「このフリースクールは誰の何を幸せにするのか?」
*写真はフィンランドの子供達の授業風景です。ソファに座って学ぶ子どももいれば、床に座って学んでいる子どもたちもいます。「どうやったら自分は集中できるのか?」も子ども自身で選びながら学んでいきます。
これまでに、私はフィンランドやオランダの学校を訪れて、様々な教育制度を見てきました。日本の不登校支援の現状を外の世界の事例と比較しながら、「不登校支援」とこれからのフリースクールの在り方について本ブログではまとめていきたいと思います。
A:「学校に通えなくなる子どもはいます。」
Q:「では、どのように支援をしているのか?」
A:「色々な形で不登校の子どものサポートを行っています。」(日本と同じ)
そもそも学校と合わない子どもに問題があるという考えではなく、その子に合った環境を整えるという考え方を大切にしています。その子を学校に適応させるというよりは、その子に合う環境を私たちが整えてあげる考え方です。また、不登校になってから対処するというよりは、その子が感じる違和感を早い段階で把握し、予防的に対処していきます。具体例を挙げて説明をしていきます。
事例① 勉強が分からなくなり、授業中に集中できない子どもがいる事例
対処の方法は、子どもによって異なりますが、集団での指導から個別の指導に一時的に移行します。分からないことを放っておくのではなく、低学年の段階から個別指導を取り入れて、公立の学校の中で丁寧に対応して行きます。主に指導するのは、TA(ティーチングアシスタント)の先生です。TAになるためには、研修もあり、校長先生の裁量で学校の実態に合わせてTAを雇用して学校現場に入って子どもをサポートして行きます。
→日本で取り入れるなら???
今コミュニティスクールが増えてきています。大阪にある大空小学校では、地域で子どもを育てています。また、私が住んでいる鹿児島県でも学校支援ボランティアで大学生や地域の方が公立の学校現場に入り、子どもの支援を行っています。
事例② 集団の環境が合わない子ども(中学生)の事例
中学校に上がり、集団の環境が合わないと感じる子どもは、ある一定数出てきます。見極めが難しいですが、対応の一つとして、一時的に学校内にある「少人数学級」に通います。(通級のような場所)週の中で3日は通常学級で授業を受け、2日は少人数学級で学ぶという選択を生徒自身で選択することができます。もちろん専門のカウンセラーと相談して決定します。フィンランドでは、「環境に合わない子が悪いのではなく、周りの環境を整えてあげる事で、その子も自分たちと同じように学べる」という考え方が子どもたちにも理解されているように感じました。
→日本で取り入れるなら???
日本で通級に通う事は、「自分は周りと違う」という感覚をどうしても持ってしまいます。もし、今日本の中で増えてきている「フリースクール」を学校が「出席」と認めてくれれば、子どもは自分に合う学びの場を選択できるようになります。学校ではないので、子どもも周りの目を気にせずに、安心して通うことができます。週に2日はフリースクールで学び、3日は公立の学校で学ぶという柔軟な学び「子どもにとっての余白」ができたらいいなと思っています。
まだまだ事例はたくさんありますが、フィンランドでは、そもそも学校という環境に合わない子どもが悪いという考え方ではなく、その子にあった環境を整えることを大切にしています。そして、もし子どもが学校という環境に合わない場合は、公立の学校にいる心理カウンセラーや特別支援の先生が外部の機関と連携を取ります。これが出来るのも、親が学校を「信頼」しているからです。もちろん、フィンランドの学校では全ての問題が解決されているわけではないですが、学べることもあります。
② オランダの不登校支援
私は、オランダの学校と家庭を訪れた時に、次の質問を「日本でいう不登校の子どものお母さん」に投げかけてみました。
前提:オランダは究極の学校選択制をとっています。
Q:「もし、自分の子どもが学校に行かなくなったらどうしますか?」
A:「その子に合った学校を探すわ。或いは一定期間は家で教えるかな。」
Q:「そもそもオランダには不登校という考え方はあるのか?」
A:「日本でいう不登校という考え方とはちょっと違うかな。」
Q:「どういう意味でしょうか?」
A:「学校に行かなくなったのは、うちの子どもはこの学校と合わなかっただけで、この子にあった場所を探すわ。そしたら学校にまた通えるようになるでしょ。」
事例① 学校に行きたくない子どもがいる事例
この家庭の子どもは、週に3日はA SCHOOL、週に2日はB SCHOOLというように2つの学校に通っていました。話を聞いてみると、この子はIQが高く、集団よりは個別での指導で伸びるとお母さんは話します。でも、将来自立して行きていくためにも、集団の中でも生活する力は大切。結果として、週に3日は、集団の中で学ぶA SCHOOL、週に2日は個別指導のB SCHOOLに通う選択肢をとっていました。
これはあくまでも1つの事例ですが、子どもが学ぶ環境を親が選択するのはチャレンジングにも感じました。親の教育への知識や関心で子どもの学力が決まってしまうリスクも感じました。しかし、選択制となった事で、教育熱心な親も多いです。その様子は学校の送り迎えにも現れます。ほとんどの親が子どもの学校の送り迎えを行っています。また、学校の中にボランティアで入る親も多い特徴がありました。
学校と家庭との協働が前提で成り立っているオランダの学校、そして不登校という考え方はなく、その子に合った学習環境を整えるという考え方。やはり、環境を整えるという考え方はフィンランドもオランダも共通していると感じました。
③ 日本の不登校支援
最後に日本の不登校支援についてまとめていきます。
Q:「日本の不登校児童は何人いるのか?」
A:「約12万人。」
Q:「どのように不登校支援をしてるのか?」
A:「適応指導教室やフリースクールに通う子も増えてきています。」
Q:「実際にこのような機関を利用しているのは、全体の何%程なのか?」
A:「約10%」
Q:「なぜ、利用しないのか?」
A:「自分の子どもを不登校=良くないと認めたくない。」
また、フリースクールに通っても、出席を認める基準を、なかなか満たせなかったりする等で、次の進学に影響が出てしまうので、頑張って子どもを公立の学校に通わせようとする考えが根付いています。
今の日本の教育システムに疑問を持っている方も少しずつ増えてきていると思います。では、学校以外の場所(=フリースクール)として私たちがどのような理念を持ってしていくのか?を最後にまとめて終わろうと思います。
- これからのフリースクールの在り方
私たちは、フリースクールとして次のような理念を持って動いていこうと話し合いの中で決まりました。
あくまでも、「独立」ではなく「協働」をベースにして動いていこうという話になりました。今ある「サランセンター」はこれまでの信頼から、鹿児島県の教育委員会や沖永良部の学校とも信頼関係があります。学校と「協働」という意味は、あくまでも私たちは、不登校の子どもが「学校に戻れるようにサポートする」考え方ではありますが、プラスに捉えると、子どもたちが学校以外の場所で学ぶことを認められることになります。そうすることで、子どもが学びの場として学校以外の場を選択できるようになります。具体的には・・・
このように、これまで「学びの場=学校」つまり、「学校に行けないこと=良くない」という考え方が「学びの場=学校外」つまり、「学校に行けない=その子に合った学びの場がある。」という考え方が広がって行けたらと思います。
私たちフリースクールが、学校、子ども、保護者をハッピーにできる場に慣れたらと思います。詳しくはまた別のブログでまとめたいと思います!(^^)
最後に伝えたいことは、
ここまで読んでいただきありがとうございました。