個別指導を行う。

(子どもの人数に応じてではなく、支援が必要な子どもの数に応じて教員を配置している。) 

 

*自由な教育の例

・姿勢を正して先生の話を聞く時間と子どもがアクティブに学ぶ時間が設けられている。アクティブに学べる時間では、生徒は自由に学ぶ場所を選択したり、自由に子ども同士で学び合いを行っている。

・技術の時間では、子ども自身が作りたいものを自由に選択して作成している。

(国家カリキュラムで定められている。)

 

「個に応じた、比較的自由な教育」を行っていた小学校と比較して、

中学校・高等学校でどのような教育を行っているのか?

 

このスタキャンで話題になっているテーマを2つ紹介します。 

 

①進路選択について

今年、フィンランドの幸福度は世界一に躍り出ました。その理由の一つとして「自分のやりたいこと」を職業として選択できていると仮説を立てました。日本との進路選択の大きな違いは、中学卒業後の進路選択です。日本では、8割の生徒が普通科の高等学校に進学しますが、フィンランドでは50%の生徒が普通科の高校に、そして残りの50%が職業専門学校に進学します。つまり、生徒は中学卒業時に、大きな進路選択に迫られます。どのようにして生徒は進路選択(意思決定)をしているのか、生徒にとって、早い進路選択は負荷に感じていないのか?等

 

②英語教育について

フィンランドでは多くの人が英語でコミュニケーションを取れる英語力を身につけています。しかし、昔はフィンランドでも、学校での英語の授業は文法が中心にあり、英語を話せる人は多くありませんでした。しかし、近年英語教育の改革が行われ、若い世代になると、多くの生徒が英語を話すことが出来ます。小学校段階では、あまり話せなかった子供が、中学校・高等学校でどのような授業を受けて、どのようにコミュニケーションとしての英語力を身につけたのか?

 

では、早速学校現場に入っていきます。

 

朝8時 中学校訪問スタート

 

職員室に入ると、テーブルに飲み物とフィンランドのスイーツが並べてあり、

温かく私たちを迎えてくれました。

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 最初に職員室で、フィンランドの教育と中学校の教育の特長について

レクチャーを受けました。

 

(中学校の特長)

・Iisalmiで唯一の中学校(7-9年生)

・全校児童約600人(1クラスの規模は20人前後)

・学校は15時には全て終わる。(先生も15時に帰宅)

・全ての教室に電子黒板、プロジェクター完備(100%電子教科書使用)

 

更に中学生が私たちの質問に対して、リアルに答えてくれました。 

 

8時30分 学校ツアースタート

 

中学生3人が私たちを2グループに分けて、学校を案内してくれます。

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(授業の様子) 

9時00分 授業見学

主に見学したのは、英語、キャリアガイダンス、宗教、健康教育、美術です。

 

(中学校での学び)

① 進路選択について

・自分の長所を考える授業〈通年〉

・職業について調べてプレゼンを行う授業〈中学1年〉

・年に1回(2週間)の職業体験〈通年〉

・高校・専門学校の先生が授業に来て説明会の実施〈中学3年〉

(クラス単位でワークショップ形式)

・個別での面談〈通年〉

 

中学校卒業段階で、普通科の高校か職業専門学校に進学するかの大きな進路選択があるからこそ、 将来について考える機会が多くありました。

 

(日本との大きな違い:職場体験の在り方)

生徒は、中学1年次に、現在の職業についてグループに分かれて調べる時間があります。それを元に、生徒は自分が興味のある職業を決めて、生徒自身で職場に電話を行い、アポをとります。生徒は2週間、職場で仕事を経験するだけではく、現場で働く人にインタビューを行います。これらの経験を通して自分と向き合い、卒業後の進路を少しずつ考えていきます。

 

(実際の生徒の声)

キャリアガイダンスの授業の中で、実際に進路選択を行う時期である中学3年生と交流する時間がありました。その中で、中学生と「将来の進路」について対話を行いました。これだけ、3年間の中で自分の将来と向き合う時間が合ったので、自分のやりたいことを見つけている生徒が多いと思っていました。しかし、実際に中学生と話をしてみると、4割の子は進路選択は決まっておらず、更に殆どの生徒は将来どんな職業に就きたいのかが決まっていませんでした。

 

ここで感じたことは、学校がどれだけ「自分の将来と向き合う機会」を提供しても、生徒は将来について悩むということです。やはり、大事なことは学校が機会を提供するだけでなく、一番に必要なのは、「生徒自らが自分の人生を切り拓くこと。」
つまり、モチベーションである。(参加者の振り返りより)

*ここに関して深く考察をしているブログを紹介します。


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② 英語教育について

フィンランドは質の高い教育の機会均等が保障されています。そんなフィンランドでも、都会の学校と田舎の学校の生徒の英語力を比べると格差を感じる場面がありました。都会の学校の子どもだと、5.6年生になると、日本の大学生位英語を話すことができます。しかし、田舎の学校になると、日本の中学生位の英語力です。授業の方法、先生の質は同じでありながらも、日常生活の中で英語を使う機会があるかないかで、英語力に差が出てくるのは分かりました。

 

(日本の英語事情との違い)

・英語に対する必要感

フィンランドでは、英語を「国家・自分が生きるため」に学びます。フィンランドは人口が500万人という少人数の国家です。その中で国家を発展させるためには、他国との協働が必須になることを生徒も理解しています。その時に使用する言語が英語になります。また、フィンランド語を話す人口を考えると、文献の数も限られてきます。このようにフィンランドでは、英語を学ぶ必要感が高い傾向があると感じました。

・週2時間の単位時間数の多さ(日本だと週1時間)

フィンランドでは、小学2年生から4技能のバランスの取れた授業を週2時間行います。

・英語の授業は修士号を取得している専科の先生が行う(日本はクラス担任)

・テレビでの英語番組の多さ

テレビ番組の半分がフィンランド語が字幕のテレビ番組で、人々は日常の中で英語を聞きなれています。

・授業の中でスピーキングがバランスよく取り入れられている

日本だと、読み書きに偏る授業になりがちですが、フィンランドでは、毎時間スピーキングの時間が取り入れられます。「できる・できない」も大事ですが、英語は「使う」ためにあることを授業を通して必要感を高めているように感じました。

 

③ 支援が必要な児童の対応

・テンパリさんの存在。

クラスの中には、必ず支援が必要な子どもがいます。もちろん、特別に支援が必要な生徒には特別支援の先生がつきますが、どの生徒にも気持ちが不安定になる時期があります。そんな時に対応するのが「テンパリさん」です。テンパリさんは、精神的に不安定な子どもに対して、「精神的に不安なのには必ず理由がある」と考え、その生徒と向き合います。担任の先生が1人で抱え込むのではなく、教職員全体で一人の生徒をサポートする体制がありました。

 ・児童主体で補習授業を受けることができる。

生徒の中には、授業についていけなくなる生徒が必ず出てきます。その場合、教科に応じて、生徒が補習授業や個別指導を選択することができます。フィンランドでは、ボトムアップの教育を大事にしているのが分かります。

④ 自由選択科目の存在

(自由選択科目とは???)

Optional subjects are subjects every 7th grader chooses for 8th and 9th grade,

everyone chooses three from a long list of options, there are languages, art, handicraft,

sport, computer science, home economics, music, self expression etc etc. Every optional

subject is 2 hours per week, so together three subjects is 6 hours and they last the same

subjects two years.

 

生徒は3年間、自分が好きな科目を選択して学びを深めることができます。日本だと、全ての生徒が同じ教科を同じ時間だけ学びます。一人一人が「好きなこと」を学べる環境有れば、他者との違いを認め合えたり、自分の好きなことを見つけ、深められる本来の学びが出来るのではないかと感じました。実際に自由選択科目の時間の生徒の表情はとても輝いていました。

 

10:45 昼食

義務教育である中学校も生徒は無料で給食を食べることができます。

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中学校視察を終えて、一息つく間もなくこの町唯一の高等学校に向かいます。

 

午後 高等学校視察

(高等学校の特長)

・Iisalmiで唯一の高等学校

(50%の生徒が普通科の高校に進学、残りの50%は職業専門学校に進学)

・卒業試験がある。合格しないと卒業できない。

・授業は自由選択科目と必須科目がある。(日本の大学と同じシステム)

 

13時 展望台へ

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展望台に向けて永遠に続くらせん階段を登ります。

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 展望台到着!!!

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Iisalmiを一望できます!!!

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 記念撮影!!!パシャリ!!!

 

14時 フィンランドの高等教育のレクチャー

 

現職の高校の先生にフィンランドの教育についての講義を受け、質疑応答をしました。

2020年から大きな教育改革がフィンランドでも行われます。そのことについても、現場の生の声を聞けました。

 

15時 高等学校の先生との交流

 

職員室に入ると、再び!!!テーブルに飲み物とフィンランドのスイーツが並べてあり、温かく私たちを迎えてくれました。1日中食べてお腹いっぱいです!!(笑)

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 こうして充実した長い1日が終わります!

ここからは自由時間です!!!

 

このスタディキャンプでは、自由な時間をとても大事にしています。

 

「ゆっくり考える自由な時間こそ、人は考えることができます。」

 

フィンランドで大事にされている価値観です。

放課後は、町で美味しいご飯を食べたり、遊具で遊んだり、買い物をしたり、地域のスポーツ少年団を見学したり、寝たり、ゆっくり対話をしたり、サウナに入ったり・・・

 

各々が自由に過ごします。

 

明日は専門学校を見学します!!!

 

 

ナハダーン!!!モイモイ!!!