フィンランドの学校に行こう!

フィンランドの教育を通して日本の教育を見つめ直す。

フィンランド教育の教科書

「皆さんはフィンランド教育と聞いてどんな印象を持ちますか?」

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1. はじめに 

私が、フィンランド教育と出会ったのは、今から6年前に遡ります。現在は、フィンランドの高校現場で教師として勤めています。私がフィンランド教育に惹かれた最大のポイントは「一人一人に合わせた教育環境を公立の学校現場で実現している。」という点です。日本の学力(PISA)は、世界的に見ても高いのですが、多くは家庭教育力や外部の教育機関(塾)によって支えられており、生まれた環境によって大きな学力格差や機会格差が生まれている現状があります。「生まれた環境に関係なく、一人でも多くの子がその子に合わせた教育を受けられる機会を得られる社会の実現に必要なものとは何か?」この答えを見つけるために、フィンランドに飛び立ちました。

そして、2年前に大学を休学して、6ヶ月間現地の小学校でインターンをしながら、フィンランド全土の幼小中高専大学を合わせて30校視察してきました。そして留学中に立ち上げたフィンランドの学校現場を視察するプログラムに参加頂いた約50名の学生と学んできた情報を今回一つのガイドブックにまとめることにしました。

年に2回フィンランドの学校現場を視察する中で、最新のフィンランド教育の現場のリアルをガイドブックを通じて通年更新していけたらと思っています。

▼まずは、「フィンランド教育」を端的にまとめた動画をご覧ください。


フィンランドの教育

この動画を見ると、「宿題がない→学力が急上昇し、学力が世界一に」という印象を持つと思うのですが、実際はどうでしょうか?

私がフィンランドの学校を2年前に、初めて訪問した時に受けた印象は、「日本と重なることが多い。」でした。実際に、フィンランドの学校で1日を過ごして、日本の学校との共通点はこのような感じです。

1. 朝学校に行くと、子どもたちが整列している。

2. 授業は45分授業で、教科カリキュラムを採用している。

3. 45分毎に15分の休み時間がある。

4. 無料の給食がある。(日本の給食の方がコスパは良い。)

5. 宿題がある。

6. 5km以内は、自転車或いは歩いて登校 

もっと、教育のユートピアを思い浮かべていた私にとっては、衝撃的な1日でしたが、似たような教育環境の中で、どうしてここまで教育的効果が異なるのか、興味が湧いてきたのを今でも覚えています。もっと、詳しく、フィンランド教育の事実について知りたい方は、以下のブログを読んでいただけたらと思います。

フィンランド教育の12の嘘と本当についてまとめたブログはこちら

2. 教育と繋がるフィンランドの文化

① 家族を大切にする

フィンランドでは、仕事も家庭も大切にする考え方を持っています。例えば先生は、平日は15時には学校を出たり、夏休みは2ヶ月間しっかり休みを取り、家族とゆっくりとした時間を過ごします。

▼「Family is first」の校長先生のエピソードはこちら

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② 森とフィンランド

フィンランドでは、森を生活の一部にしています。休日は森に出かけ、散歩をしたり、バードウォッチングをしたり、ソーセージを焼いて過ごします。「何もない静かな場所」でゆっくり休めることで、日頃の疲れを癒しています。森はフィンランド人にとって切り離せない生活の一部になっています。

フィンランド人が森を生活の一部にしているエピソードはこちら

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3.  フィンランド教育の概要

フィンランド教育改革の歴史

フィンランド教育は、今から約20年前に大きな転換期を迎えます。フィンランド教育はなぜ、どのようにして変わっていったのか?実際に改革を行なった当時29歳のオリペッカヘイノネン教育大臣の想いが語られています。


教育で一番大切なのは機会の平等

4.  「幸せ」に生きるために

私は、フィンランドの教育で大切にされている3つのポイントが、フィンランドの国民全体の幸福度世界一に繋がっていると考えています。

・自分を理解する教育

・他者を理解する教育

・「自分らしさ」を大切にできる教育

私は、これらの教育が日本では足りていないと感じています。日本で、16年間大学まで通っても、「自分のやりたいこと」が分からない若者や共生社会がうたわれる中で、他者のことを本気で理解しようと思っても、どうしても表だけの関わりになってしまう現状があります。実際に、日本に住むマイノリティーの人(LGBT障がい者等)を正しく理解している人はどれくらいいるでしょうか?

このパートでは、日本ではまだ取り入れられていない、どのようにして、自己理解や他者理解を育み、「自分らしく」生きる方法を学んでいるのかについてまとめていきたいと思います。

① フィンランドのキャリア教育

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フィンランドは幸福度が世界一と言われています。「なぜ、フィンランドは幸福度が一位になったでしょうか?」その秘訣は、幼少期から行われる「自分はどう生きたいのか?」を時間をかけて考えるキャリア教育にヒントがありました。このブログでは、フィンランドの子どもたちが、幼少期から大学を卒業するまでの間に「どのようにして幸せに生きる方法を育んでいくのか」についてまとめてみました。

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② フィンランド性教育

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日本で馴染みのない「性教育」ですが、実際にフィンランドでは、何を目的とし、どのようにして性教育が行われているのでしょうか?私自身、日本の学校教育の中で学んだ性教育の知識は殆ど皆無でした。そこで、このブログでは、フィンランドの幼児教育からの性教育について、包括的にまとめていきたいともいます。

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③ フィンランドのインクルーシブ教育

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日本でも近年取り入れられているインクルーシブ教育ですが、現場は、一人一人の子どものニーズに対応することが大変な現状があります。実は、フィンランドでも、導入当初は保護者から反対の声が上がった時もありました。しかし、学校はインクルーシブ教育の意義を伝え続け、現場でも子ども一人一人が学びやすい環境を整えることに力を注ぎました。その結果、子どものニーズが教材や教具(家具)を発展させ、今では誰もが安心して学べる環境が教室の中にできるようになりました。また、大人の姿を見て、子どもたちも、自然とお互いを助ける姿、違いを受け入れる姿も見られるようになりました。このブログでは、インクルーシブ導入から、現在の子どもの姿、日本でできることについてまとめてみました。

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5. フィンランド教育を支えるもの

① フィンランドの地域スポーツコミュニティ

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フィンランドは、元々日本と同じように、学校で部活動が行われていました。しかし、国の方針で、スポーツを「競技」としてのスポーツから、生涯スポーツとしてのスポーツに大きな転換が行われました。今では、学校に部活動がないのに、一人当たりのスポーツ人口が世界一と言われています。スポーツにアクセスしやすくなるための学校教育や地域での役割とは何でしょうか?新しい地域コミュニティの在り方についてまとめてみました。

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② フィンランドの地域全体で子どもを支える居場所作り

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フィンランドでは、子どもたちは高校生でも15時には学校が終わります。小学生は13時には学校が終わることもあります。「では、放課後の子どもたちはどこで過ごしているにいでしょうか?」中には、家庭の中に居場所のない子ども、学校の中に居場所を感じていない子もいます。このような子どもも地域の中で安心して過ごせる居場所「プレイパーク・ユースセンター」が、地域の中にありました。ここで働く人は、学校にも訪れ、気になる子どもたちに声をかけていきます。友達でもない、先生でもない地域のお兄さん、お姉さんの存在はいつしか子どもの心の居場所にもなっていました。このブログでは、地域の中にある子どもの居場所とその役割についてまとめてみました。

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6. 日本の教育課題は、フィンランドにも存在するの?

① 先生の長時間労働

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日本の先生の平均勤務時間は''約11時間''です。それに対して、フィンランドの先生の学校での勤務時間は、平均して''約6時間''です。この時間には、給食時間も含まれています。今、日本でも変形時間労働制の導入が決まり、これからの働き方に対して、不安に感じている先生が多いと思います。私は、今の日本の学校教育現場で、必要なことは、「業務量を減らすこと」と同時に、「一人一人に合わせた働き方を尊重する文化を育んでいくこと」「一人一人が幸せな働き方を見つけること」だと思います。このブログでは、フィンランドの先生の幸せな働き方についてまとめてみました。

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② 不登校問題

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フィンランドには、不登校という概念は存在していません。では、学校合わない子どもの対応はどのようにしているのでしょうか?日本だと、「不登校=ネガティブ」なイメージを与え、学校に行けないことを本人や親、先生に原因の矛先が向くことが多いです。その一方でフィンランドでは、フィンランドでは、もし学校と合わない子どもがいれば、その子に合った環境を整えることを大切にしています。日本の広がり続ける不登校の課題を本質的に解決するヒントがフィンランドにはあるかもしれません。

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③ 学級崩壊

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フィンランドの教室では、日本のように学級崩壊は起こりうるのでしょうか?そもそも学級崩壊という考え方がフィンランドに存在するのでしょうか?

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④ 小規模校の教育

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日本で、小規模校の教育と聞くと、ネガティブなイメージを持つ人が多くいると思います。なぜなら、離島僻地よりも、大都市に情報が集まり、進学に有利な塾や教育機関が充実している現状があるからです。実際に、センター試験の結果を見てみると、離島僻地の多い都道府県の平均点は低い傾向があり、都市部程、平均点が高い結果が出ています。しかし、フィンランドの教育に目を向けてみると、学校の規模感は約100人の学校が多く、敢えて複式学級を採用している学校もあります。日本でも、小規模校の複式学級を活用した未来の教育実践の可能性を感じ、このブログでまとめて見ました。

▼詳細ブログはコチラ

7. フィンランド教育は日本の10年先を進んでいる?

① フィンランドの教員養成

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フィンランドと日本の大きな教員養成の違いは大きく3つあります。

①教員養成大学への進学倍率は約10倍 

②教師は修士号の取得が義務付けられていること

③教育実習は6ヶ月間あること

フィンランド教育の成功の鍵を聞くと、多くの人が「教師」と回答します。実際にフィンランドの教員養成にはかなり力を入れています。詳細は以下のブログを読んでいただけたらと思います。

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② ICT教育

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フィンランドでは、どこの地域の教室でも、ICT環境が整っています。具体的には、プロジェクター、投影機、電子黒板型のスクリーン、そして子どもたちは一人一台のタブレット或いはパソコンを持っています。では、フィンランドの先生はICT機器を使ってどのような授業実践をしているのでしょうか?

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③ 学びやすい環境「合理的配慮をカタチにしたクラス」

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「子どもにとって真に学びやすいクラスとはどんなクラスでしょうか?」

クラスの中には、聴覚過敏な子、多動性のある子、視覚過敏な子色々な子が一緒の教室で学んでいます。日本でも、インクルーシブ教育が少しずつ取り入れられていますが、環境面のサポートが十分でない現状があります。合理的配慮がカタチになっているフィンランドの教室から学べることがたくさんあると思います。

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8. 最後に

ここまで、フィンランド教育に関するブログを読んできて、実際にフィンランドの学校を視察したいと考えている方も多いのではないでしょうか?こちらに、フィンランドの学校現場を視察する方法について幅広くまとめてみました。

▼学校現場を視察する方法はこちら

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